択一式の解く順番と時間管理|効率的な解答戦略
行政書士試験における択一式の解く順番と時間管理の戦略を解説。3時間の使い方、科目別の解答順序、1問あたりの目安時間、マークミス防止法まで、試験本番で実力を最大限に発揮する方法を紹介します。
はじめに|同じ実力でも「解く順番」で得点が変わる
行政書士試験は180分(3時間)で60問を解く試験です。択一式40問、多肢選択式3問、記述式3問、一般知識等14問という構成であり、限られた時間をどのように配分するかが合否に直結します。
同じ知識量を持っていても、解く順番が違えば得点に差が出ます。得意な科目に十分な時間を確保できれば正答率が上がり、苦手な科目に時間をかけすぎなければ全体の得点バランスが安定します。
本記事では、試験全体の3時間をどう使うか、択一式を解く順番をどう決めるか、1問あたりの目安時間、そしてマークミスの防止策まで、試験当日の解答戦略を実践的に解説します。
3時間の全体設計
試験時間の概要と配分の基本
行政書士試験の制限時間は180分です。この180分を4つのパート(法令択一式、多肢選択式、記述式、一般知識等)にどう配分するかが最初に決めるべきことです。
推奨する時間配分は以下の通りです。
この配分はあくまで出発点であり、模試を通じて自分に最適な配分を見つけることが重要です。ただし、記述式に最低40分は確保するという点は譲らない方がよいでしょう。記述式は1問20点と配点が高く、時間をかけた分だけ得点に反映されやすいパートです。
パートごとの解答順序を決める
問題冊子は、問題1から問題60まで順番に並んでいます。しかし、問題1から順に解く必要はありません。自分にとって最も効率的な順序で解くことが可能です。
推奨する解答順序は以下の通りです。
推奨順序1:一般知識等→法令択一式→多肢選択式→記述式
一般知識等を最初に解く理由は、足切り対策です。一般知識等で6問(24点)以上を取れなければ、法令科目がどれだけ良くても不合格になります。頭が最もフレッシュな状態で文章理解を解くことで、正答率を最大化できます。
推奨順序2:法令択一式→一般知識等→多肢選択式→記述式
問題冊子の順番通りに解く方法です。問題の飛ばし読みが不要なため、マークシートの記入ミスが起きにくいのが利点です。ただし、記述式を最後に回すため、時間が足りなくなるリスクがあります。
推奨順序3:記述式→法令択一式→多肢選択式→一般知識等
記述式を最初に解くことで、最も配点の高いパートに十分な時間を確保する方法です。記述式に自信がある場合や、時間が足りなくなることが多い場合に有効です。
自分に最適な順序を見つける方法
解答順序は「これが正解」というものはなく、自分の得意不得意や性格に合ったものを選ぶべきです。模試を複数回受けて、異なる解答順序を試してみましょう。
以下のチェックポイントで判断します。
- 足切りが不安なら、一般知識等を先に解く
- 記述式に時間が足りなくなるなら、記述式を前半に回す
- マークミスが心配なら、問題順に解く
- 集中力が後半で落ちるなら、配点の高い科目を前半に解く
法令択一式の科目別解答戦略
科目別の出題数と配点を確認する
法令択一式は40問出題されます。科目別の内訳は以下の通りです。
注目すべきは、行政法が19問で最多出題であり、法令択一式全体の約半数を占めるという点です。行政法の正答率を上げることが、法令択一式全体の得点を左右します。
科目別の1問あたりの時間目安
すべての科目に同じ時間をかけるのは効率的ではありません。科目の難易度と配点に応じて、1問あたりの時間配分を調整しましょう。
民法は事例問題が多いため、他の科目より1問あたりの時間が長くなる傾向があります。逆に、基礎法学と商法・会社法は比較的短い時間で判断できることが多いです。
解く順番の3つの戦略
法令択一式40問を解く順番にも戦略があります。
戦略A:問題番号順に解く
最もシンプルな方法です。基礎法学→憲法→行政法→民法→商法・会社法の順に解きます。マークミスが起きにくく、問題を探す手間がないのが利点です。ただし、最後に商法・会社法を解く際に時間が足りなくなっても、配点的な影響は比較的小さいため、合理的な方法と言えます。
