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法定相続分の計算問題攻略|図解で解法マスター

法定相続人の範囲と順位、法定相続分の計算方法(配偶者+子・配偶者+直系尊属・配偶者+兄弟姉妹)、代襲相続、特別受益と寄与分を計算問題の解法パターンとともに解説。行政書士試験の相続分野を完全攻略します。

はじめに|法定相続分の計算は必ず出る

行政書士試験の民法では、法定相続分の計算問題が繰り返し出題されています。択一式で5肢から正解を選ぶ形式が多く、正確に計算できれば確実に得点できる分野です。

しかし、代襲相続が絡む事例や、相続放棄した者がいる事例では、相続分の計算が複雑になり、ミスが起きやすくなります。本記事では、法定相続人の確定から相続分の計算まで、段階的な解法パターンを示し、どのような事例が出ても対応できる力を養います。

法定相続人の範囲と順位

相続人になれる者

民法が定める法定相続人は、以下の者です。

相続人地位根拠条文配偶者常に相続人890条子第1順位887条1項直系尊属(父母等)第2順位889条1項1号兄弟姉妹第3順位889条1項2号

配偶者は常に相続人になるという点が最も重要です。配偶者は、他の相続人と並んで常に相続権を有します。

相続の順位

先順位の相続人がいる場合、後順位の相続人は相続人になりません。

  • 第1順位(子)がいる場合: 直系尊属・兄弟姉妹は相続人にならない
  • 第1順位がおらず、第2順位(直系尊属)がいる場合: 兄弟姉妹は相続人にならない
  • 第1順位・第2順位がいない場合: 第3順位(兄弟姉妹)が相続人になる

胎児の相続権(886条)

胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
――民法886条1項

胎児は、相続については生まれたものとみなされます。ただし、死体で生まれた場合は適用されません(886条2項)。

法定相続分の基本パターン

パターン1:配偶者と子

子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
――民法900条1号
相続人相続分配偶者1/2子(全体で)1/2

子が複数いる場合、子の相続分(1/2)を均等に分けます。

計算例: 被相続人Aに配偶者B、子C・Dがいる場合

  • B: 1/2
  • C: 1/2 × 1/2 = 1/4
  • D: 1/2 × 1/2 = 1/4

パターン2:配偶者と直系尊属

配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
――民法900条2号
相続人相続分配偶者2/3直系尊属(全体で)1/3

計算例: 被相続人Aに配偶者B、父C・母Dがいる場合

  • B: 2/3
  • C: 1/3 × 1/2 = 1/6
  • D: 1/3 × 1/2 = 1/6

パターン3:配偶者と兄弟姉妹

配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
――民法900条3号
相続人相続分配偶者3/4兄弟姉妹(全体で)1/4

計算例: 被相続人Aに配偶者B、兄C・弟Dがいる場合

  • B: 3/4
  • C: 1/4 × 1/2 = 1/8
  • D: 1/4 × 1/2 = 1/8

パターン4:配偶者がいない場合

配偶者がいない場合、同順位の相続人のみで均等に分けます。

計算例: 被相続人Aに子B・C・Dがいる場合(配偶者なし)

  • B: 1/3
  • C: 1/3
  • D: 1/3

3パターンの相続分一覧

組合せ配偶者血族相続人配偶者+子1/21/2配偶者+直系尊属2/31/3配偶者+兄弟姉妹3/41/4

配偶者の相続分が「1/2 → 2/3 → 3/4」と順位が下がるほど大きくなることを覚えておきましょう。

同順位の相続人間の分配ルール

子の間の均等分配(900条4号本文)

子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。
――民法900条4号本文

同順位の相続人が複数いる場合は、均等に分配するのが原則です。

嫡出子と非嫡出子の相続分

2013年の民法改正により、嫡出子と非嫡出子の相続分は同等になりました。改正前は非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1とされていましたが、最高裁の違憲決定(最大決平成25年9月4日)を受けて改正されました。

半血兄弟姉妹の相続分(900条4号ただし書)

ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
――民法900条4号ただし書

半血兄弟姉妹(父母の一方のみが同じ兄弟姉妹)の相続分は、全血兄弟姉妹の2分の1です。

計算例: 被相続人Aに配偶者なし、全血兄B・半血弟Cがいる場合

  • 兄弟姉妹の相続分は全体で1(配偶者がいないため)
  • Bの相続分:Cの2倍
  • B: 2/3、C: 1/3

計算方法: Bの取り分を2、Cの取り分を1として、合計3で割る。

代襲相続

代襲相続とは(887条2項)

被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。
――民法887条2項

代襲相続とは、相続人となるべき者が相続開始前に死亡した場合等に、その者の子が代わりに相続人となる制度です。

代襲原因

代襲原因内容相続開始前の死亡被相続人より先に死亡した場合相続欠格(891条)一定の不正行為により相続権を失った場合廃除(892条)家庭裁判所の審判により相続権を失った場合

注意: 相続放棄は代襲原因にならない。相続放棄をした者は初めから相続人でなかったものとみなされるため(939条)、代襲相続は生じません。

代襲相続と相続分

代襲相続人の相続分は、被代襲者が受けるべきであった相続分と同じです(901条1項)。代襲相続人が複数いる場合は、被代襲者の相続分を均等に分けます。

計算例: 被相続人Aに配偶者B、子Cがいたが、Cが先に死亡し、Cに子E・Fがいる場合

  • B: 1/2
  • E: 1/2 × 1/2 = 1/4(Cの相続分1/2をE・Fで均等分配)
  • F: 1/2 × 1/2 = 1/4

再代襲相続(887条3項)

子の代襲相続人(孫)がさらに死亡している場合、その子(ひ孫)が再代襲します。子の場合は再代襲が認められ、どこまでも代襲が続きます

一方、兄弟姉妹の代襲相続は一代限りです(889条2項)。兄弟姉妹の子(甥・姪)は代襲相続できますが、甥・姪の子には再代襲は認められません。

被代襲者代襲相続再代襲子ありあり(無制限)兄弟姉妹ありなし(一代限り)

相続放棄がある場合の計算

相続放棄の効果

相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
――民法939条

相続放棄をした者は、最初から相続人でなかったものとして扱われます。

計算への影響

相続放棄をした者を除外して、残りの相続人で法定相続分を計算し直します。

計算例: 被相続人Aに配偶者B、子C・Dがいるが、Cが相続放棄した場合

  • Cは最初から相続人でなかったとみなされる
  • B: 1/2
  • D: 1/2

CがDの分を取得するのではなく、Dが子としての取り分(1/2)を全部取得する点に注意してください。

全員が相続放棄した場合: 子全員が相続放棄すると、第1順位の相続人がいなくなるため、次順位の直系尊属が相続人となります。

特別受益(903条)

特別受益とは

特別受益とは、共同相続人の中に被相続人から遺贈生前贈与(婚姻・養子縁組・生計の資本としての贈与)を受けた者がいる場合の調整制度です。

共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、法定相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
――民法903条1項

計算方法

ステップ1: みなし相続財産を計算する
みなし相続財産 = 相続開始時の遺産 + 特別受益の額

ステップ2: 各相続人の一応の相続分を計算する
一応の相続分 = みなし相続財産 × 法定相続分

ステップ3: 特別受益者の具体的相続分を計算する
具体的相続分 = 一応の相続分 − 特別受益の額

計算例: 被相続人Aの遺産が6000万円、相続人は配偶者Bと子C・D。Cが生前に1000万円の贈与を受けていた場合

  • みなし相続財産: 6000万円 + 1000万円 = 7000万円
  • B: 7000万円 × 1/2 = 3500万円
  • C: 7000万円 × 1/4 − 1000万円 = 750万円
  • D: 7000万円 × 1/4 = 1750万円
  • 合計: 3500 + 750 + 1750 = 6000万円(遺産総額と一致)

持戻し免除の意思表示(903条3項)

被相続人が特別受益の持戻しを免除する意思表示をした場合、特別受益の持戻しは行いません。

被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。
――民法903条3項

配偶者への居住用不動産の贈与(903条4項)

