株式の種類と譲渡制限|公開会社との違い
会社法の株式の基礎知識を行政書士試験向けに解説。種類株式の類型(配当優先・議決権制限・譲渡制限等)、株式譲渡自由の原則と譲渡制限株式、公開会社と非公開会社の違いを比較表つきで整理します。
はじめに|株式は会社法の最重要テーマの一つ
株式は、株式会社の社員たる地位を細分化して割合的単位にしたものです。会社法における株式の知識は、行政書士試験の商法・会社法分野において最重要テーマの一つであり、ほぼ毎年出題されています。
本記事では、株式の意義と基本原則、種類株式の類型、株式譲渡自由の原則と譲渡制限、そして公開会社と非公開会社の違いについて整理します。
行政書士試験の会社法は5問のみの出題ですが、株式分野は「機関」分野と並んで出題確率が高く、なかでも「公開会社/非公開会社の区別」「譲渡制限株式の承認手続」「種類株式の類型」は繰り返し問われる定番論点です。条文の数値(任期・決議要件・期間)と、定義の言い換え(「全部又は一部」「全部」というキーワードの違い)を正確に記憶することが得点に直結します。本記事では、まず土台となる制度を押さえたうえで、過去問で問われた角度・よくある誤解・関連論点まで踏み込んで解説します。
株式の意義
株式とは
株式とは、株式会社における社員(株主)の地位を、均一の割合的単位に細分化したものをいいます。
株式の特徴は以下のとおりです。
- 均一性: 各株式の内容は同一(種類株式を除く)
- 割合的単位: 社員の地位が割合的に分割される
- 譲渡性: 原則として自由に譲渡できる
株式が「割合的単位」とされるのは、株主の地位を金額そのものではなく持株数という単位で把握するためです。これにより、株主は1株単位で権利を有し、保有株式数に比例して権利の大小が決まります。持分会社(合名・合資・合同会社)の「持分」が社員ごとに1個(大きさは出資額により異なる)とされる「持分単一主義」と対比すると理解しやすいでしょう。株式会社は、社員の個性を問わず多数の出資者から資本を集めることを想定した物的会社であり、株式の均一性・割合的単位性はその物的会社としての性格を反映したものです。
株主の権利
株主は、その有する株式について、以下の権利を有します。
少数株主権の要件は「議決権割合」か「株式数割合」か
少数株主権の行使には、議決権割合・株式数割合・保有期間といった要件が法定されています。試験では、これらの要件の数値が選択肢にちりばめられるため、代表的なものを整理しておくと有利です。
なお、株主代表訴訟提起権(責任追及等の訴え)は単独株主権ですが、公開会社では6か月前から引き続き保有していることが要件とされます(会社法847条1項)。「単独株主権だが保有期間要件がある」という点はひっかけで問われやすい部分です。
株主平等の原則
株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。
― 会社法 第109条第1項
株主平等の原則は、株主をその保有する株式の内容と数に応じて平等に取り扱うことを要求するものです。「平等」とは、同一の種類・数の株式を有する株主は同一に取り扱うという意味であり、形式的平等ではなく比例的平等を意味します。
この原則の趣旨は、多数派株主や経営者による少数派株主への恣意的な差別・搾取を防止し、株主の地位の安定を図る点にあります。条文上は「内容及び数に応じて」とされており、保有株式数が多い株主が多くの配当・議決権を得ること自体は差別ではなく、むしろ比例的平等の現れです。
ただし、非公開会社においては、剰余金の配当、残余財産の分配、議決権について、株主ごとに異なる取扱いを定款で定めることができます(会社法109条2項)。
ここで重要なのは、109条2項が認めるのは「株式の内容ごと」ではなく「株主ごと」の異なる取扱いだという点です。種類株式が株式の属性に着目するのに対し、109条2項の属人的定めは「Aさんの議決権は1株10個」のように株主個人に着目します。この属人的定めは、会社法上、種類株式に関する規定の適用において種類株式とみなされます(会社法109条3項)。少数の株主による信頼関係を基礎とする非公開会社だからこそ認められる柔軟性であり、公開会社では一切認められません。
株主平等原則の例外
株主平等原則は絶対的なものではなく、会社法上いくつかの例外があります。
- 種類株式の発行(会社法108条)——株式の内容自体を区別する
- 非公開会社における株主ごとの異なる取扱い(会社法109条2項)
- 単元株制度(単元未満株主の議決権制限など)
- 株主優待制度——一般に合理的範囲であれば株主平等原則に反しないと解されている
