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副業で行政書士を始める方法|会社員との両立

会社員をしながら副業で行政書士を始める方法を完全解説。就業規則の確認ポイント、副業に向いている業務分野、土日だけで稼ぐ方法、副業から独立へのステップまで、両立のための実践的なノウハウを紹介します。

副業で行政書士はできるのか?

結論から言えば、会社員をしながら副業で行政書士として活動することは可能です。行政書士法には「専業でなければならない」という規定はなく、行政書士としての登録要件を満たしていれば、会社員との兼業が認められます。

実際に、副業で行政書士をしている方は少なくありません。日本行政書士会連合会の統計によると、行政書士の登録者約5万2000人のうち、兼業で活動している方は全体の約15〜20%程度と推計されています。

ただし、副業で行政書士を始めるにはいくつかのハードルがあります。会社の就業規則、時間管理、業務選定など、事前に確認・準備すべきことがあるため、この記事ではその全てを詳しく解説していきます。

副業行政書士の基本的な条件

副業として行政書士を始めるために最低限必要な条件は以下の通りです。

  • 行政書士試験に合格していること(または他の登録要件を満たしていること)
  • 日本行政書士会連合会に登録していること
  • 事務所を設置していること(自宅でも可)
  • 勤務先の就業規則で副業が禁止されていないこと

会社の就業規則の確認ポイント

副業で行政書士を始める前に、最も重要なのは勤務先の就業規則を確認することです。

副業・兼業に関する規定の確認

2018年に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を策定して以降、副業を容認する企業は増加傾向にあります。株式会社リクルートの調査(2023年)によると、副業を容認・推奨している企業の割合は約51.8%に達しています。

しかし、依然として副業を禁止している企業も存在するため、以下のポイントを必ず確認しましょう。

確認すべき項目

確認項目内容対応方法副業の可否全面禁止か、許可制か、届出制か就業規則の確認競業避止義務同業他社での就業制限の有無行政書士業務が競業に当たるか確認届出・申請の要否副業開始前に届出が必要か人事部門に確認労働時間の制限副業含む総労働時間の制限健康管理の観点から確認情報管理機密情報の取り扱い本業の情報を副業に使わないこと

パターン別の対応方法

パターン1: 副業が全面的に認められている場合

最も始めやすいパターンです。念のため人事部門に行政書士として副業することを報告しておくと、後々のトラブルを防げます。

パターン2: 許可制・届出制の場合

多くの企業がこのパターンです。所定の手続きに従って申請・届出を行いましょう。申請時に「行政書士としての活動内容」「予定する業務時間」「本業への影響がないこと」などを明確に説明できるよう準備してください。

パターン3: 副業が禁止されている場合

この場合は慎重な対応が必要です。選択肢としては以下が考えられます。

  • 会社に副業解禁を相談する(理由を明確に)
  • 行政書士登録だけ行い、実際の業務開始は副業が認められてからにする
  • 転職を検討する
  • 行政書士としての開業は独立時まで延期する

副業禁止の規定に違反して行政書士業務を行うと、懲戒処分の対象になる可能性があります。リスクを考慮して慎重に判断してください。

公務員の場合の注意点

公務員は国家公務員法第103条・第104条、地方公務員法第38条により、営利企業の経営や兼業が原則として禁止されています。したがって、公務員が副業として行政書士を開業することは原則としてできません

ただし、公務員を退職した後に行政書士として開業することは可能です。また、行政事務に通算17年以上(高卒の場合は20年以上)従事した公務員は、試験を受けずに行政書士として登録できる「特任制度」があります。

副業に向いている業務分野

副業行政書士の最大の課題は「時間の制約」です。平日は本業があるため、使える時間は主に平日の夜と土日祝日に限られます。そのため、業務分野の選択が非常に重要になります。

副業に向いている業務ランキング

順位業務分野副業適性理由1遺言書・相続関連非常に高い顧客との打ち合わせは土日でも対応しやすい。作業は自宅で可能2契約書・内容証明作成非常に高い書類作成が中心で、時間を選ばず作業可能3補助金申請支援高い事業計画書の作成は夜間・休日に対応可能4自動車関連手続き中程度書類作成は自宅で可能だが、陸運局への提出は平日のみ5在留資格申請中程度書類作成は自宅可能だが、入管への申請は平日が基本6建設業許可やや低い案件の複雑さと行政機関との折衝が多い7飲食店営業許可やや低い現地調査や保健所との打ち合わせが平日になりがち