改正民法で新設された規定です。

婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第一項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。
――民法903条4項

婚姻期間20年以上の配偶者への居住用不動産の贈与は、持戻し免除の意思表示があったものと推定されます。

寄与分(904条の2)

寄与分とは

寄与分とは、共同相続人の中に被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者がいる場合に、その貢献を相続分に反映させる制度です。

計算方法

ステップ1: みなし相続財産を計算する
みなし相続財産 = 相続開始時の遺産 − 寄与分の額

ステップ2: 各相続人の一応の相続分を計算する
一応の相続分 = みなし相続財産 × 法定相続分

ステップ3: 寄与者の具体的相続分を計算する
具体的相続分 = 一応の相続分 + 寄与分の額

計算例: 被相続人Aの遺産が8000万円、相続人は子B・C。Bに2000万円の寄与分がある場合

  • みなし相続財産: 8000万円 − 2000万円 = 6000万円
  • B: 6000万円 × 1/2 + 2000万円 = 5000万円
  • C: 6000万円 × 1/2 = 3000万円
  • 合計: 5000 + 3000 = 8000万円(遺産総額と一致)

計算問題の解法パターン

4ステップの解法

相続分の計算問題は、以下の4ステップで解きます。

  1. 相続人の確定: 誰が相続人になるか(相続放棄・代襲相続に注意)
  2. 相続分の組合せの確認: 配偶者+子か、配偶者+直系尊属か、配偶者+兄弟姉妹か
  3. 法定相続分の計算: 基本パターンに当てはめて計算
  4. 修正: 特別受益・寄与分がある場合は調整

よくあるひっかけポイント

ひっかけ正しい処理相続放棄した子の子は代襲相続するしない。相続放棄は代襲原因ではない半血兄弟姉妹の相続分は全血の1/2正しい。900条4号ただし書養子は実子と同じ相続分正しい。養子も「子」に含まれる兄弟姉妹の再代襲はあるない。兄弟姉妹の代襲は一代限り

まとめ

法定相続分の計算問題は、以下のポイントを押さえれば確実に得点できます。

  • 配偶者は常に相続人: 血族相続人と併せて相続する
  • 3パターンの相続分: 1/2・1/2、2/3・1/3、3/4・1/4
  • 代襲相続: 子は無制限に再代襲、兄弟姉妹は一代限り
  • 相続放棄: 初めから相続人でなかったとみなす。代襲原因にならない
  • 特別受益: みなし相続財産=遺産+贈与額。受益者は控除
  • 寄与分: みなし相続財産=遺産−寄与分。寄与者は加算

計算問題は練習量がものを言います。さまざまな事例パターンで繰り返し練習してください。

確認問題

相続放棄をした者の子は、代襲相続により相続人となることができる。

○ 正しい × 誤り
解説
相続放棄は代襲原因にはなりません。民法887条2項が定める代襲原因は、相続開始前の死亡、相続欠格(891条)、廃除(892条)の3つです。相続放棄をした者は初めから相続人とならなかったものとみなされるため(939条)、代襲相続は生じません。
確認問題

兄弟姉妹が相続人となる場合、兄弟姉妹の子(甥・姪)は代襲相続できるが、甥・姪の子は再代襲できない。

○ 正しい × 誤り
解説
兄弟姉妹の代襲相続は一代限りです(889条2項は887条2項のみを準用し、887条3項の再代襲規定は準用していません)。したがって、甥・姪は代襲相続人になれますが、甥・姪の子は再代襲することができません。一方、子の場合は887条3項により再代襲が認められ、孫・ひ孫と無制限に代襲が続きます。
確認問題

配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合、配偶者の法定相続分は4分の3である。

○ 正しい × 誤り
解説
民法900条3号により、配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は4分の3、兄弟姉妹の相続分は4分の1です。配偶者の相続分は、子と共同相続する場合(1/2)、直系尊属と共同相続する場合(2/3)、兄弟姉妹と共同相続する場合(3/4)の順に大きくなります。
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