無効等確認の訴えは、当該処分又は裁決に続く処分により損害を受けるおそれのある者その他当該処分又は裁決の無効等の確認を求めるにつき法律上の利益を有する者で、当該処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無を前提とする現在の法律関係に関する訴えによつて目的を達することができないものに限り、提起することができる。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「誤り」。
特別区が地方税を賦課徴収できる点は正しいのですが、他の地方公共団体から交付金を受けることを禁じられているという部分が誤りです。むしろ地方自治法は、都から特別区へ交付金を交付する仕組み(都区財政調整制度)を明文で定めています。
根拠は地方自治法282条です。同条1項は、都は、都および特別区・特別区相互間の財源の均衡化を図り、特別区の行政の自主的かつ計画的な運営を確保するため、政令で定めるところにより、条例で、特別区財政調整交付金を交付するものとする旨を定めています。この交付金の原資となるのは、本来であれば市町村税である固定資産税や市町村民税法人分などを、大都市地域の一体性の観点から都が特別区の存する区域において課税している分(いわゆる調整三税)です。特別区自身は、特別区民税などを賦課徴収する権限を有していますが、それだけでは財政需要を賄えず、また区ごとの税源の偏在も大きいため、都が調整役として交付金を配分する仕組みが不可欠なのです。
理由づけです。肢は「行政の自主的かつ計画的な運営を確保するため」という条文由来のフレーズを使いながら、その帰結を正反対の「交付金を受けることを禁じられている」と結んでいます。実際には、まさにその自主的・計画的な運営を確保するために交付金が交付されるのですから、条文の趣旨を真逆に述べていることになります。条文の文言を知っていれば一瞬で切れる肢であり、逆に知らないと「自主性のために外部からの財政支援を排するのだろう」という一般論に流されやすい作りになっています。
ひっかけポイントです。第一に、都区財政調整制度の枠組み(地方自治法282条、都区協議会は同法282条の2)を条文とセットで押さえること。第二に、地方交付税や国庫支出金など、他の団体から財源が移転する仕組みは地方財政の常態であり、これを一律に禁じる法制はないという常識的な視点を持つこと。第三に、特別区の財政については、都と特別区の間で協議する場として都区協議会が設けられ、財政調整交付金に関する条例の制定改廃の際に意見を聴くこととされている点も、あわせて確認しておきましょう。
結論:この肢は「正しい」。
地方自治法281条1項が「都の区は、これを特別区という」と定めているとおり、同法上の特別区は都に置かれる区を指しますが、2012年(平成24年)に制定された「大都市地域における特別区の設置に関する法律」(いわゆる大都市地域特別区設置法)により、道府県においても所定の手続を経て特別区を設置することが可能となりました。
根拠を確認します。同法は、道府県の区域内において、一の指定都市、または一の指定都市および当該指定都市に隣接する同一道府県の市町村の人口の合計が200万以上である地域(特別区設置対象市町村の区域)について、関係市町村を廃止し、特別区を設けることを認めています。手続としては、関係市町村と関係道府県が共同して特別区設置協議会を設け、特別区設置協定書を作成し、関係市町村および関係道府県の議会の承認を得たうえで、関係市町村において選挙人の投票(住民投票)に付し、有効投票の総数の過半数の賛成があったときに、総務大臣への申請を経て設置される、という流れになります。したがって、「廃止される関係市町村における住民投票などの手続を経て」「一定の要件を満たす他の道府県においても設けることが可能となった」という記述は正確です。
理由づけです。この法律は、いわゆる大阪都構想を念頭に置いて、大都市地域における広域行政と基礎自治行政の役割分担を再編できるようにするために制定されました。市町村の廃止を伴う極めて重大な制度変更であるため、議会の議決だけでなく住民投票による直接の意思確認を要求している点に特徴があります。実際、大阪市では2015年と2020年の二度にわたり住民投票が実施され、いずれも反対多数となって特別区の設置には至っていません(2026年時点でも、都以外に特別区が設置された例はありません)。
ひっかけポイントです。第一に、地方自治法上の定義(281条1項)と特別法による設置可能性は矛盾しないこと。第二に、この住民投票は、地方自治法上の直接請求や住民投票条例に基づくものではなく、大都市地域特別区設置法という個別法が定める法定の住民投票であること。第三に、市町村の廃置分合は通常、都道府県知事が議会の議決を経て定め総務大臣に届け出る(地方自治法7条)のに対し、特別区設置は住民投票を必須とする特別の手続によるという違いも意識しておきましょう。