おすすめ分野1: 遺言書・相続関連

副業行政書士に最もおすすめの分野が、遺言書の作成支援や相続手続きのサポートです。

おすすめの理由

  • 顧客(主に高齢者やその家族)は土日の方が相談しやすい場合が多い
  • 書類作成は自宅のパソコンで夜間や休日に行える
  • 公証役場での遺言書作成の立会いも、事前に日程調整が可能
  • 1件あたりの報酬が8万〜15万円と比較的高い
  • 高齢化社会で需要が拡大中

具体的な業務の流れ

  1. 初回相談(土日に対応): 1〜2時間
  2. 必要書類の収集(郵送で対応可能): 1〜2週間
  3. 遺言書案・協議書の作成(夜間に自宅で作業): 3〜5時間
  4. 内容の確認・修正(メール・電話で対応): 1〜2時間
  5. 公証役場との調整・立会い(有給休暇を使って対応): 半日

おすすめ分野2: 契約書・内容証明郵便の作成

契約書や内容証明郵便の作成は、場所や時間を選ばず作業できるため、副業に非常に向いています。

おすすめの理由

  • 書類作成がメイン業務で、行政機関への出向が不要
  • メールやオンライン会議で顧客とやり取りできる
  • 1件あたり3万〜10万円の報酬
  • 個人・法人問わず幅広い需要がある

おすすめ分野3: 補助金申請支援

補助金申請支援は、副業行政書士の中でも特に高収入が期待できる分野です。

おすすめの理由

  • 事業計画書の作成は夜間・休日に対応可能
  • オンラインでの申請が主流で、窓口に行く必要が少ない
  • 成功報酬型で1件10万〜50万円以上の報酬も可能
  • 本業でのビジネス経験を活かせる

ただし、補助金申請支援は申請書類の作成に相当な時間がかかる(1件あたり20〜40時間程度)ため、受任する案件数は慎重に判断する必要があります。

土日だけで稼ぐための具体的な方法

副業行政書士として土日中心で収入を得るための、実践的な方法を紹介します。

月間スケジュールのモデルケース

以下は、副業行政書士の月間スケジュールの一例です。

平日の過ごし方

  • 7:00〜8:00: 出勤前にメール確認・返信
  • 12:00〜13:00: 昼休みにメール確認・電話対応
  • 20:00〜22:00: 書類作成・情報収集(毎日2時間)
  • 平日合計: 約15時間/週

土日の過ごし方

  • 土曜日: 顧客との面談(午前1件、午後1件)+ 書類作成
  • 日曜日: 書類作成・ブログ更新・経理作業
  • 土日合計: 約10〜15時間/週

月間の業務時間: 約100〜120時間

副業行政書士の収入シミュレーション

月100〜120時間の業務時間で、どの程度の収入が見込めるかをシミュレーションします。

年間の受任目標と収入(開業1〜2年目)

業務内容年間受任数単価年間売上遺言書作成支援6件10万円60万円遺産分割協議書作成4件7万円28万円契約書作成10件5万円50万円内容証明郵便作成8件3万円24万円その他(相談料など)--18万円合計28件-180万円

経費(行政書士会の年会費約8万円、通信費、交通費、書籍代など)を差し引いても、年間約130万〜150万円程度の副業収入が見込めます。月あたりに換算すると約11万〜12万円です。

年間の受任目標と収入(開業3年目以降)

業務内容年間受任数単価年間売上遺言書作成支援12件10万円120万円遺産分割協議書作成8件8万円64万円契約書作成15件5万円75万円補助金申請支援3件20万円60万円その他(相談料など)--31万円合計38件+α-350万円

経費を差し引いて年間約280万〜300万円程度。月あたり約23万〜25万円の副業収入になります。

本業の年収が500万円の場合、副業を合わせると年収630万〜800万円に到達する計算です。

効率的に稼ぐためのポイント

1. オンラインを最大限活用する

  • 初回相談はZoomやGoogle Meetで対応する(移動時間を削減)
  • 書類のやり取りはメール・クラウドストレージで行う
  • 電子署名を活用して、対面での署名手続きを減らす
  • 電子申請に対応し、窓口への出向を最小限にする

