持分会社の特徴|合名・合資・合同会社を比較
会社法の持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)の特徴を行政書士試験向けに解説。社員の責任・業務執行・退社の違い、株式会社との比較を表つきで整理。合同会社の債権者保護手続も解説します。
はじめに|持分会社は株式会社との比較で出題される
持分会社とは、合名会社・合資会社・合同会社の3つの会社形態の総称です。株式会社が「物的会社」と呼ばれるのに対し、持分会社は社員の個性が重視される「人的会社」としての性格を持ちます。
行政書士試験では、持分会社の各類型の違い、および株式会社との比較が択一式で出題されます。会社法は商法・会社法分野の出題の中心であり、株式会社が圧倒的なボリュームを占めますが、持分会社は「株式会社との対比」という形で1問単位で繰り返し問われる頻出テーマです。特に、社員の責任の性質(直接・間接、有限・無限)と、合同会社に課される債権者保護的な規制は、ひっかけ肢として狙われやすい論点です。
本記事では、3種類の持分会社の特徴を比較しながら整理したうえで、各論点について条文の趣旨・出題のされ方・よくある誤解まで踏み込んで解説します。まず全体像をつかみ、最後の比較表と出題ポイントで知識を固定するのが効率的な学習法です。
持分会社の意義
持分会社とは
持分会社とは、社員が出資をして会社の経営に参加する会社形態であり、社員の個性が会社の存立に大きな影響を与えます。会社法は、会社を「株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社」の4種類と定義し(会社法2条1号)、このうち合名会社・合資会社・合同会社の3つをまとめて「持分会社」と総称しています(会社法575条1項)。
この法律において「持分会社」とは、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。
― 会社法 第575条第1項
持分会社という章立て(会社法第3編)が3類型に共通のルールを定めているのが、現行会社法の構造上の特徴です。つまり、合名・合資・合同会社は「持分会社」という同じ枠組みのなかで、社員の責任の構成だけが異なる兄弟関係にあります。だからこそ、種類変更(合名→合資など)も定款変更という比較的軽い手続で済むのです(後述)。
「人的会社」と「物的会社」
持分会社は「人的会社」、株式会社は「物的会社」と性格づけられます。これは単なる用語ではなく、制度設計の根底にある発想の違いを示しています。
- 人的会社(持分会社): 誰が社員かが重要。社員相互の信頼関係を基礎とし、社員の個性が会社の存立を左右する。そのため持分譲渡や社員の加入には他の社員の同意が必要となり、社員の死亡・破産が退社事由となる。
- 物的会社(株式会社): 誰が株主かは原則として問わない。出資された財産(資本)を基礎とし、株主は株式という割合的単位を通じて関与する。株式は原則自由に譲渡でき、株主の死亡は当然には影響しない(相続される)。
この「人的か物的か」という軸を押さえておくと、個別のルールが「なぜそうなっているのか」を理解しやすくなります。たとえば「持分譲渡に他の社員の承諾が必要なのはなぜか」という問いには、「社員の個性が重視される人的会社だから」という一貫した説明ができます。
持分会社と株式会社の基本的な違い
なお、ここでいう「社員」は従業員ではなく出資者(構成員)を指す法律用語である点に注意してください。日常用語の「社員=従業員」とは意味が異なります。
持分と株式の違い
社員の地位を表す「持分」と、株主の地位を表す「株式」には次のような違いがあります。
持分会社の社員は、出資の多寡にかかわらず「1個の持分」を有し、その内容(出資額・損益分配割合など)が社員ごとに異なるという考え方(持分単一主義)が採られます。これに対し株式会社では、地位が均一な多数の株式に細分化される(持分複数主義)点が対照的です。
社員の責任
無限責任と有限責任
直接責任と間接責任
「無限/有限」は責任の量(金額の限度があるか)、「直接/間接」は責任の向き(債権者に直接対峙するか)を表す軸であり、両者は別の観点である点が極めて重要です。この2つの軸を独立に理解しているかどうかが、択一の正誤判断を分けます。
各会社類型における社員の責任
重要ポイント: 合同会社の社員は「間接有限責任」であるのに対し、合資会社の有限責任社員は「直接有限責任」です。直接と間接の違いに注意が必要です。
直接無限責任の条文上の根拠
合名・合資会社の無限責任社員が会社債権者に対して負う責任は、次の条文に根拠があります。
社員は、次に掲げる場合には、連帯して、持分会社の債務を弁済する責任を負う。
