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行政書士試験に落ちた人がやるべき5つの見直し

行政書士試験に不合格だった方に向けて、典型的な5つの失敗パターンと具体的な改善策を解説。学習時間不足、科目偏り、記述式対策不足、一般知識の足切り、本番メンタルの問題を一つずつ見直して次回の合格を目指しましょう。

はじめに:不合格には必ず原因がある

行政書士試験の合格率は例年10〜15%前後で推移しており、受験者の大多数が不合格になる試験です。不合格になったこと自体は決して恥ずかしいことではありません。

しかし、同じやり方で再受験しても結果は変わりません。不合格になった原因を正確に分析し、具体的な改善策を講じることが、次回の合格に向けた第一歩です。

本記事では、不合格者に共通する5つの典型的なパターンを取り上げ、それぞれについて「なぜそうなるのか」「どう改善すべきか」を具体的に解説します。自分がどのパターンに該当するかを見極め、次回の受験に向けた行動計画を立てる材料にしてください。

パターン1:学習時間の絶対的な不足

問題の本質

行政書士試験の合格に必要な学習時間は一般的に600〜1000時間とされています。法学部出身者や他の法律資格の学習経験がある方であれば600時間程度で合格する例もありますが、法律の学習が初めての方は800〜1000時間を見込む必要があります。

不合格者の中で最も多いパターンが、この学習時間の絶対量が足りないケースです。具体的には以下のような状況が該当します。

  • 合計学習時間が500時間未満だった
  • 試験の3ヶ月前から勉強を始めた
  • 仕事や家庭の事情で、計画どおりの勉強時間を確保できなかった
  • 勉強したつもりが、テキストを眺めていただけで実質的な学習時間は少なかった

学習時間不足の自己診断

以下の質問にYes/Noで答えてみてください。

  • 試験当日までの合計学習時間を把握しているか?
  • 行政法のテキストを最低1回は通読したか?
  • 民法のテキストを最低1回は通読したか?
  • 過去問を最低1周は解き終えたか?
  • 記述式の練習を10問以上行ったか?

Noが2つ以上ある場合、学習時間の不足が不合格の主要因である可能性が高いです。

具体的な改善策

改善策1:学習時間を記録する習慣をつける

次回の受験では、毎日の学習時間を記録してください。アプリ(Studyplusなど)を使えば手軽に管理できます。記録することで「今月は目標の80%しか勉強できていない」といった事実が可視化され、軌道修正が可能になります。

改善策2:1日あたりの学習時間を現実的に設定する

「1日3時間勉強する」という目標を掲げても、仕事がある平日に3時間確保するのは難しい方が多いはずです。平日1.5〜2時間、休日3〜5時間を目安に、無理のない計画を立てましょう。

改善策3:隙間時間を活用する

通勤時間、昼休み、就寝前の30分など、隙間時間を活用すれば1日30分〜1時間の追加学習が可能です。スマートフォンアプリや音声教材を使えば、テキストがなくても学習できます。

改善策4:勉強開始時期を前倒しする

前回の試験後(11月〜12月)から学習を開始すれば、翌年の試験まで約12ヶ月あります。3ヶ月や半年の準備期間では時間が足りなかった方は、早期スタートを徹底しましょう。

パターン2:科目の偏りによる取りこぼし

問題の本質

行政書士試験では、得意科目だけで合格点に達するのは困難です。行政法で高得点を取っても、民法や一般知識で大きく失点すれば合格ラインに届きません。

科目の偏りが生じやすい典型的な状況は以下のとおりです。

  • 行政法ばかり勉強して民法が手薄になっている
  • 法令科目に集中しすぎて一般知識の対策をしていない
  • 得意科目ばかり繰り返し、苦手科目を後回しにしている
  • 商法・会社法を完全に捨てている(20点の失点)

偏りを可視化する方法

前回の試験結果(成績通知書)を科目別に分析しましょう。行政書士試験の成績通知書には科目別の得点は記載されませんが、自己採点で科目別の正答率を把握することは可能です。

