(公開 2026/02/15) / 民法

消費貸借と使用貸借の比較|改正で諾成契約に

消費貸借の改正(諾成的消費貸借587条の2・書面要件)、利息の約定、使用貸借の改正(諾成契約化・借主の死亡で終了)を解説。賃貸借との比較表も掲載し、行政書士試験の契約法対策を万全にします。

はじめに|貸借型契約3兄弟を比較する

民法には「貸借」を内容とする契約が3つあります。消費貸借・使用貸借・賃貸借の3つです。これらは「物を借りて使い、返す」という点で共通しますが、返還の対象(同種同量の物か、借りた物そのものか)と対価の有無(有償か無償か)で区別されます。

2020年の民法改正では、消費貸借と使用貸借の成立要件が大きく変更されました。いずれも諾成契約として成立しうることが明文化されたのです。本記事では、改正の要点を中心に消費貸借と使用貸借を詳しく解説し、賃貸借との比較も行います。

行政書士試験の契約法(典型契約)の中でも、貸借型契約は「成立要件(要物・諾成)」「有償・無償」「借主死亡の扱い」という3つの軸で横断的に整理することが攻略の鍵です。本記事を読み終えるころには、3契約の異同を表で即答できる状態を目指してください。なお、本記事は2020年(令和2年)4月1日施行の改正民法を前提に解説します。

貸借型契約を「3つの軸」で先につかむ

細部に入る前に、まず全体像を3つの軸でつかんでおくと、以後の各論が頭に入りやすくなります。

軸消費貸借使用貸借賃貸借返還の対象同種・同等・同量の物借りた物そのもの借りた物そのもの対価(有償性)無利息が原則(特約で有償)必ず無償必ず有償成立要件要物(書面なら諾成も可)諾成諾成

この3つの軸を頭に入れたうえで、各契約の詳細と改正点に進みます。

消費貸借の基本(587条)

消費貸借とは

消費貸借は、当事者の一方が種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約して相手方から金銭その他の物を受け取ることによって、その効力を生ずる。
――民法587条

消費貸借は、借りた物そのものではなく、同種・同等・同量の物を返還する契約です。

最も典型的な例: 金銭の貸し借り(金銭消費貸借)

特徴内容返還対象同種・同等・同量の物(借りた物自体ではない)有償性利息を付する場合は有償、無利息なら無償契約の成立要物契約(587条)が原則片務契約借主のみが返還義務を負う(無利息の場合)

なぜ「同種同量の物」を返すのか――消費貸借の本質

消費貸借が他の貸借型契約と決定的に異なるのは、借主が目的物の所有権を取得し、これを消費(処分)してよい点にあります。借りた1万円札そのものを返すのではなく、使ってしまったうえで「同じ1万円分の金銭」を返せばよいのです。

ここから、消費貸借では目的物の引渡しによって所有権が借主に移転するという性質が導かれます。借りた物を消費する以上、所有権が借主に移らなければ意味がありません。この点で、所有権が貸主に残ったままの使用貸借・賃貸借とは本質的に異なります。

目的物の対象は金銭に限られません。米・酒・石油など、消費される代替物であれば消費貸借の目的となります。もっとも、実務上も試験上も中心は圧倒的に金銭消費貸借です。

要物契約としての消費貸借

587条の消費貸借は要物契約です。すなわち、当事者の合意だけでは成立せず、目的物の交付(金銭の引渡しなど)があって初めて成立します。

これは、消費貸借が歴史的に「物を受け取ること」を成立要件としてきたことに由来します。ローマ法以来の沿革を引き継いだもので、当事者の合意(諾成)だけで貸す義務まで負わせることは過大だと考えられてきたためです。

片務契約・無償契約としての性質

要物契約である587条の消費貸借では、契約成立時点で借主はすでに目的物を受け取っています。したがって、契約成立後に貸主が負う義務はなく、借主だけが返還義務を負う片務契約です。利息の特約がなければ対価のやり取りもないため、原則として無償契約でもあります。

この性質は、後述する諾成的消費貸借(587条の2)と対比すると理解が深まります。諾成的消費貸借では、契約成立時点ではまだ目的物が引き渡されていないため、貸主が「引き渡す義務」を負い、借主が「返還する義務」を負う双務的な構造になります(後述)。

諾成的消費貸借(587条の2)

改正で新設された諾成的消費貸借

前条の規定にかかわらず、書面でする消費貸借は、当事者の一方が金銭その他の物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物と種類、品質及び数量の同じ物をもって返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
――民法587条の2第1項