一 当該持分会社の財産をもってその債務を完済することができない場合
二 当該持分会社の財産に対する強制執行がその効を奏しなかった場合
― 会社法 第580条第1項
このように、無限責任社員の責任は会社財産で完済できないときなどに発生する補充的なもの(第二次的責任)であり、いきなり社員個人へ請求できるわけではない点は理解しておきましょう。もっとも、債権者に対して直接弁済する義務を負う(直接責任)こと自体は変わりません。
有限責任社員の責任の範囲
合資会社の有限責任社員は、出資の価額(既履行部分を除く未履行の額)を限度として、直接、会社債権者に対して責任を負います(会社法580条2項)。すでに会社へ出資を履行した部分については、その限度で責任を免れます。つまり「直接有限責任」とは、上限はあるが債権者と直接向き合う責任という意味です。
これに対し合同会社の社員は、設立時または加入時に出資の全部を履行しなければならないため(会社法578条・604条3項)、会社債権者に対して直接負う責任が現実には観念されにくく、結果として株式会社の株主と同じ「間接有限責任」となります。この「出資の全額履行が前提だからこそ間接で済む」という因果関係を理解すると、合同会社の各種規制(後述の財源規制・債権者保護手続)が腑に落ちます。
よくある誤解(責任まわり)
- 誤解1「有限責任=間接責任」。合資会社の有限責任社員は有限だが直接責任です。有限と間接を同一視しないこと。
- 誤解2「合名会社の社員は会社が払えなくても関係ない」。無限責任社員は会社財産で完済できないとき、自己の全財産で弁済する義務を負います。
- 誤解3「無限責任社員は1人ずつ責任を分担する」。無限責任社員の責任は連帯責任です(会社法580条1項柱書)。
持分会社の設立
設立手続
持分会社の設立は、株式会社と比較して非常に簡便です。
- 定款の作成: 社員となろうとする者が定款を作成
- 設立の登記: 本店所在地において設立の登記
持分会社の設立には、以下の特徴があります。
- 公証人の認証は不要: 株式会社と異なり、定款について公証人の認証は必要ありません
- 検査役の調査は不要: 現物出資についても検査役の調査は不要です
- 設立時の出資の全額払込み: 合同会社の社員は、設立登記前に出資の全額を払い込むか又は全部を給付しなければなりません(会社法578条)
なぜ合同会社だけ全額払込みが必要なのか
設立しようとする持分会社が合同会社である場合には、当該合同会社の社員になろうとする者は、定款の作成後、合同会社の設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければならない。
― 会社法 第578条本文
合名会社・合資会社には無限責任社員がいるため、会社財産が不足しても社員の個人財産が引当てとなります。これに対し合同会社は有限責任社員のみで構成され、会社財産だけが債権者の引当てとなります。そこで、会社財産を確実に確保するため、設立登記時までに出資の全額払込み(金銭以外なら全部給付)を要求しているのです。株式会社の「資本充実」の発想に近いルールが、合同会社にも及んでいると理解できます。
定款の絶対的記載事項
持分会社の定款の絶対的記載事項は以下のとおりです(会社法576条1項)。
- 目的
- 商号
- 本店の所在地
- 社員の氏名又は名称及び住所
- 社員の全部が無限責任社員又は有限責任社員であるか、社員の一部が無限責任社員で他が有限責任社員であるかの区別
- 社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準
このうち5号の責任区分は、会社の類型そのものを画する記載です。すなわち、定款の記載によって合名・合資・合同会社のいずれかが決まります(会社法576条2項~4項)。たとえば社員全員を無限責任社員と定めれば合名会社、有限責任社員のみと定めれば合同会社です。商号への会社種類の付記義務(会社法6条2項)とあわせて押さえておきましょう。
出資の目的(現物出資)
有限責任社員は責任が限定されているため、信用や労務による出資は認められません。これは、有限責任社員のもとでは会社財産が債権者の主たる引当てとなるところ、信用や労務は評価・換価が困難で会社財産としての確実性に欠けるためです。無限責任社員であれば、出資が労務や信用であっても本人の全財産が責任の引当てとなるので、これを認めても債権者保護を害しません。
業務執行
業務執行の原則
社員は、定款に別段の定めがある場合を除き、持分会社の業務を執行する。 ― 会社法 第590条第1項
持分会社では、社員全員が業務を執行するのが原則です(所有と経営の一致)。ただし、定款で一部の社員を業務執行社員として定めることができます。株式会社が「所有と経営の分離」を建前とし、取締役などの機関を必要とするのと対照的に、持分会社は社員自らが経営にあたるため、原則として法定の機関(取締役会・監査役など)を置く必要がありません。
