株式の種類と譲渡制限|公開会社との違い
会社法の株式の基礎知識を行政書士試験向けに解説。種類株式の類型(配当優先・議決権制限・譲渡制限等)、株式譲渡自由の原則と譲渡制限株式、公開会社と非公開会社の違いを比較表つきで整理します。
はじめに|株式は会社法の最重要テーマの一つ
株式は、株式会社の社員たる地位を細分化して割合的単位にしたものです。会社法における株式の知識は、行政書士試験の商法・会社法分野において最重要テーマの一つであり、ほぼ毎年出題されています。
本記事では、株式の意義と基本原則、種類株式の類型、株式譲渡自由の原則と譲渡制限、そして公開会社と非公開会社の違いについて整理します。
株式の意義
株式とは
株式とは、株式会社における社員(株主)の地位を、均一の割合的単位に細分化したものをいいます。
株式の特徴は以下のとおりです。
- 均一性: 各株式の内容は同一(種類株式を除く)
- 割合的単位: 社員の地位が割合的に分割される
- 譲渡性: 原則として自由に譲渡できる
株主の権利
株主は、その有する株式について、以下の権利を有します。
株主平等の原則
株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。 ― 会社法 第109条第1項
株主平等の原則は、株主をその保有する株式の内容と数に応じて平等に取り扱うことを要求するものです。「平等」とは、同一の種類・数の株式を有する株主は同一に取り扱うという意味であり、形式的平等ではなく比例的平等を意味します。
ただし、非公開会社においては、剰余金の配当、残余財産の分配、議決権について、株主ごとに異なる取扱いを定款で定めることができます(会社法109条2項)。
種類株式
種類株式とは
種類株式とは、権利の内容が異なる2以上の種類の株式のことです。会社法は9種類の種類株式を認めています(会社法108条1項)。
種類株式の類型
議決権制限種類株式の制限
公開会社では、議決権制限種類株式の数は、発行済株式総数の2分の1を超えてはなりません(会社法115条)。この制限を超えた場合、会社は直ちに2分の1以下にするための必要な措置をとらなければなりません。
非公開会社にはこの制限はありません。
拒否権付種類株式(黄金株)
拒否権付種類株式は、特定の事項について種類株主総会の決議がなければ効力が生じないとする株式です。1株でも事実上の拒否権を行使できるため、「黄金株」とも呼ばれます。
敵対的買収の防衛策として利用される場合がありますが、その利用には慎重な検討が必要とされています。
株式の譲渡
株式譲渡自由の原則
株主は、その有する株式を譲渡することができる。 ― 会社法 第127条
株式の譲渡は原則として自由です。これを株式譲渡自由の原則といいます。
この原則の趣旨は、株主が会社からの退出手段(投下資本の回収手段)を確保することにあります。株式会社では、持分会社と異なり社員の退社制度がないため、株式の譲渡が投下資本の回収手段として重要な役割を果たします。
株式の譲渡方法
株式譲渡の対抗要件
株式の譲渡制限
譲渡制限株式とは
譲渡制限株式とは、その譲渡について株式会社の承認を要する旨の定めが設けられている株式をいいます(会社法2条17号)。
譲渡制限を設ける趣旨は、会社にとって好ましくない者が株主となることを防止し、閉鎖的な会社の人的関係を維持することにあります。
譲渡制限の設定
譲渡制限は定款で定めます。定款に譲渡制限を新たに設ける場合(定款変更)は、株主総会の特殊決議が必要です(会社法309条3項1号)。
特殊決議の要件は、議決権を行使できる株主の半数以上で、かつ当該株主の議決権の3分の2以上の賛成です。通常の特別決議よりも厳格な要件が課されています。
譲渡承認の手続
譲渡制限株式を譲渡する場合の手続は以下のとおりです。
- 譲渡承認の請求: 株主(または取得者)が会社に対して譲渡の承認を請求
- 承認機関の決定: 取締役会設置会社は取締役会、それ以外は株主総会(定款で別段の定め可)
- 承認・不承認の通知: 請求の日から2週間以内に通知しなければ、承認したものとみなされる
- 不承認の場合の買取り: 不承認の場合、会社自身が買い取るか、指定買取人に買い取らせる
譲渡制限に違反した譲渡の効力
譲渡制限株式を会社の承認なく譲渡した場合、当事者間では有効ですが、会社に対しては効力を主張できません。つまり、会社との関係では譲受人を株主として取り扱う必要はありません。
公開会社と非公開会社
定義
重要なのは、1種類でも譲渡制限のない株式があれば「公開会社」に該当するという点です。上場会社と公開会社は同義ではありません。
公開会社と非公開会社の主な違い
自己株式の取得
自己株式とは
自己株式とは、株式会社が有する自己の株式をいいます。会社法は、一定の場合に自己株式の取得を認めています。
取得の方法
自己株式の保有と処分
取得した自己株式について、会社法は保有期間の制限を設けていません。自己株式には議決権がなく、配当請求権もありません。
試験での出題ポイント
- 種類株式の9類型: 特に議決権制限・譲渡制限・拒否権付(黄金株)を押さえる
- 公開会社の定義: 1種類でも譲渡制限のない株式があれば公開会社
- 公開会社と非公開会社の機関設計: 公開会社は取締役会必須、非公開会社は任意
- 譲渡制限に違反した譲渡の効力: 当事者間では有効、会社に対しては効力を主張できない
- 譲渡制限の定款変更: 特殊決議(半数以上かつ2/3以上)が必要
- 議決権制限種類株式の制限: 公開会社では発行済株式総数の1/2以下
すべての株式に譲渡制限の定めを設けている株式会社は、会社法上の「公開会社」に該当する。
譲渡制限株式を会社の承認を得ずに譲渡した場合、当該譲渡は当事者間においても無効である。
公開会社では、議決権制限種類株式の数は発行済株式総数の2分の1を超えることができないが、非公開会社にはこの制限はない。
まとめ
株式は株式会社における社員の地位を均一な割合的単位に細分化したものであり、原則として自由に譲渡できます。しかし、定款で譲渡制限を設けることで閉鎖的な会社の人的関係を維持することも可能です。
種類株式は9つの類型があり、特に議決権制限種類株式(公開会社では1/2以下)と拒否権付種類株式(黄金株)は頻出です。公開会社と非公開会社の違いは機関設計や取締役の任期など多岐にわたるため、比較表を活用して正確に区別しましょう。
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