改正前の消費貸借は要物契約のみでしたが、改正により書面でする場合には諾成契約として成立することが認められました。

成立方式要件条文要物的消費貸借合意+目的物の交付587条諾成的消費貸借書面による合意のみ587条の2第1項

改正の背景――判例・実務の追認

改正前から、判例・実務は「諾成的消費貸借」の有効性を認めていました。たとえば、銀行が融資を約束する金銭消費貸借契約(貸付の予約や諾成的な貸付合意)は経済社会で広く行われており、要物契約という建前と実態が乖離していたのです。最高裁も、消費貸借の予約や諾成的消費貸借を有効と解してきました。

そこで改正民法は、こうした実務を正面から追認し、書面によることを条件に諾成的消費貸借を明文で認めたわけです。要物契約(587条)を残したまま、その例外として諾成型(587条の2)を新設した二本立て構造になっている点が重要です。

書面要件の趣旨

諾成的消費貸借に書面要件が課された理由は、軽率な合意を防止するためです。金銭の貸し借りは口約束でも行われがちですが、諾成契約として法的拘束力を認めるためには、書面による慎重な意思確認が必要と考えられました。

要物契約であれば「実際にお金を渡す」という行為そのものが当事者に慎重さをもたらしますが、諾成契約では合意だけで貸す義務が発生してしまいます。そこで、軽率な貸付の約束を防ぐ「警告機能」を書面に持たせたのです。保証契約に書面要件が課されている(446条2項)のと同じ発想と理解すると覚えやすいでしょう。

なお、電磁的記録(メール等)による場合も書面に含まれます(587条の2第4項)。

消費貸借がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その消費貸借は、書面によってされたものとみなして、前三項の規定を適用する。
――民法587条の2第4項

借主の解除権(587条の2第2項)

書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。この場合において、貸主は、その契約の解除によって損害を受けたときは、借主に対し、その賠償を請求することができる。
――民法587条の2第2項

諾成的消費貸借では、借主は目的物を受け取るまで契約を解除できます。これは、まだ金銭を受け取っていない段階で返還義務を負い続けることは借主に酷だからです。

たとえば、融資を約束したものの借入れの必要がなくなった借主に、無理やり金銭を受け取らせて利息を負わせるのは不合理です。そこで、借主には受領前の自由な解除権が認められています。

ただし、解除により貸主に損害が生じた場合は、損害賠償を請求されることがあります。ここでいう「損害」は、貸主が借主に貸すために資金を調達した費用などが想定されますが、貸付けによって得られたはずの利息がそのまま全額損害になるわけではない、と一般に解されています。

当事者の破産による効力喪失(587条の2第3項)

書面でする消費貸借は、借主が貸主から金銭その他の物を受け取る前に当事者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、その効力を失う。
――民法587条の2第3項

目的物の引渡し前に当事者の一方(貸主・借主のいずれでも)が破産手続開始決定を受けたときは、諾成的消費貸借はその効力を失います。引渡し前に破産が生じた場合に貸す義務・借りる関係を維持するのは適切でないためです。「貸主の破産」だけでなく「借主の破産」でも効力を失う点が、ひっかけで問われやすいポイントです。

要物契約と諾成契約の構造比較

両者の違いを契約構造の面から整理すると、次のようになります。

比較項目要物的消費貸借(587条)諾成的消費貸借(587条の2)成立要件合意+目的物の交付書面(電磁的記録)による合意貸主の引渡義務なし(成立時に交付済み)あり(引き渡す義務を負う)双務・片務片務契約引渡し前は貸主が義務を負う構造借主の解除(受領済みのため問題とならない)受領前はいつでも解除可(587条の2第2項)当事者の破産(成立済み)引渡し前の破産で効力喪失(同条3項)

利息に関する規定

利息の約定(589条)

貸主は、特約がなければ、借主に対して利息を請求することができない。
――民法589条1項

消費貸借は原則として無利息です。利息を請求するためには、当事者間の特約(利息の合意)が必要です。

ここは民事の原則として要注意です。「お金を貸したのだから利息を取れて当然」というイメージに反し、民法上は無利息が原則です(商人間の金銭消費貸借では商法513条1項により当然に利息を請求できる点と対比して押さえると応用が利きます)。

前項の特約があるときは、貸主は、借主が金銭その他の物を受け取った日以後の利息を請求することができる。
――民法589条2項

利息は借主が目的物を受け取った日以後について発生します。諾成的消費貸借では合意の時点と受領の時点がずれるため、「合意日」ではなく「受領日」が利息の起算点になる点が重要です。

利息制限法との関係

金銭消費貸借の利息については、利息制限法による上限規制があります。

元本の額上限利率10万円未満年20%10万円以上100万円未満年18%100万円以上年15%

利息制限法の上限を超える利息の約定は、超過部分について無効です。なお、賠償額の予定(遅延損害金)については、これらの上限利率の1.46倍まで許容されるとされています(利息制限法4条1項)。