業務執行の方法
ただし常務であっても、その完了前に他の社員または業務執行社員が異議を述べたときは、単独で行うことはできません(会社法590条3項ただし書)。
代表
業務を執行する社員は、原則として持分会社を代表します(会社法599条1項)。業務執行社員が複数いる場合は各自が会社を代表するのが原則ですが(同条2項)、定款または定款の定めに基づく社員の互選によって、業務執行社員の中から特に持分会社を代表する社員(代表社員)を定めることもできます(同条3項)。
合資会社の有限責任社員の業務執行
合資会社の有限責任社員も、定款に定めがあれば業務を執行できます。会社法は、有限責任社員であることだけを理由に業務執行・代表から排除してはいません(会社法590条1項・599条1項は社員の責任類型で区別していません)。したがって「有限責任社員は業務執行できない」と断定する肢は誤りです。実務上は定款で業務執行社員を限定する例が多いものの、法律上は有限責任社員も業務執行・代表が可能である点が出題されます。
合同会社の業務執行
合同会社は有限責任社員のみで構成されますが、社員が業務を執行し、会社を代表することができます。この点が株式会社との大きな違いです。株式会社では有限責任の株主が当然に経営権を持つわけではなく、機関である取締役が業務執行を担いますが、合同会社では有限責任社員自らが経営にあたれます。「有限責任でありながら所有と経営が一致している」点が合同会社の特徴で、出資者がそのまま機動的に経営できる柔軟さがベンチャーや専門サービス業で活用される理由です。
業務執行社員の義務
業務執行社員には、株式会社の取締役に類似した義務が課されます。
- 善管注意義務(会社法593条1項)・忠実義務(同条2項)
- 競業避止義務(会社法594条): 業務執行社員は、他の社員全員の承認を受けなければ、自己または第三者のために会社の事業の部類に属する取引をしてはならない。
- 利益相反取引の制限(会社法595条)
これらは株式会社の取締役の規律(会社法355条・356条等)と対比して問われることがあります。
持分の譲渡
持分譲渡の原則
持分会社の社員の持分の譲渡は、原則として他の社員の全員の承諾が必要です(会社法585条1項)。
社員は、他の社員の全員の承諾がなければ、その持分の全部又は一部を他人に譲渡することができない。
― 会社法 第585条第1項
業務を執行しない有限責任社員の持分譲渡は、業務執行社員全員の承諾で足ります(会社法585条2項)。会社の業務に関与しない社員の交代は、業務執行に直接影響しないため、要件が緩和されているのです。
株式会社との比較
株式会社の株式は原則として自由に譲渡できる(株式譲渡自由の原則)のに対し、持分会社の持分は他の社員の承諾が必要です。これは、持分会社が社員の個性を重視する人的会社であることの表れです。株式会社では株式譲渡制限を「定款で例外的に設ける」のに対し、持分会社では譲渡制限が「原則」である、という方向の違いを押さえましょう。
社員の加入と退社
社員の加入
持分会社に新たに社員が加入するには、原則として定款変更が必要であり、総社員の同意を要するのが原則です(会社法604条2項参照、637条)。加入する社員は出資をしなければなりません。なお、合同会社の新たに加入する社員は、加入に係る定款変更をした時にその出資の全部の履行が完了していなければ、出資の履行を完了した時に社員となります(会社法604条3項)。設立時と同様、合同会社では出資の全額履行が社員資格取得の前提とされている点に注意してください。
退社の種類
任意退社について補足すると、持分会社の存続期間を定款で定めなかった場合または特定社員の終身の間存続するものとした場合、各社員は事業年度終了時に退社できますが、6か月前までに退社の予告が必要です(会社法606条1項)。もっとも、やむを得ない事由があるときは、各社員はいつでも退社できます(同条3項)。この「やむを得ない事由による退社」は定款によっても排除できない強行規定と解されており、人的会社における社員の投下資本回収手段として重要です。
法定退社事由(607条)
- 定款で定めた事由の発生
- 総社員の同意
- 死亡
- 合併(合併により消滅する会社の社員)
- 破産手続開始の決定
- 解散
- 後見開始の審判を受けたこと
- 除名
株式会社の株主には「退社」という概念がなく、株主は株式を譲渡して投下資本を回収するのが原則です。これに対し持分会社では株式のような流通性がないため、「退社して持分の払戻しを受ける」という回収手段が制度化されています。死亡が退社事由となり当然には持分が相続されない点(定款で別段の定めは可能。会社法608条)も、株式が当然に相続される株式会社との対比で問われます。