各科目の正答率を以下の基準で評価してください。

正答率評価対策80%以上十分現状維持で問題なし60〜80%合格圏内弱いテーマを補強40〜60%不十分重点的な学習が必要40%未満深刻基礎からやり直し

具体的な改善策

改善策1:配点に比例した時間配分を計画する

行政法(112点)と民法(76点)で全体の約63%を占めるため、学習時間の55〜60%をこの2科目に充てるのが原則です。ただし、前回の試験結果で行政法が80%以上取れていたなら、民法や一般知識に時間をシフトするなど、自分の弱点に応じた調整が必要です。

改善策2:苦手科目を先に学習する

人間は得意な科目の勉強を優先しがちです。次回の学習では、あえて苦手科目から1日の学習を始めるルールを設けましょう。頭が冴えている時間帯に苦手科目に取り組むことで、理解の質が上がります。

改善策3:週単位で科目のバランスをチェックする

毎週日曜日に、その週の科目別学習時間を集計します。特定の科目に偏っていたら、翌週の計画で修正します。

確認問題

行政書士試験の不合格の原因として最も多いのは、科目の偏りによる取りこぼしである。

○ 正しい × 誤り
解説
不合格の原因として最も多いのは学習時間の絶対的な不足です。科目の偏りも重要な原因の一つですが、まず十分な学習時間を確保することが大前提となります。

パターン3:記述式対策の不足

問題の本質

記述式は3問で60点の配点があり、合否に直結する出題形式です。にもかかわらず、記述式の対策が不十分なまま本番を迎える受験生は少なくありません。

記述式対策が不足する典型的な理由は以下のとおりです。

  • 択一式の学習に時間を取られ、記述式の練習まで手が回らなかった
  • 記述式の勉強方法がわからず、何をすればいいか迷ったまま放置した
  • 模範解答を読んで「分かった気」になり、実際に自分で書く練習をしなかった
  • 記述式対策を直前期まで先送りにして時間切れになった

記述式の得点が合否に与える影響

具体的な数字で考えてみましょう。

択一式と多肢選択式の満点は240点(法令等科目184点+一般知識等56点)です。合格ラインの180点に到達するには、択一式・多肢選択式で180点取るか、記述式で差分を補う必要があります。

現実的には、択一式・多肢選択式で180点取るには正答率75%が必要であり、これは相当な高水準です。多くの合格者は択一式・多肢選択式で140〜160点程度を取り、記述式で20〜40点を加算して180点に到達しています。

つまり、記述式で20点以上取れるかどうかが合否の分かれ目になるケースが非常に多いのです。

具体的な改善策

改善策1:記述式対策を学習計画に明示的に組み込む

「記述式の練習を毎日1問解く」「毎週土曜日は記述式の日にする」など、具体的なスケジュールを決めましょう。曖昧に「時間があったらやる」では後回しになります。

改善策2:書く練習を徹底する

模範解答を読むだけでは記述力は身につきません。必ず自分の手で40字程度の解答を書き、模範解答と比較する作業を繰り返してください。

改善策3:頻出テーマのパターンを整理する

記述式の出題テーマには傾向があります。行政法では訴訟要件に関する出題が多く、民法では請求権の根拠規定を問う出題が典型的です。過去10年分の記述式の出題テーマを一覧にして、自分が書けるテーマと書けないテーマを整理しましょう。

民法第709条:故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

たとえば不法行為に基づく損害賠償請求の記述では、「故意又は過失」「権利又は法律上保護される利益の侵害」「損害の発生」「因果関係」という4つの要件を正確に書けるかどうかが問われます。