種類株式
種類株式とは
種類株式とは、権利の内容が異なる2以上の種類の株式のことです。会社法は9種類の種類株式を認めています(会社法108条1項)。
種類株式を発行するには、定款に種類株式の内容および発行可能種類株式総数を定める必要があります(会社法108条2項)。種類株式発行会社になると、種類株主に損害を及ぼすおそれのある一定の行為については、原則として種類株主総会の決議が必要となります(会社法322条)。これは普通株主だけの決議で種類株主の利益が害されることを防ぐ仕組みです。
種類株式の類型
各類型の使われ方を理解すると暗記が定着します。配当優先株式(1号)はベンチャー投資で投資家に厚い配当を保証する場面で使われ、議決権制限株式(3号)は配当は受け取りたいが経営には関与しない投資家向けです。取得請求権付(5号)は株主側に取得を求める権利がある「プット型」、取得条項付(6号)は会社側に取得する権利がある「コール型」と整理すると混同しません。
取得請求権付・取得条項付・全部取得条項付の区別
5号・6号・7号は混同しやすく、出題頻度も高いため、「誰の意思で取得が起こるか」で区別します。
取得条項付株式(6号)は、定款変更により後から取得条項を設定する場合、当該種類株主全員の同意が必要です(会社法111条1項)。これは、自分の意思に反して株式を奪われる可能性を生む重大な変更だからです。一方、全部取得条項付株式(7号)への変更は、種類株主総会の特別決議で足ります(会社法111条2項)。この「全員の同意」と「特別決議」の違いは引っかけポイントです。
議決権制限種類株式の制限
公開会社では、議決権制限種類株式の数は、発行済株式総数の2分の1を超えてはなりません(会社法115条)。この制限を超えた場合、会社は直ちに2分の1以下にするための必要な措置をとらなければなりません。
非公開会社にはこの制限はありません。
この制限の趣旨は、少数の資本で会社を支配すること(議決権の過度な集中による不公正な支配)を防止する点にあります。公開会社は不特定多数の投資家が関与するため、こうした弊害を抑える必要が大きいのに対し、非公開会社は株主間の信頼関係を前提とするため制限が不要とされています。なお、条文上は「直ちに…必要な措置をとらなければならない」とされており、超過したこと自体が直ちに発行を無効とするわけではない点に注意が必要です。
拒否権付種類株式(黄金株)
拒否権付種類株式は、特定の事項について種類株主総会の決議がなければ効力が生じないとする株式です。1株でも事実上の拒否権を行使できるため、「黄金株」とも呼ばれます。
敵対的買収の防衛策として利用される場合がありますが、その利用には慎重な検討が必要とされています。
たとえば「合併には甲種類株主総会の決議を要する」と定めれば、甲種類株式を1株でも保有する者は、株主総会で合併が可決されても、種類株主総会で否決することで合併を阻止できます。経営者やオーナー一族が支配権を維持する手段として有用ですが、上場会社では投資家保護や市場の公正性の観点から原則として認められにくく、東京証券取引所も限定的にしか容認していません。
株式の譲渡
株式譲渡自由の原則
株主は、その有する株式を譲渡することができる。
― 会社法 第127条
株式の譲渡は原則として自由です。これを株式譲渡自由の原則といいます。
この原則の趣旨は、株主が会社からの退出手段(投下資本の回収手段)を確保することにあります。株式会社では、持分会社と異なり社員の退社制度がないため、株式の譲渡が投下資本の回収手段として重要な役割を果たします。
持分会社では社員が退社して持分の払戻しを受けられますが(会社法611条等)、株式会社にはこの退社制度がありません。出資者が資本を回収する唯一の実質的手段が株式の譲渡であるため、これを自由とすることが要請されるのです。逆にいえば、譲渡を制限する場合でも投下資本回収の道を完全に塞ぐことは許されず、後述する譲渡制限株式の制度でも、不承認の場合には会社または指定買取人による買取りという受け皿が用意されています。
法律による譲渡制限
定款による譲渡制限とは別に、会社法は一定の場合に法律上当然に株式譲渡を制限・禁止しています。これらは過去問で問われやすい論点です。
- 権利株(株式引受人の地位)の譲渡:成立前・新株発行前の権利株を譲渡しても、会社に対抗できない(会社法35条・50条2項・63条2項・208条4項)。
- 株券発行前の株式の譲渡:株券発行会社で株券発行前にした譲渡は、会社に対して効力を生じない(会社法128条2項)。
- 子会社による親会社株式の取得:原則として禁止(会社法135条1項)。例外的に取得した場合も相当の時期に処分しなければならない。