退社した社員の持分の払戻し
退社した社員は、その持分の払戻しを受ける権利を有します(会社法611条)。持分の払戻しは、退社時の会社財産の状況に従って行われ、その社員の出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができます(同条3項)。出資が現物であっても金銭で払い戻せるため、たとえば不動産を現物出資した社員が退社しても、その不動産そのものの返還を当然に請求できるわけではありません。
退社した社員の責任の継続
退社しても、責任が直ちに消えるわけではありません。退社した社員は、その登記をする前に生じた持分会社の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負い、この責任は退社の登記後2年以内に請求または請求の予告をしない債権者に対しては、登記後2年を経過した時に消滅します(会社法612条)。無限責任社員であった者の責任が、退社後も一定期間残存する点は債権者保護の観点から重要です。
合同会社の退社と債権者保護
合同会社では、社員の退社に伴う持分の払戻しについて、債権者保護手続が必要です(会社法635条)。これは、合同会社の社員が有限責任であるため、持分の払戻しが債権者の利益を害するおそれがあるためです。
合名会社・合資会社では、無限責任社員が会社債務について個人財産で責任を負うため、持分の払戻しで会社財産が減っても債権者は無限責任社員に追及できます。ところが合同会社では会社財産だけが引当てであるため、払戻しによる財産流出を放置すると債権者が害されます。そこで、払戻額が剰余金額を超えるなど一定の場合に、債権者が異議を述べる機会を与える手続(公告・催告等)を要求しているのです。この「有限責任ゆえに債権者保護を厚くする」という発想は、合同会社の出資全額払込み・財源規制とも共通しており、合同会社が株式会社に近い規制を受ける理由です。
計算・配当に関する規制(合同会社)
合同会社には、有限責任ゆえに株式会社に類似した計算・配当規制が課されます。出題頻度の高い「合同会社だけに課される規律」として整理しておきましょう。
合名・合資会社にはこれらの財源規制が原則として課されません。無限責任社員が存在し、最終的な弁済資力が会社財産に限られないためです。「財源規制があるのは株式会社と合同会社」という対応関係で覚えると効率的です。
定款変更
持分会社の定款変更は、原則として総社員の同意が必要です(会社法637条)。
持分会社は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によって、定款の変更をすることができる。
― 会社法 第637条
株式会社の定款変更が株主総会の特別決議で足りるのと比べ、要件が厳格です。ただし、条文に「定款に別段の定めがある場合を除き」とあるとおり、定款で別段の定め(過半数の同意で変更できる等)を置くことは可能です。「総社員の同意が常に絶対」ではなく「原則」である点に注意してください。
3種類の持分会社の比較表
比較表の使いどころ
択一では、この表の縦1列を入れ替えるひっかけが頻出です。たとえば「合名会社の社員は出資の全額払込みが必要」(誤り。合同会社の話)、「合資会社の有限責任社員は間接有限責任」(誤り。直接有限責任)、「合同会社の社員は信用・労務を出資できる」(誤り。財産のみ)といった具合です。各セルの「合同会社だけ違うもの」(網掛け部分)を起点に覚えると、混同を防げます。
合資会社の社員数に注意
合資会社は無限責任社員と有限責任社員の双方が必要なため、社員が最低2人(各類型1人以上)必要です。仮に有限責任社員が全員退社して無限責任社員のみになった場合は合名会社となる定款変更をしたものとみなされ、逆に無限責任社員が全員退社した場合は合同会社となる定款変更をしたものとみなされます(会社法639条)。1人会社が可能な合名・合同会社との違いとして問われます。
会社の種類の変更
持分会社間の種類変更
持分会社は、定款の変更によって他の種類の持分会社に変更できます(会社法638条)。種類変更は、別の会社になるのではなく「同じ持分会社の枠内で責任構成を変える定款変更」と位置づけられる点が、後述の組織変更との違いです。
合名・合資会社から合同会社への変更は、無限責任社員がいなくなる(債権者の引当てが会社財産のみになる)ため、債権者保護手続が必要です。逆方向(合同→合名・合資)は無限責任社員が増える方向であり債権者に不利益が生じないため、債権者保護手続は不要です。「債権者保護手続が要るのは、債権者に不利になる方向(責任が薄くなる方向)の変更」という視点で判断できます。