改善策4:部分点を意識した解答を書く

完璧な解答が書けなくても、キーワードを含む解答を書けば部分点が期待できます。「分からないから白紙」は最も避けるべき対応です。

パターン4:一般知識等の足切り

問題の本質

一般知識等科目(56点満点)で24点未満(6問未満の正解)の場合、法令科目の得点に関係なく不合格となります。この「足切り」は毎年多くの受験生を苦しめています。

法令科目で180点以上を取りながら、一般知識の足切りで不合格になるケースは珍しくありません。これは最も悔しい不合格パターンと言えるでしょう。

足切りにかかりやすい人の特徴

  • 法令科目の勉強に全力を注ぎ、一般知識の対策を一切していない
  • 政治・経済・社会の対策に時間をかけすぎ、情報通信・個人情報保護と文章理解がおろそかになっている
  • 個人情報保護法の条文を学習していない
  • 文章理解の解法テクニックを知らない

具体的な改善策

改善策1:「足切り回避」を最優先目標にする

一般知識等は高得点を目指す科目ではなく、足切りを確実に回避する科目です。目標は14問中6問正解(24点)であり、半分以上間違えても足切りは回避できます。

改善策2:得点しやすい分野に集中する

一般知識等の3分野のうち、対策の費用対効果が高い順に並べると以下のとおりです。

  1. 文章理解(3問・12点):解法テクニックを身につければ高い確率で正解できる。3問中2〜3問正解を目標にする
  2. 情報通信・個人情報保護(4問・16点):個人情報保護法の条文学習が有効。4問中2〜3問正解を目標にする
  3. 政治・経済・社会(7問・28点):範囲が広く対策しにくい。時事問題を中心にチェックし、7問中1〜2問正解を目標にする

文章理解で2問+情報通信で2問+政治経済社会で2問=合計6問で足切りクリアという計算です。

改善策3:文章理解の解法を体系的に学ぶ

文章理解は公務員試験の問題集が良い練習材料になります。並べ替え問題、空欄補充問題、要旨把握問題のそれぞれについて、以下の解法を身につけましょう。

  • 並べ替え問題:接続詞と指示語に注目し、文の論理的なつながりを見つける
  • 空欄補充問題:空欄の前後の文脈から、入るべき語句や文を推測する
  • 要旨把握問題:各段落の要点を把握し、筆者の主張を特定する

改善策4:個人情報保護法は条文ベースで学習する

個人情報保護法は法令科目と同じアプローチで対策できます。条文を読み、過去問で出題パターンを確認し、重要条文を暗記するサイクルで学習しましょう。

確認問題

行政書士試験の一般知識等で足切りを回避するために最も効率的なのは、文章理解と情報通信・個人情報保護の対策に注力することである。

○ 正しい × 誤り
解説
文章理解と情報通信・個人情報保護は対策の費用対効果が高い分野です。この2分野で安定して得点することで、政治・経済・社会の対策が不十分でも足切りラインの24点をクリアしやすくなります。

パターン5:本番のメンタルと実力発揮の失敗

問題の本質

十分な学習をしていても、本番で実力を発揮できなければ合格は難しくなります。試験当日のメンタル面の問題は、模試の成績と本番の結果が大きく乖離する主な原因です。

本番で実力を発揮できないパターンとしては、以下のようなものがあります。

  • 極度の緊張:緊張で頭が真っ白になり、知っているはずの知識が出てこない
  • 時間配分の失敗:序盤の問題に時間をかけすぎて後半が時間切れになる
  • パニック:分からない問題が連続すると焦りが生じ、本来解ける問題も間違える
  • 体調不良:睡眠不足、風邪、空腹などで集中力が低下する
  • マークミス:解答用紙のマークがずれてしまう

具体的な改善策

改善策1:模試を会場で受験する

本番の雰囲気に慣れるためには、自宅ではなく会場で模試を受験することが効果的です。周囲に他の受験生がいる環境、時間制限のプレッシャー、独特の緊張感を事前に体験しておくことで、本番での動揺を軽減できます。

改善策2:時間配分の戦略を決めておく

試験時間は3時間(180分)です。以下のような時間配分の目安を事前に決めておき、模試で練習しましょう。

パート問題数目安時間法令択一式(基礎法学・憲法)7問15分法令択一式(行政法)19問35分法令択一式(民法)9問20分法令択一式(商法)5問10分多肢選択式3問15分記述式3問30分一般知識等14問40分見直し-15分