株式の譲渡方法
会社法上、株式会社は原則として株券を発行しない(株券不発行)のがデフォルトであり、株券を発行するには定款の定めが必要です(会社法214条)。「原則は株券発行」という旧商法時代の感覚で解くと誤るため注意してください。上場株式は社債株式等振替法に基づく振替株式として電子的に管理され、株券は発行されません。
株式譲渡の対抗要件
株券発行会社では、株券の占有者は適法な所持人と推定され(会社法131条1項)、株券の交付を受けた者は善意取得が認められます(会社法131条2項)。すなわち、無権利者から株券の交付を受けた場合でも、悪意・重過失がなければ株式を取得できます。これは株券に高度の流通性を認める趣旨です。一方、株券不発行会社では会社・第三者いずれに対しても株主名簿の名義書換が対抗要件となります。
株式の譲渡制限
譲渡制限株式とは
譲渡制限株式とは、その譲渡について株式会社の承認を要する旨の定めが設けられている株式をいいます(会社法2条17号)。
譲渡制限を設ける趣旨は、会社にとって好ましくない者が株主となることを防止し、閉鎖的な会社の人的関係を維持することにあります。
中小企業の多くは同族経営であり、見知らぬ第三者が株主として経営に介入することを避けたいというニーズがあります。譲渡制限はこのニーズに応える制度であり、実務上、日本の株式会社の大多数が全株式に譲渡制限を付した非公開会社です。なお、定款で「会社の承認を要する」と定めても、一定の場合(株主間の譲渡など)には承認を要しないものとみなす定めを置くこともできます(会社法107条2項1号ロ)。
譲渡制限の設定
譲渡制限は定款で定めます。定款に譲渡制限を新たに設ける場合(定款変更)は、株主総会の特殊決議が必要です(会社法309条3項1号)。
特殊決議の要件は、議決権を行使できる株主の半数以上で、かつ当該株主の議決権の3分の2以上の賛成です。通常の特別決議よりも厳格な要件が課されています。
ここで「半数以上」とは頭数(株主の人数)の要件であり、「3分の2以上」は議決権の要件です。すなわち、人数と議決権数の二重の要件が課されている点が特殊決議の特徴です。譲渡制限の設定は、株式の自由な処分という株主の重要な利益を制約するため、通常の特別決議(議決権の過半数を有する株主の出席+出席株主の議決権の3分の2以上)よりも加重された要件が定められています。
決議要件の整理
会社法の決議要件は出題の宝庫です。混同しないよう整理しておきましょう。
309条4項のさらに重い特殊決議(半数以上かつ4分の3以上)は、非公開会社における剰余金配当等の属人的定め(109条2項)を新設・変更する定款変更などに必要です。「特殊決議には2種類ある」ことを押さえておくと選択肢の精度が上がります。
譲渡承認の手続
譲渡制限株式を譲渡する場合の手続は以下のとおりです。
- 譲渡承認の請求: 株主(または取得者)が会社に対して譲渡の承認を請求
- 承認機関の決定: 取締役会設置会社は取締役会、それ以外は株主総会(定款で別段の定め可)
- 承認・不承認の通知: 請求の日から2週間以内に通知しなければ、承認したものとみなされる
- 不承認の場合の買取り: 不承認の場合、会社自身が買い取るか、指定買取人に買い取らせる
承認手続の期間に関する重要数値
譲渡承認手続には複数の「期間」が定められており、これらの数値が択一でストレートに問われます。
これらの「みなし承認」は、会社が承認・不承認をいつまでも曖昧にして株主の投下資本回収を妨げることを防ぐための規定です。みなし承認の効果が生じる起算点と日数(2週間・40日・10日)は混同しやすいので、表で正確に記憶しましょう。買取価格について当事者間の協議が調わない場合、株主・会社いずれも裁判所に売買価格の決定を申し立てることができます(会社法144条)。
譲渡制限に違反した譲渡の効力
譲渡制限株式を会社の承認なく譲渡した場合、当事者間では有効ですが、会社に対しては効力を主張できません。つまり、会社との関係では譲受人を株主として取り扱う必要はありません。
この「当事者間では有効、会社に対しては無効(相対的無効)」という結論は、判例によって確立されています。
商法二〇四条一項但書は、株式の譲渡につき定款をもつて取締役会の承認を要する旨を定めることを許しているが、その立法趣旨は、専ら会社にとつて好ましくない者が株主となることを防止することにあると解される。…右のような譲渡も、会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡当事者間においては有効であると解するのが相当である。
