情報公開法の要点|開示請求の要件と不開示情報を整理
行政機関の保有する情報の公開に関する法律(情報公開法)を解説。開示請求権の要件、6つの不開示情報、部分開示・裁量的開示の仕組みを行政書士試験の出題ポイントに沿って整理します。
はじめに|情報公開法は行政法の重要テーマ
情報公開法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律)は、行政機関が保有する情報を国民に公開する制度を定めた法律です。国民の「知る権利」を実現する重要な法律であり、行政書士試験でも択一式で出題されています。
情報公開法の出題パターンは、開示請求の要件、不開示情報の種類、救済手続が中心です。条文の数は多くありませんが、6つの不開示情報の正確な理解が求められます。
本記事では、情報公開法の全体像を解説し、試験で問われるポイントを整理します。
情報公開法の目的と対象
法律の目的
情報公開法は、政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的としています(第1条)。
ポイント: 情報公開法は「知る権利」という文言を直接使用していません。目的規定では「政府の有するその諸活動を国民に説明する責務」(説明責任=アカウンタビリティ)という表現が用いられています。
対象となる機関
情報公開法の対象は行政機関です。国会や裁判所は対象に含まれません。
- 対象: 内閣府、各省庁、委員会、庁など国の行政機関
- 対象外: 国会(立法府)、裁判所(司法府)
- 独立行政法人: 独立行政法人等情報公開法(別の法律)により対応
行政文書の定義
開示請求の対象となるのは「行政文書」です。行政文書とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいいます(第2条第2項)。
3つの要件:
- 行政機関の職員が職務上作成し又は取得したもの
- 行政機関の職員が組織的に用いるもの(個人的なメモは該当しない)
- 当該行政機関が保有しているもの
開示請求権
請求権者
何人も行政文書の開示を請求することができます(第3条)。日本国民に限らず、外国人や法人も開示請求をすることができます。
何人も、この法律の定めるところにより、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求することができる。 ― 情報公開法 第3条
開示請求の手続
開示請求は、以下の事項を記載した書面(開示請求書)を行政機関の長に提出して行います(第4条)。
- 氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人等にあっては代表者の氏名
- 行政文書の名称その他の開示請求に係る行政文書を特定するに足りる事項
開示・不開示の決定
行政機関の長は、開示請求があったときは、不開示情報が記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければなりません(第5条)。開示・不開示の決定は、原則として開示請求があった日から30日以内に行わなければなりません(第10条第1項)。
6つの不開示情報
情報公開法第5条は、6つの不開示情報を列挙しています。これが試験の最重要ポイントです。
1. 個人に関する情報(第5条第1号)
特定の個人を識別することができる情報、又は個人の権利利益を害するおそれがある情報は不開示です。ただし、公務員の職務遂行に関する情報のうち、公務員の職及び職務遂行の内容に関する部分は開示対象です。
2. 法人等に関する情報(第5条第2号)
法人等の正当な利益を害するおそれがある情報は不開示です。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため公にすることが必要な情報は除きます。
3. 国の安全等に関する情報(第5条第3号)
国の安全が害されるおそれ、他国との信頼関係が損なわれるおそれ、又は他国等との交渉上不利益を被るおそれがある情報は不開示です。
4. 公共の安全等に関する情報(第5条第4号)
公にすることにより犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある情報は不開示です。
5. 審議・検討等に関する情報(第5条第5号)
国の機関等の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ等がある情報は不開示です。
6. 事務・事業に関する情報(第5条第6号)
国の機関等が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報は不開示です。
部分開示と裁量的開示
部分開示(第6条)
行政文書の一部に不開示情報が記録されている場合でも、不開示情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、その部分を除いた残りの部分について開示しなければなりません。
公益上の理由による裁量的開示(第7条)
不開示情報に該当する場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、行政機関の長は裁量により開示することができます。
行政文書の存否に関する情報(第8条)
開示請求に対し、当該開示請求に係る行政文書が存在しているか否かを答えるだけで不開示情報を開示することとなるときは、その存否を明らかにしないで開示請求を拒否することができます(グローマー拒否)。
救済手続
不服申立て
開示決定等に不服がある場合は、行政不服審査法に基づく審査請求をすることができます。この場合、行政機関の長は原則として情報公開・個人情報保護審査会に諮問しなければなりません(第19条)。
取消訴訟
不開示決定に対して行政事件訴訟法に基づく取消訴訟を提起することも可能です。
試験での出題ポイント
- 請求権者は「何人も」: 国籍を問わない。外国人や法人も請求可能
- 「知る権利」の文言なし: 法律の目的は「説明する責務」(アカウンタビリティ)
- 6つの不開示情報: 個人情報・法人情報・国の安全・公共の安全・審議検討・事務事業
- 部分開示: 不開示部分を除いて開示する義務
- 裁量的開示: 不開示情報でも公益上の理由で開示可能
- 決定期限: 原則30日以内
情報公開法に基づく開示請求は、日本国民に限られ、外国人は請求することができない。
情報公開法は、その目的規定において「知る権利」という文言を明記している。
不開示情報に該当する場合であっても、公益上特に必要があると認めるときは、行政機関の長は裁量により開示することができる。
まとめ
情報公開法は、行政機関の保有する行政文書の開示請求制度を定めた法律です。請求権者は「何人も」であり国籍を問いません。6つの不開示情報(個人情報・法人情報・国の安全・公共の安全・審議検討・事務事業)が定められていますが、部分開示や裁量的開示により、可能な限り情報公開が図られる仕組みになっています。
試験では、不開示情報の具体的な内容、請求権者の範囲、「知る権利」の文言の不使用、救済手続が問われます。条文の正確な理解を心がけましょう。