持分会社から株式会社への組織変更
持分会社は、総社員の同意により株式会社に組織変更できます(会社法746条以下)。逆に、株式会社から持分会社への組織変更も可能です(会社法743条以下)。
ここで用語の整理をしておきます。
- 種類変更: 持分会社の3類型相互間の変更(例: 合名→合資)。会社法638条。
- 組織変更: 株式会社と持分会社の間の変更(例: 合同会社→株式会社、株式会社→合名会社)。会社法743条以下。
組織変更には債権者保護手続が必要です(会社法779条・781条等)。択一では「種類変更」と「組織変更」の語の使い分けが問われることがあるため、株式会社をまたぐかどうかで区別してください。
頻出論点・出題の角度
行政書士試験での持分会社の問われ方には、一定のパターンがあります。過去に問われた角度を意識して学習すると効率的です。
1. 責任の性質(直接・間接/有限・無限)
最頻出かつ正答率を分ける論点です。特に「合同会社=間接有限責任」「合資会社の有限責任社員=直接有限責任」の対比は必出と考えてよいでしょう。「有限責任なら間接責任」という思い込みを突くのが定番のひっかけです。
2. 出資の目的
「有限責任社員は信用・労務を出資できない(財産のみ)」がポイント。無限責任社員なら信用・労務出資が可能という対比で出ます。
3. 設立手続の簡便さ
「公証人の認証不要」「検査役の調査不要」は持分会社共通。「合同会社のみ出資全額払込みが必要」が個別ポイントです。株式会社との対比(株式会社は原始定款の認証が必要)も同時に問われます。
4. 業務執行・代表
「有限責任社員も業務執行・代表が可能」(合資・合同とも)という肢が、誤りに見えて正しいパターンとして出ます。「合同会社では社員が業務執行・代表する」点も株式会社との違いとして頻出です。
5. 持分譲渡・退社
「持分譲渡は他の社員全員の承諾が原則」「業務執行しない有限責任社員は業務執行社員全員の承諾で足りる」の区別、「やむを得ない事由があればいつでも退社できる」点が問われます。
6. 合同会社に特有の規制
「退社時の債権者保護手続」「財源規制」「設立時の全額払込み」の3点セットは、合同会社が株式会社に近い規制を受ける根拠(有限責任のみ)とあわせて理解しておきましょう。
よくある誤解の整理
- 「持分会社には機関設計が必要」→誤り。原則として法定の機関は不要で、社員自身が業務を執行します。
- 「合同会社の社員は経営に関与できない」→誤り。有限責任社員でも業務執行・代表が可能です。
- 「持分会社の定款変更は必ず総社員の同意」→不正確。原則は総社員の同意ですが、定款で別段の定めが可能です(会社法637条)。
- 「合名会社は2人以上必要」→誤り。合名会社・合同会社は1人で設立・存続できます。2人以上必要なのは合資会社です。
- 「退社すれば会社の債務とは無関係になる」→誤り。退社の登記後2年間は従前の責任の範囲で弁済責任が残ります(会社法612条)。
- 「現物出資した社員は退社時にその現物の返還を受けられる」→誤り。持分の払戻しは金銭で行うことができます(会社法611条3項)。
合同会社の社員は直接有限責任を負う。
持分会社の設立に際して、定款について公証人の認証を受ける必要はない。
合同会社において社員が退社する場合、持分の払戻しにつき債権者保護手続をとらなければならない。
合資会社の有限責任社員は、定款に定めがあっても会社の業務を執行することができない。
持分会社の社員は、その持分を譲渡するには、いかなる場合も他の社員全員の承諾を得なければならない。
まとめ
持分会社は、社員の個性を重視する人的会社であり、合名会社・合資会社・合同会社の3類型があります。社員の責任の種類(直接・間接、有限・無限)が各類型の最大の違いであり、この違いが出資の目的、設立手続、債権者保護手続の要否、財源規制などに影響を及ぼしています。
合同会社は有限責任社員のみで構成されるため、株式会社に近い規制(出資の全額払込み、債権者保護手続、財源規制)が課されています。逆に言えば、無限責任社員がいる合名・合資会社では会社財産以外に社員の個人財産が引当てとなるため、これらの規制が緩やかです。この「責任構成→規制の厚さ」という因果を理解しておくと、個別の論点を丸暗記せずに判断できます。
試験では3つの持分会社の比較、および株式会社との比較が出題されるため、本記事の比較表で正確に整理しておきましょう。特に「合同会社=間接有限責任」「合資会社の有限責任社員=直接有限責任」「有限責任社員も業務執行・代表が可能」「種類変更と組織変更の区別」は、ひっかけの定番として繰り返し確認しておくことをおすすめします。
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