― 最判昭和48年6月15日
この判例の意義は、譲渡制限の趣旨(会社にとって好ましくない者の株主化の防止)から、制限の効力を会社との関係に限定し、譲渡当事者間の私法上の効力までは否定しないとした点にあります。会社にとって不都合がない範囲では譲渡の効力を認めることで、譲渡人・譲受人間の取引の安全と、会社の閉鎖性維持の双方に配慮した解釈です。なお、譲渡制限株式について、譲受人(取得者)の側からも会社に対して承認請求できる点(会社法137条)も合わせて押さえておきましょう。
一人会社・全株主の同意がある場合
譲渡制限株式であっても、株主が一人だけの会社(一人会社)における当該株主による譲渡や、株主全員の同意がある譲渡については、会社の承認がなくても会社に対する関係でも有効と解されています(最判平成5年3月30日など)。譲渡制限の趣旨が「他の株主の利益保護」にある以上、保護すべき他の株主が存在しない、または全株主が同意している場合には、承認を要求する意味がないからです。
公開会社と非公開会社
定義
重要なのは、1種類でも譲渡制限のない株式があれば「公開会社」に該当するという点です。上場会社と公開会社は同義ではありません。
会社法2条5号の定義は、条文の文言を正確に読むことが極めて重要です。
この法律において…次に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。…五 公開会社 その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定めを設けていない株式会社をいう。
― 会社法 第2条第5号
ポイントは、「全部又は一部の株式について譲渡制限の定めを設けていない」という二重否定的な構造です。整理すると次のようになります。
- 全株式に譲渡制限あり → 非公開会社
- 一部の株式にのみ譲渡制限あり(残りは制限なし)→ 公開会社
- 全株式に譲渡制限なし → 公開会社
つまり「譲渡制限のない株式が1種類でも存在すれば公開会社」です。「公開会社=上場会社」「公開会社=株式に譲渡制限がない会社」という誤解が頻出するため、定義を文言どおり正確に押さえてください。上場していなくても譲渡制限のない株式を発行していれば公開会社ですし、逆に上場会社は当然に公開会社です。
公開会社と非公開会社の主な違い
任期に関する補足
取締役・監査役の任期の「10年まで伸長可」は、いずれも非公開会社に限られる点が重要です。正確には、任期を10年まで伸長できるのは「監査役会設置会社・公開会社でない会社」であり、指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社では任期の特則が異なります。基本論点としては、
- 取締役の任期は原則選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで
- 監査役の任期は原則選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結時まで
- 非公開会社(指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社を除く)は、定款で10年まで伸長できる
と整理します。監査役の任期は監査の独立性確保のため短縮できない点(取締役は短縮可)も対比して覚えておきましょう。
募集株式の発行手続の違い
公開会社では、機動的な資金調達のため、募集株式の発行(新株発行)は原則として取締役会の決議で行えます(会社法201条1項)。一方、非公開会社では既存株主の持株比率維持の利益が重視されるため、原則として株主総会の特別決議が必要です(会社法199条2項)。ただし公開会社でも、特に有利な払込金額で発行する「有利発行」の場合は、既存株主の利益を害するため株主総会の特別決議が必要となります(会社法201条1項・199条3項)。この「公開会社は原則取締役会、ただし有利発行は株主総会特別決議」という流れは頻出です。
自己株式の取得
自己株式とは
自己株式とは、株式会社が有する自己の株式をいいます。会社法は、一定の場合に自己株式の取得を認めています。
かつては資本維持の原則や株価操作・インサイダー取引のおそれから自己株式の取得は原則禁止でしたが、現行会社法は手続規制(取得手続・財源規制)を課したうえで原則として取得を認めています。取得した自己株式(金庫株)は保有・処分・消却が可能です。
取得の方法
特定の株主からのみ自己株式を取得する場合に特別決議が必要とされるのは、特定の株主だけが有利に株式を換価できると他の株主との間で不公平が生じるためです。この場合、他の株主には自己を売主に追加するよう請求する権利(売主追加請求権)が原則として認められます(会社法160条3項)。