2. テンプレートを充実させる

よく使う書類のテンプレートを整備することで、作業時間を大幅に短縮できます。

  • 遺言書の定型文テンプレート
  • 各種契約書のテンプレート
  • 内容証明郵便のテンプレート
  • 顧客への案内文書のテンプレート
  • 報酬見積書のテンプレート

3. 顧客対応の時間を決める

副業の場合、顧客からの連絡に即時対応できないことがあります。あらかじめ「対応可能な時間帯」を明示しておくことが重要です。

  • 電話対応: 平日12:00〜13:00、18:00〜21:00、土日10:00〜18:00
  • メール対応: 24時間以内に返信
  • 面談: 土日のみ(要予約)
確認問題

行政書士法では、行政書士は専業でなければならないと定められている。

○ 正しい × 誤り
解説
行政書士法には「専業でなければならない」という規定はありません。行政書士としての登録要件を満たし、事務所を設置していれば、会社員との兼業も認められます。ただし、勤務先の就業規則で副業が禁止されている場合は、そちらの規則に従う必要があります。

副業行政書士の集客方法

副業の場合、集客に使える時間も限られます。効率的な集客方法を優先的に取り組みましょう。

最優先: ホームページの開設

副業行政書士にとって最も重要な集客ツールはホームページです。24時間365日、自動的に集客してくれる「営業マン」として機能します。

ホームページに掲載すべき内容

  • 対応業務の詳細と料金表
  • 行政書士としてのプロフィール・経歴
  • 対応可能な時間帯・エリアの明記
  • 相談予約フォーム(日時指定可能なもの)
  • ブログ(専門分野に関する記事を定期更新)

ホームページの作成費用は、WordPressを使って自作すれば年間1万〜3万円程度(サーバー代・ドメイン代)で運用できます。

SEO対策のキーワード例

副業行政書士の場合、地域密着型のSEOが効果的です。

  • 「(地域名) 行政書士 遺言書」
  • 「(地域名) 相続 行政書士 相談」
  • 「(地域名) 契約書 作成 行政書士」
  • 「遺言書 作成 費用」
  • 「遺産分割協議書 書き方」

その他の集客方法

集客方法費用時間効果ホームページ(SEO)年間1万〜3万円記事更新に週2〜3時間長期的に高いGoogleビジネスプロフィール無料初期設定のみ地域検索で効果的SNS発信(X、Instagram)無料1日15分程度中長期的に効果あり他士業への挨拶交通費程度月1〜2回(土日)紹介案件に期待ポータルサイト掲載月0〜3万円初期設定のみ一定の効果ありセミナー開催0〜5万円準備含め10〜20時間高い(信頼構築)

限られた時間の中で最も効果的なのは、ホームページのSEO対策他士業からの紹介ネットワーク構築の2つです。この2つに集中的にリソースを投下しましょう。

副業から独立へのステップ

副業行政書士として軌道に乗ったら、次のステップとして独立開業を検討する方も多いでしょう。ここでは、副業から独立へのスムーズな移行方法を紹介します。

独立を判断する基準

副業から独立に移行するタイミングは、以下の基準を参考にしてください。

判断基準目安副業の年間売上300万円以上安定した月間問い合わせ数5件以上リピーター・紹介の割合全案件の30%以上開業資金の準備生活費1年分 + 事業資金本業の年収を超える見込み独立後2年以内

一つの目安として、副業の年間売上が300万円を超え、かつ安定している状態が独立の検討ラインです。ただし、これはあくまで目安であり、家族の状況や本業の将来性なども総合的に判断してください。

独立までのロードマップ

フェーズ1: 基盤構築期(副業開始〜1年目)

  • 行政書士登録・事務所開設
  • ホームページ開設・集客開始
  • 月1〜3件の受任を目指す
  • 年間売上目標: 100万〜180万円

フェーズ2: 成長期(副業2〜3年目)

  • 専門分野の確立
  • リピーター・紹介ネットワークの構築
  • 月3〜5件の受任を安定的に獲得
  • 年間売上目標: 200万〜350万円

フェーズ3: 独立準備期(副業3〜4年目)

