条件・期限・期間の計算|初日不算入を正確に
停止条件・解除条件の違い、確定期限・不確定期限の意味、期間計算の初日不算入の原則と例外を網羅的に解説。年齢計算の特例や民法140条〜143条を正確に押さえて行政書士試験の得点源にしましょう。
はじめに|条件・期限・期間は正確さが求められる
民法総則の中でも、条件・期限・期間に関する規定は、一見すると地味な論点です。しかし、行政書士試験では細かい知識が問われやすく、「なんとなく」の理解では正答できない問題が出題されます。
特に期間の計算は、初日不算入の原則(140条)とその例外を正確に理解していないと、計算結果を1日間違えてしまいます。また、条件と期限の区別は、法律行為の効力発生時期に直結するため、実務的にも重要です。
本記事では、条件(127条〜134条)、期限(135条〜137条)、期間の計算(138条〜143条)を体系的に整理し、試験で問われるポイントを正確に押さえます。
条件の基本|停止条件と解除条件
条件とは何か
条件とは、将来の不確実な事実の成否に法律行為の効力の発生または消滅をかからしめる附款(ふかん)のことです。
ポイントは「将来の」「不確実な」事実であるという点です。すでに発生した事実や、確実に発生する事実は条件になりません。
停止条件(127条1項)
停止条件とは、その条件が成就したときに法律行為の効力が発生するものです。
停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
――民法127条1項
具体例: 「大学に合格したら、この時計をあげる」
→ 大学に合格するまでは贈与の効力は発生していません。合格という条件が成就して初めて効力が発生します。
解除条件(127条2項)
解除条件とは、その条件が成就したときに法律行為の効力が消滅するものです。
解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
――民法127条2項
具体例: 「留年したら、仕送りを止める」
→ 仕送りの効力はすでに発生していますが、留年という条件が成就すると効力が消滅します。
条件の成就・不成就の確定
条件に関する重要規定
条件の成就の妨害(130条)
条件の成否が未定である間に、条件の成就を妨害した場合について、民法130条は以下のように規定しています。
条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。
――民法130条1項
さらに改正民法では2項が新設されました。
条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。
――民法130条2項
この2項は改正で新設された規定であり、従来の判例法理を条文化したものです。試験でも出題されやすいポイントです。
条件付権利の保護(128条・129条)
条件の成否が未定の間も、当事者は一定の法的保護を受けます。
- 128条: 条件の成否が未定の間に、条件付権利を害することはできない
- 129条: 条件付権利は、一般の規定に従い、処分・相続・保存・担保の設定をすることができる
不法条件・不能条件(132条〜134条)
不能の解除条件が「無条件」になるという点は、直感に反するため出題されやすい論点です。解除条件は「その事実が起これば効力が消滅する」というものなので、不能の事実は絶対に起きないため、効力が消滅することもなく、結果として無条件の法律行為と同じになります。
期限の基本|確定期限と不確定期限
期限とは何か
期限とは、将来確実に到来する事実に法律行為の効力の発生・消滅または債務の履行をかからしめる附款です。
条件との最大の違いは、到来が確実であるという点です。
確定期限と不確定期限
不確定期限の典型例である「父が死亡したら」は、人はいつか必ず死亡するため「将来確実に到来する事実」に該当し、条件ではなく期限に分類されます。
期限の利益(136条)
期限は、債務者の利益のために定めたものと推定する。
――民法136条1項
期限の利益は債務者の利益のために定められたものと推定されます。したがって、債務者は期限の利益を放棄して期限前に弁済することができます(136条2項本文)。ただし、期限前弁済によって相手方の利益を害することはできません(136条2項ただし書)。
期限の利益の喪失(137条)
以下の場合、債務者は期限の利益を主張できなくなります(137条)。
- 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき(1号)
- 債務者が担保を滅失させ、損傷し、又は減少させたとき(2号)
- 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき(3号)
期間の計算方法(138条〜143条)
期間計算の2つの方法
民法は、期間の長さに応じて2つの計算方法を定めています。
初日不算入の原則(140条)
日・週・月・年をもって期間を定めた場合、初日は算入せず、翌日から起算するのが原則です。
日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。
――民法140条
具体例: 4月1日の午後3時に「7日間」の期間が始まる場合
- 初日(4月1日)は算入しない
- 起算日は4月2日
- 満了日は4月8日の終了時(午後12時)
初日不算入の例外
140条ただし書により、期間が午前零時から始まるときは初日を算入します。
具体例: 4月1日の午前零時から「7日間」の期間が始まる場合
- 初日(4月1日)を算入する
- 起算日は4月1日
- 満了日は4月7日の終了時
期間の満了(141条・143条)
期間の末日の終了をもって期間は満了します(141条)。
月・年で期間を定めた場合、暦に従って計算します(143条1項)。月・年の始めから期間を起算しない場合は、最後の月に応答する日の前日に満了します(143条2項本文)。
具体例: 1月31日から「1か月」の期間
- 起算日:2月1日(初日不算入)
- 満了日:2月末日(応答日3月1日の前日)
応答する日がない場合(たとえば2月30日が存在しない場合)は、その月の末日に満了します(143条2項ただし書)。
年齢計算の特例
年齢計算に関する法律
年齢計算については、「年齢計算ニ関スル法律」(明治35年法律第50号)により特則が設けられています。
この法律により、年齢は出生の日から起算します。つまり、民法140条の初日不算入の原則の例外として、出生日を含めて計算します。
具体的な計算
4月1日生まれの人は、翌年の3月31日の終了時(午後12時)に1歳になります。これは143条2項により、起算日の応答日(4月1日)の前日に満了するためです。
この結果、4月1日生まれの子どもは、学校教育法上、4月2日生まれの子どもより1学年上の学年に入ることになります。これは行政書士試験でも出題されることがある知識です。
条件・期限の比較まとめ
条件と期限の違い
試験で間違えやすいポイント
- 出世払いの約束: 判例は不確定期限と解しています(条件ではない)
- 「雨が降ったら」: 天候は不確実な事実であるため、条件です
- 「死亡したら」: 人の死亡は確実であるため、不確定期限です
- 純粋随意条件と期限の利益の放棄: 「気が向いたら払う」は条件か期限かが問題になります。判例は不確定期限としています
まとめ
条件・期限・期間は、地味ながらも行政書士試験で確実に得点すべき分野です。
- 条件: 停止条件=効力発生、解除条件=効力消滅
- 期限: 確定期限=いつか確定、不確定期限=いつか不確定だが到来は確実
- 期間計算: 初日不算入が原則、午前零時開始と年齢計算が例外
特に期間計算は、具体的な日付を使った計算問題として出題されます。初日不算入の原則と満了日の計算ルールを正確に身につけておきましょう。
不能の解除条件が付された法律行為は、法律行為全体が無効となる。
民法上、期間の計算において初日を算入するのは、期間が午前零時から始まるときである。
期限の利益は、債権者の利益のために定めたものと推定される。
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