財源規制
自己株式の有償取得には、分配可能額を超えてはならないという財源規制があります(会社法461条)。剰余金の配当と同様に、株主への会社財産の払戻しにあたるため、債権者保護の観点から分配可能額の範囲内でしか行えません。財源規制に違反した取得が行われた場合、関与した取締役等は会社に対し連帯して支払義務を負うことがあります。
自己株式の保有と処分
取得した自己株式について、会社法は保有期間の制限を設けていません。自己株式には議決権がなく、配当請求権もありません。
自己株式に議決権が認められないのは、会社が自社の意思決定に参加する形となり、経営者による支配権の不当な維持につながるおそれがあるためです(会社法308条2項)。同様に、自己株式には剰余金配当請求権・残余財産分配請求権もありません(会社法453条括弧書等)。つまり自己株式は「権利が休眠状態の株式」であり、これらの権利が認められない点は択一でよく問われます。
試験での出題ポイント
- 種類株式の9類型: 特に議決権制限・譲渡制限・拒否権付(黄金株)を押さえる
- 公開会社の定義: 1種類でも譲渡制限のない株式があれば公開会社
- 公開会社と非公開会社の機関設計: 公開会社は取締役会必須、非公開会社は任意
- 譲渡制限に違反した譲渡の効力: 当事者間では有効、会社に対しては効力を主張できない
- 譲渡制限の定款変更: 特殊決議(半数以上かつ2/3以上)が必要
- 議決権制限種類株式の制限: 公開会社では発行済株式総数の1/2以下
- 取得請求権付・取得条項付・全部取得条項付の区別: 取得の主導権と取得の契機で整理
- 譲渡承認手続の期間: 2週間・40日・10日のみなし承認
- 自己株式の権利: 議決権・配当請求権なし、保有期間制限なし
- 株券は原則不発行: 株券発行には定款の定めが必要
よくある誤解
- 「公開会社=上場会社」ではない。譲渡制限のない株式を1種類でも発行していれば、非上場でも公開会社。
- 「譲渡制限株式の無承認譲渡は無効」ではない。当事者間では有効で、会社に対抗できないだけ(相対的無効)。
- 「株式会社は原則株券を発行する」のではない。現行会社法では原則不発行で、発行には定款の定めが必要。
- 「109条2項の属人的定めは種類株式の一種」ではない。株式の内容ではなく株主に着目する点で種類株式と異なる(ただし種類株式とみなして規定を適用)。
すべての株式に譲渡制限の定めを設けている株式会社は、会社法上の「公開会社」に該当する。
譲渡制限株式を会社の承認を得ずに譲渡した場合、当該譲渡は当事者間においても無効である。
公開会社では、議決権制限種類株式の数は発行済株式総数の2分の1を超えることができないが、非公開会社にはこの制限はない。
取得条項付株式とは、株主が会社に対してその株式の取得を請求できる株式をいう。
譲渡制限株式の譲渡について会社が承認するか否かの決定をし、その内容を株主に通知しなければならない期間は、原則として承認請求の日から2週間以内であり、この期間内に通知をしないと承認したものとみなされる。
まとめ
株式は株式会社における社員の地位を均一な割合的単位に細分化したものであり、原則として自由に譲渡できます。しかし、定款で譲渡制限を設けることで閉鎖的な会社の人的関係を維持することも可能です。
種類株式は9つの類型があり、特に議決権制限種類株式(公開会社では1/2以下)と拒否権付種類株式(黄金株)は頻出です。取得請求権付・取得条項付・全部取得条項付の区別、譲渡承認手続の期間(2週間・40日・10日)、自己株式に議決権・配当請求権がないことなど、数値とキーワードを正確に記憶することが得点につながります。
公開会社と非公開会社の違いは機関設計や取締役の任期など多岐にわたるため、比較表を活用して正確に区別しましょう。とりわけ「全部又は一部の株式に譲渡制限がなければ公開会社」という定義の読み方は、選択肢のひっかけに直結する最重要ポイントです。
会社法の他テーマとあわせて学習すると理解が深まります。機関設計・決議要件・株主総会の運営については株式会社の機関設計|取締役会・監査役の設置パターン、株式会社と対比される会社形態については持分会社|合名・合資・合同会社の特徴もあわせて確認してください。また、譲渡承認の期間や決議要件など条文の数値暗記の手法については行政書士試験に出る数字・期間の暗記リスト|横断整理が参考になります。
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