  • 独立後の事業計画を策定
  • 開業資金の積立(目標: 500万円以上)
  • 退職のタイミングを検討
  • 年間売上目標: 300万〜400万円

フェーズ4: 独立(副業4〜5年目以降)

  • 本業を退職し、行政書士業に専念
  • 業務時間の拡大により案件数を増やす
  • 法人化・補助者の雇用を検討
  • 年間売上目標: 600万円以上

独立時の注意点

  • 退職のタイミング: ボーナス支給後、確定申告の期限を考慮して計画する
  • 社会保険の切替: 健康保険は任意継続(最大2年)か国民健康保険への切替を選択。年金は国民年金に切替
  • 退職金・失業保険: 自己都合退職の場合、失業保険の給付開始は退職後2〜3か月後。ただし、すでに開業届を出している場合は受給できない可能性がある点に注意
  • 顧客への告知: 独立により対応可能な時間が増えることを既存顧客に伝え、案件の拡大を図る
確認問題

行政事務に通算17年以上従事した公務員は、行政書士試験を受けなくても行政書士として登録できる特任制度がある。

○ 正しい × 誤り
解説
行政書士法第2条第6号に基づき、国または地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間が通算して17年以上(中卒の場合は20年以上)ある者は、行政書士試験に合格していなくても行政書士として登録することができます。これは「特任制度」と呼ばれています。

副業行政書士のよくある疑問

Q1: 確定申告はどうすればいい?

副業による所得が年間20万円を超える場合、確定申告が必要です。行政書士の副業収入は「事業所得」として申告します。

  • 青色申告の届出をしておけば、最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
  • 経費として計上できるもの: 行政書士会の会費、書籍代、通信費、交通費、事務用品代、ホームページ運営費など
  • 会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)を使えば帳簿作成も比較的簡単

Q2: 行政書士会の活動(義務研修など)は参加できる?

行政書士会が主催する研修や会議は平日に開催されることが多いです。副業の場合、全てに参加するのは難しいかもしれませんが、以下のように対応しましょう。

  • 必須の研修は有給休暇を使って参加する
  • オンラインで参加可能な研修を優先する
  • 支部活動は土日に開催されることも多いので積極的に参加する

Q3: 本業の会社にバレることはある?

副業が会社にバレる主なルートは住民税です。副業で得た所得が加算されると、住民税の額が増えるため、会社の経理担当が気づく可能性があります。

対策としては、確定申告の際に住民税の徴収方法を「自分で納付(普通徴収)」に選択することです。これにより、副業分の住民税は会社の給与から天引きされず、自分で直接納付する形になります。ただし、自治体によっては普通徴収を選択できない場合もあるため、事前に確認が必要です。

Q4: 副業行政書士でも賠償責任保険に入れる?

行政書士賠償責任保険(行政書士会が提供する団体保険)には、副業行政書士でも加入可能です。年間保険料は約3万〜5万円程度で、業務上のミスによる損害賠償リスクに備えることができます。顧客との信頼関係を守るためにも、加入をおすすめします。

まとめ

副業で行政書士を始めることは、リスクを抑えながら独立開業への道を歩むための現実的で堅実な方法です。

副業行政書士を始めるためのポイントを改めて整理します。

始める前に確認すべきこと

  • 勤務先の就業規則で副業が認められているか
  • 行政書士登録に必要な初期費用(約30万〜40万円)を準備できるか
  • 自宅を事務所として使用できるか

副業に向いている業務分野

  • 遺言書・相続関連(土日の相談対応がしやすく、高単価)
  • 契約書・内容証明郵便の作成(場所と時間を選ばず作業可能)
  • 補助金申請支援(オンライン対応可能で報酬が高い)

収入の目安

  • 開業1〜2年目: 年間130万〜150万円(月約11万〜12万円)
  • 開業3年目以降: 年間280万〜300万円(月約23万〜25万円)

独立への移行基準

  • 副業の年間売上が300万円以上で安定していること
  • 生活費1年分 + 事業資金が確保されていること

副業行政書士は、本業の安定した収入を維持しながら、行政書士としての実務経験とネットワークを構築できるという大きなメリットがあります。「いきなり独立は不安」という方は、まず副業からスタートして、着実にステップアップしていく道を選んでみてはいかがでしょうか。

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