行政書士試験に出る数字・期間の暗記リスト|横断整理
行政書士試験で頻出の「数字・期間」を科目横断で徹底整理。行政法・民法・憲法・一般知識の重要な数字を暗記リスト形式でまとめます。
はじめに|数字・期間の暗記が直接得点に結びつく
行政書士試験では、「何日以内」「何ヶ月以内」「何分の1以上」といった数字や期間に関する知識が、択一式で直接問われることが非常に多いです。条文の趣旨や判例の射程を理解する能力ももちろん重要ですが、数字の正確な暗記はそれ以上に即効性のある得点力を持ちます。
なぜなら、数字に関する問題は「知っていれば確実に正解できる」問題だからです。法律の解釈や判例の評価には複数の見方がありえますが、「審査請求期間は処分を知った日の翌日から3月以内」という数字には解釈の余地がありません。覚えているか覚えていないか、それだけで正誤が決まります。
しかし、数字の暗記には大きな落とし穴があります。それは「似たような数字が多く、混同しやすい」という点です。行政不服審査法の審査請求期間は「3月」、行政事件訴訟法の出訴期間は「6月」。この違いを正確に覚えていなければ、本番で迷って誤答してしまいます。
本記事では、行政書士試験で頻出の数字・期間を科目横断で整理し、比較表と暗記のコツを提供します。試験直前の総点検にも使える実践的なリストです。ぜひブックマークして繰り返し確認してください。
行政手続法の重要な数字
標準処理期間と理由の提示
行政手続法は、行政庁の処分手続きに関するルールを定めた法律です。条文数は比較的少ないですが、試験では条文の正確な文言が問われるため、数字や「義務」「努力義務」の区別を正確に覚えておく必要があります。
標準処理期間の「設定」は努力義務ですが、「設定した場合の公表」は義務です。この区別は択一式で繰り返し出題されています。
行政庁は、申請がその事務所に到達してから当該申請に対する処分をするまでに通常要すべき標準的な期間を定めるよう努めるとともに、これを定めたときは、これらの当該申請の提出先とされている機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしておかなければならない。
――行政手続法6条
聴聞と弁明の機会の付与
不利益処分を行う場合の意見陳述手続きにも、重要な数字があります。
聴聞の通知は「相当な期間前」とされており、具体的な日数は法定されていません。ただし、「相当な期間前」という文言は択一式で問われることがあるため、覚えておく必要があります。
届出の到達主義
届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。
――行政手続法37条
届出は「到達したとき」に効力が生じます。「受理」ではなく「到達」である点が重要です。
行政不服審査法の期間
審査請求期間
行政不服審査法の期間は、行政書士試験で最も頻繁に出題される数字の1つです。主観的期間と客観的期間の2つを正確に覚えましょう。
処分についての審査請求は、処分があったことを知った日の翌日から起算して三月(当該処分について再調査の請求をしたときは、当該再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して一月)を経過したときは、することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
――行政不服審査法18条1項
注意すべきポイントは以下のとおりです。
- 起算点は「翌日」から(初日不算入の原則)
- 再調査の請求をした場合の審査請求期間は「決定を知った日の翌日から1月」
- 「正当な理由」がある場合は期間経過後も審査請求可能
審理手続きに関する期間
審理手続きの各段階には、具体的な日数・月数が定められていないことが多く、「遅滞なく」という表現が使われています。この点も択一式で問われます。
行政事件訴訟法の期間
出訴期間
行政事件訴訟法の出訴期間は、行政不服審査法の審査請求期間との比較で出題されることが非常に多いです。
取消訴訟は、処分又は裁決があったことを知った日から六箇月を経過したときは、提起することができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
――行政事件訴訟法14条1項
行政不服審査法との比較
この比較表は極めて重要です。審査請求は「3月」、取消訴訟は「6月」という違いに加え、起算点の違い(審査請求は翌日起算、取消訴訟は条文上「知った日から」)にも注意が必要です。
仮の救済に関する要件
執行停止は「重大な損害」、仮の義務付け・仮の差止めは「償うことのできない損害」と、損害の程度の表現が異なる点に注意しましょう。仮の義務付け・仮の差止めのほうがより厳格な要件になっています。
国家賠償法の数字
求償権と相互保証
国家賠償法は条文数が少ない(全6条)ですが、試験で問われる数字・要件は正確に覚えておく必要があります。
前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
――国家賠償法1条2項
求償権の要件が「故意又は重大な過失」である点は頻出です。軽過失の場合は求償権がないことに注意しましょう。
民法の期間
消滅時効
民法の時効期間は、行政書士試験で最も出題頻度の高い数字の1つです。2020年の民法改正で時効制度が大幅に変更されたため、改正後の条文を正確に覚える必要があります。
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
――民法166条1項
不法行為の時効
不法行為に基づく損害賠償請求権の時効は、一般の債権の消滅時効とは異なる特則が設けられています。
不法行為の一般的な主観的期間は「3年」ですが、人の生命・身体を害する場合は「5年」に延長されます。この区別は試験で問われやすいポイントです。
取消権・追認の期間
相続に関する期間
遺留分侵害額請求権は、主観的期間が「1年」と非常に短い点に注意が必要です。他の多くの権利が「3年」「5年」である中、「1年」は例外的に短い期間です。
憲法の数字
国会・議院に関する数字