戦略B:得意科目から解く
得意な科目から解くことで、序盤で得点を積み重ね、精神的な余裕を作る方法です。行政法が得意なら行政法から、民法が得意なら民法から解きます。試験の緊張感の中で、自信のある問題から解くことで調子を上げる効果があります。
戦略C:配点の高い科目から解く
行政法(19問76点)→民法(9問36点)→憲法(5問20点)→商法・会社法(5問20点)→基礎法学(2問8点)の順に解く方法です。最も配点の高い科目にフレッシュな状態で取り組むことで、全体の得点を最大化する戦略です。
1問あたりの目安時間と「飛ばす判断」
2分30秒ルール
法令択一式の1問あたりの目安時間は約2分です。しかし、問題の難易度によって時間のかかり方は異なります。そこで「2分30秒ルール」を導入しましょう。
ルール: 1問に2分30秒以上かかっていると感じたら、その問題は一旦飛ばして次の問題に進む。
このルールの目的は、難しい問題に時間を取られて、簡単な問題を解く時間がなくなることを防ぐことです。飛ばした問題は、全問題を一通り解いた後の見直し時間で再挑戦します。
飛ばすべき問題の見極め方
以下のような問題は、早めに飛ばす判断をしましょう。
- 選択肢がすべて長文の問題: 読むだけで時間がかかる問題は、後回しにすることで時間効率が上がる
- まったく見覚えのないテーマの問題: 知識がない問題に時間をかけても正解できる確率は低い
- 判断に迷う問題: 2つの選択肢で迷った場合、いったんどちらかをマークして飛ばし、後で再検討する
飛ばした問題の管理方法
飛ばした問題を効率よく管理するために、以下の方法を実践しましょう。
問題冊子に印をつける: 飛ばした問題の問題番号に丸をつけるか、ページの角を折っておく。後で見返す際にすぐに見つけられる
マークシートに仮マークする: 飛ばした問題でも、暫定的にマークシートに回答しておく。時間切れの場合でも白紙よりは得点の可能性がある
飛ばした問題数を把握する: 飛ばした問題が5問を超えたら、後半の時間配分を再計算する
法令択一式で1問に2分30秒以上かかる場合は、一旦飛ばして次の問題に進み、全問解き終えた後に再挑戦するのが効率的な戦略である。○か×か。
残り時間の管理テクニック
時計の使い方
試験会場では腕時計の持ち込みが認められています(ただし、通信機能や計算機能のないもの)。時計を使った時間管理が合格のための重要な技術です。
開始時にチェックポイントを設定する
試験開始前に、以下のようなチェックポイントを設定しておきましょう。
これらはあくまで目安であり、自分の解答ペースに合わせて調整してください。
遅れが出た場合の対処法
チェックポイントの時点で予定より遅れている場合、以下の調整を行います。
10分以内の遅れ: 見直し時間を削って対応する。大きな問題ではない
10〜20分の遅れ: 商法・会社法や基礎法学の未着手の問題を「勘でマーク」に切り替え、配点の高い行政法・民法・記述式に時間を集中する
20分以上の遅れ: 記述式の時間を最低30分確保し、残りの択一式は飛ばす問題を増やす。択一式1問4点より記述式の部分点の方が効率がよい
ペース配分の練習方法
時間管理の技術は、模試での反復練習で身につけます。以下の練習を推奨します。
- 模試を受ける際は必ず腕時計を使い、チェックポイントでの進捗を記録する
- 模試後に時間配分の振り返りを行い、次回の改善点を明確にする
- 自宅で過去問を解く際にも、本番と同じ180分の制限時間を設けて通し練習を行う
マークミスを防止する具体策
マークミスが起きる3つの原因
マークミスは、知識不足とは無関係に得点を失う最も悔しいミスです。マークミスが発生する原因は主に3つです。
原因1:問題番号のズレ
問題を飛ばした際に、マークシートの記入位置がずれてしまうケースです。問題15を飛ばして問題16に進んだのに、マークシートは問題15の欄に問題16の答えを記入してしまう、というパターンです。
原因2:解答番号の書き間違い