改善策3:「分からない問題は飛ばす」ルールを徹底する

1問に3分以上かけても解けない場合は、一旦飛ばして次の問題に進むルールを自分に課しましょう。飛ばした問題は最後の見直し時間に戻って解きます。これにより、解ける問題を確実に得点するリズムが作れます。

改善策4:試験前日〜当日のルーティンを決める

試験前日と当日の行動パターンをあらかじめ決めておくと、余計な判断によるストレスを減らせます。

  • 前日:夜21時には勉強を終え、持ち物を確認して22〜23時に就寝する
  • 当日朝:いつもどおりの時間に起床し、消化の良い朝食を取る
  • 会場到着:試験開始の30分前には着席し、最後のチェック(重要条文・判例の要点確認)を行う
  • 試験中:深呼吸を3回してから問題に取りかかる

改善策5:マークミス対策を講じる

マークミスを防ぐために、以下の習慣をつけましょう。

  • 5問ごとに問題番号と解答欄の番号が一致しているか確認する
  • 飛ばした問題がある場合は、問題用紙に大きく印をつけておく
  • 見直し時間の最初に、マークの塗り漏れ・ずれがないか全体を確認する
確認問題

行政書士試験の本番で、1問に5分以上かけて考えることは時間配分の観点から適切である。

○ 正しい × 誤り
解説
行政書士試験は180分で60問以上を解く必要があるため、1問あたりの平均時間は約3分です。1問に5分以上かけると時間が足りなくなる可能性が高く、3分以上考えて解けない問題は一旦飛ばして後で戻るのが適切です。

不合格通知を受け取った後にやるべきこと

ステップ1:自己採点の結果を保存する

試験直後に行った自己採点の結果を、科目別・テーマ別に整理して保存しておきましょう。これが次回の学習計画の出発点になります。

ステップ2:冷静に原因を分析する

不合格の直後は感情的になりやすいですが、1〜2週間の冷却期間を置いてから冷静に原因を分析しましょう。本記事で紹介した5つのパターンのうち、自分に該当するものを特定してください。多くの場合、複数のパターンが重なっています。

ステップ3:再受験するかどうかを決める

再受験を決意する前に、以下の点を検討しましょう。

  • 来年の試験まで十分な学習時間を確保できるか
  • モチベーションを維持できるか
  • 経済的な負担(教材費、模試代など)に問題はないか
  • 家族や職場の理解は得られるか

再受験を決めたら、できるだけ早く学習を再開しましょう。不合格の記憶が新しいうちに始めるほうが、モチベーションが高い状態で取り組めます。

ステップ4:学習計画を練り直す

前回と同じ計画で再受験しても、同じ結果になる可能性が高いです。本記事で紹介した改善策を踏まえ、以下の点を中心に計画を練り直してください。

  • 学習時間の総量は十分か
  • 科目別の時間配分は適切か
  • 記述式対策は計画に含まれているか
  • 一般知識の対策は計画に含まれているか
  • 模試の受験予定は組み込まれているか

まとめ

行政書士試験に不合格だった場合にやるべき5つの見直しは以下のとおりです。

  1. 学習時間の見直し:合計800時間以上を目標に、毎日の学習時間を記録して管理する
  2. 科目バランスの見直し:行政法と民法に55〜60%の時間を配分しつつ、苦手科目から逃げない
  3. 記述式対策の見直し:学習計画に明示的に組み込み、毎日書く練習を行う
  4. 一般知識対策の見直し:文章理解と個人情報保護法に集中し、足切り回避を確実にする
  5. 本番対応力の見直し:模試で時間配分を練習し、試験当日のルーティンを事前に決めておく

不合格は「まだ合格する力がない」という意味ではありません。「合格するためにあと何を改善すればいいか」を教えてくれるフィードバックです。原因を正確に分析し、的確な改善策を実行すれば、次回の合格は十分に射程圏内です。

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