憲法の数字は、条文を正確に覚えているかどうかが直接問われます。
衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。
――日本国憲法54条1項
「40日以内」と「30日以内」の組み合わせは暗記必須です。「解散→40日以内に選挙→30日以内に召集」という流れで覚えましょう。
裁判所・内閣に関する数字
地方自治法の数字
直接請求制度の署名数
地方自治法の直接請求制度では、必要な署名数が論点として頻出です。
覚え方のポイントは、「条例制定・改廃」と「監査請求」は50分の1、「解散・解職」系は3分の1という区分です。
直接請求後の手続き
議会の解散・議員の解職・長の解職は、署名を集めた後に住民投票が行われ、過半数の同意が必要です。署名だけでは実現しない点に注意しましょう。
科目横断の比較表で整理する
期間の比較表:「3月」「6月」「1年」
同じ「期間」でも、科目や場面によって異なる数字が使われています。混同しやすい数字を科目横断で比較します。
時効期間の比較表
議決要件の比較表
暗記のコツと効率的な学習法
語呂合わせで覚える
数字の暗記には語呂合わせが効果的です。以下にいくつかの例を紹介します。
「審査請求は3月、訴訟は6月」
→ 「審査(3)が先、訴訟(6)が後」と覚える。不服申立ての方が訴訟より期間が短いのは、行政内部での解決を先に促す制度趣旨と結びつけると理解しやすいです。
「解散したら40日で選挙、30日で召集」
→ 「ヨン(4)ジュウの選挙にサン(3)ジュウの召集」。数字が1つずつ減っていくイメージで覚えます。
「直接請求はゴジュウブンノイチとサンブンノイチ」
→ 「イチゴ(1/50)を作って、サン(1/3)で壊す」。条例の制定(作る行為)は50分の1、解散・解職(壊す行為)は3分の1と、行為の重大性に応じて必要署名数が増えるイメージです。
比較表を自作して反復する
本記事で紹介した比較表を自分の手で書き直すことが、最も効果的な暗記法です。見るだけでは記憶に定着しにくいですが、自分で表を作成すると、数字の違いを意識的に比較しながら書くことになるため、記憶の定着率が飛躍的に向上します。
比較表を作成する際のポイントは以下のとおりです。
- 似たような数字を並べる: 「3月」と「6月」、「1年」と「20年」など、混同しやすい数字を横に並べる
- 色分けする: 蛍光ペンで数字を色分けすると視覚的に記憶に残りやすい
- 毎日5分間確認する: 作成した比較表を毎日見返す習慣をつける
過去問で定着度を確認する
暗記した数字が正確に定着しているかは、過去問を解いて確認するのが最善です。過去問の選択肢の中には、正しい数字を微妙に変えた「ひっかけ」が含まれていることが多く、こうしたひっかけに対応できるかどうかが暗記の精度を測る指標になります。
たとえば、「審査請求は処分を知った日の翌日から6月以内にしなければならない」という選択肢は、「6月」の部分が誤りです(正しくは「3月」)。このような問題を繰り返し解くことで、正確な数字が定着していきます。
行政不服審査法における審査請求の主観的期間は、処分があったことを知った日の翌日から6月以内である。○か×か。
不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効は、損害及び加害者を知った時から5年である。○か×か。
地方自治法において、条例の制定・改廃を直接請求するために必要な署名数は、有権者の3分の1以上である。○か×か。
まとめ
行政書士試験に出る数字・期間を科目横断で整理しました。本記事のポイントを振り返ります。
- 行政不服審査法の「3月」と行政事件訴訟法の「6月」の区別は最頻出。起算点の違い(翌日起算か当日起算か)も合わせて正確に覚える
- 民法の時効期間は改正後の条文を正確に暗記する。一般の債権(5年/10年)、不法行為(3年/20年)、生命・身体の侵害(5年/20年)の区別が重要
- 科目横断の比較表を自作し、似た数字を並べて覚える。語呂合わせと反復学習を組み合わせ、過去問で定着度を確認する
数字・期間の暗記は地道な作業ですが、覚えた分だけ確実に得点に結びつきます。試験直前まで繰り返し確認し、本番で確実に正解できるようにしましょう。
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よくある質問(FAQ)
Q1. 数字の暗記はいつから始めるべきですか?
科目ごとの基礎学習が一通り終わった段階(8〜9月頃)から、科目横断での数字整理を始めるのが効果的です。ただし、各科目の学習時に出てくる数字はその都度覚えるようにし、後から横断整理で混同しやすい数字を重点的に確認しましょう。
Q2. 条文番号まで覚える必要はありますか?
条文番号を覚えることは必須ではありませんが、覚えていると択一式で選択肢の正誤判断が速くなります。特に、行政手続法6条(標準処理期間)、行政不服審査法18条(審査請求期間)、行政事件訴訟法14条(出訴期間)、民法166条(消滅時効)などの主要条文は、番号と内容をセットで覚えておくと有利です。
Q3. 憲法の数字は全部覚える必要がありますか?
憲法の数字はそれほど多くないため、主要なものはすべて覚えることを推奨します。特に、衆参の任期(4年・6年)、解散後の選挙と召集の期間(40日・30日)、議決要件(過半数・3分の2)は最低限押さえておくべきです。
Q4. 改正前の民法の時効期間は出題されますか?
現在の行政書士試験では、改正後の民法(2020年4月1日施行)に基づいて出題されます。改正前の短期消滅時効(1年・2年・3年・5年)は廃止されたため、出題される可能性は低いです。ただし、経過措置に関する出題がゼロとは断言できないため、改正の概要は把握しておくとよいでしょう。
Q5. 数字の暗記にスマートフォンのアプリは使えますか?
フラッシュカード形式のアプリ(Anki等)は数字の暗記に非常に有効です。表面に「審査請求の主観的期間は?」、裏面に「知った日の翌日から3月以内(行政不服審査法18条1項)」と記録し、通勤・通学時間に繰り返し確認しましょう。アプリの間隔反復機能を活用すれば、忘却曲線に合わせた効率的な復習が可能です。