問題冊子に「3」と書いたのに、マークシートに「4」をマークしてしまうケースです。特に試験後半の疲労時に発生しやすいです。
原因3:マークの塗り方の問題
マークが薄すぎて機械が読み取れない、消しゴムの跡が残って二重マークと判定される、といったケースです。
マークミスを防ぐ5つの対策
対策1:5問ごとに番号を確認する
5問解くごとに、問題番号とマークシートの番号が一致しているか確認します。このクセをつけることで、番号のズレを早期に発見できます。
対策2:問題冊子に答えを書いてからマークする
まず問題冊子の選択肢番号に丸をつけ、その後にマークシートに転記する方法です。問題冊子に記録が残るため、見直し時にマークシートと照合できます。
対策3:飛ばした問題はマークシートにも印をつける
飛ばした問題のマークシート欄に小さく印をつけておくと、番号のズレを防げます。ただし、回答欄の外に印をつけるようにしましょう。
対策4:マークの塗り方を統一する
マークは横方向に2〜3往復で塗りつぶすと、均一で読み取りやすいマークになります。試験前に自分のマーク方法を決めておき、模試で練習しておきましょう。
対策5:見直し時間でマークシート全体を確認する
試験終了前の5〜10分を使って、マークシート全体を確認します。未記入の欄がないか、二重マークがないか、番号のズレがないかをチェックしましょう。
適切な筆記具の選び方
マークシート試験では、筆記具の選び方も重要です。
- 鉛筆: HBまたはBの鉛筆が推奨されています。シャープペンシルは芯が細すぎてマークが薄くなりやすいですが、使用は認められています
- 消しゴム: よく消えるプラスチック消しゴムを用意する。消し跡が残りやすい消しゴムは避ける
- 予備: 鉛筆は最低3本、消しゴムは2個用意して試験に臨む
模試で解答戦略を検証する
模試で試すべき3つのポイント
解答順序や時間配分は、本番前の模試で必ず検証しましょう。模試で試すべきポイントは以下の3つです。
ポイント1:解答順序の検証
前述した推奨順序のうち、自分に合うものを模試で試します。複数回の模試を受けて、異なる順序を試してみることが理想的です。
ポイント2:時間配分の検証
チェックポイントでの進捗を記録し、予定通りに進んでいるか確認します。遅れが出やすいパートがわかれば、時間配分を修正できます。
ポイント3:飛ばす判断の検証
2分30秒ルールを適用して飛ばした問題について、後で解き直した際に正解できたか確認します。飛ばさずに粘った方がよかった問題、飛ばして正解だった問題を分析することで、飛ばす判断の精度が上がります。
模試後の振り返りチェックリスト
模試を受けた後は、以下のチェックリストで振り返りを行いましょう。
- 記述式に十分な時間を確保できたか
- 一般知識等の足切りラインをクリアできたか
- 飛ばした問題は何問あったか、後で解けたか
- マークミスはなかったか
- 残り10分で見直しの時間を確保できたか
- 途中で焦りを感じた場面はあったか
- 時間が余った場合、どのように使ったか
行政書士試験の法令択一式において、配点の高い行政法(19問76点)の正答率を上げることが、法令択一式全体の得点を最も大きく左右する。○か×か。
まとめ|戦略を決めて本番に臨む
試験当日の解答戦略を改めて整理します。
- 3時間の全体設計: 記述式に40〜50分を確保し、残りを択一式・多肢選択式・一般知識等に配分する
- 解答順序: 足切りが不安なら一般知識等から、記述式の時間確保を重視するなら記述式から解く
- 科目別の時間配分: 民法は1問2.5〜3分、他の科目は1問2〜2.5分を目安にする
- 飛ばす判断: 2分30秒以上かかる問題は一旦飛ばし、全体を解き終えた後に再挑戦する
- マークミス防止: 5問ごとに番号確認、問題冊子に答えを記録してからマークする
これらの戦略は、模試で事前に検証し、自分に合った形に調整しておくことが不可欠です。本番で初めて試す戦略は、かえって混乱の原因になります。模試を「戦略の実験場」として活用し、本番では迷いなく自分の戦略を実行しましょう。