消費貸借の返還時期(591条)

返還時期の定めがある場合

返還時期の定めがある場合、借主はその時期に返還しなければなりません。ただし、借主は期限の利益を放棄して期限前に返還することができます(136条2項)。

改正民法では、期限前弁済によって貸主に損害が生じた場合の賠償義務が明文化されました。

当事者が返還の時期を定めた場合において、借主がその時期の前に返還をしたことによって貸主に損害が生じたときは、貸主は、借主に対し、その賠償を請求することができる。
――民法591条3項

期限前の返還(早期弁済)自体は借主の自由ですが、たとえば貸主が一定期間の利息を見込んで資金を運用していた場合など、繰上返済によって損害が生じることがあります。その損害賠償を認めたのが本項です。

返還時期の定めがない場合

返還時期の定めがない場合、貸主は相当の期間を定めて返還の催告をすることができます(591条1項)。借主はいつでも返還できます(591条2項)。

当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間を定めて返還の催告をすることができる。
――民法591条1項

ここは消費貸借特有のルールです。返還時期の定めがない場合でも、貸主は「いつでも直ちに返せ」とは言えず、相当の期間を定めた催告が必要です。借りた金銭はすでに消費されている可能性が高く、借主に返還の準備期間を与える必要があるためです。一般の債権が「期限の定めがなければ請求があった時から遅滞」となる(412条3項)のとは異なる点に注意してください。

準消費貸借(588条)

準消費貸借とは

金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす。
――民法588条

準消費貸借とは、既存の金銭債務を消費貸借に切り替える契約です。

具体例: 代金100万円の支払債務を負うAが、Bとの間で「100万円を消費貸借として、毎月10万円ずつ分割返済する」と合意した場合。売買代金債務が消費貸借の返還債務に切り替わります。

改正のポイントと旧債務との関係

改正により、準消費貸借は旧債務の存在を要件としなくなった(既存の給付義務があれば足りる)と解されています。改正前は「消費貸借によらないで金銭その他の物を給付する義務を負う者があるとき」と規定されていましたが、改正後は「金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合」とされ、旧債務が消費貸借に基づくものであってもよいことが明確化されました。

準消費貸借が成立すると、旧債務は消滅し、新たな消費貸借上の返還債務が発生します。ただし、判例上、旧債務に付着していた抗弁(同時履行の抗弁など)や担保は、特段の事情がない限り新債務に引き継がれると解されており、更改(513条以下)とは扱いが異なります。また、旧債務が存在しなかった場合には準消費貸借は効力を生じない(無効)とされます。

使用貸借の基本

使用貸借とは(593条)

使用貸借は、当事者の一方がある物を引き渡すことを約し、相手方がその受け取った物について無償で使用及び収益をして契約が終了したときに返還をすることを約することによって、その効力を生ずる。
――民法593条

使用貸借は、借りた物そのものを返還する無償の貸借契約です。

典型例は、親が子に無償で土地・建物を貸す、友人に本を無償で貸すといったケースです。無償である点が本質であり、対価(賃料)を取った瞬間に賃貸借になります。

改正による諾成契約化

改正前の使用貸借は、消費貸借と同様に要物契約でしたが、改正により諾成契約に変更されました。書面要件もありません。

項目改正前改正後成立要件合意+目的物の引渡し合意のみ(諾成契約)書面要件なしなし

消費貸借の諾成契約化には書面要件が課されましたが、使用貸借には書面要件がない点に注意してください。ここは最頻出の比較ポイントです。「消費貸借=書面が必要/使用貸借=書面不要」という非対称をセットで暗記してください。

貸主の引渡し前の解除権(593条の2)

諾成契約化に伴い、目的物の引渡し前であれば貸主は契約を解除できる旨が新設されました。

貸主は、借主が借用物を受け取るまで、契約の解除をすることができる。ただし、書面による使用貸借については、この限りでない。
――民法593条の2

無償で貸すという約束を軽率に交わした貸主を保護する趣旨です。ただし、書面による使用貸借の場合には、この引渡し前解除はできません(同条ただし書)。

ここは消費貸借の解除権と構造が「逆」になっている点に注意が必要です。

  • 諾成的消費貸借:解除できるのは借主(受領前。587条の2第2項)
  • 使用貸借:引渡し前に解除できるのは貸主(ただし書面なら不可。593条の2)

「誰が解除できるのか」「書面の効果がどちらに働くか」を取り違えないようにしましょう。

使用貸借の特徴

特徴内容無償契約賃料(対価)を支払わない諾成契約合意のみで成立(改正後)片務契約貸主は目的物の引渡義務を負うが、借主は対価を支払わない返還対象借りた物そのもの

使用貸借における借主の義務・費用負担

用法遵守義務(594条)

借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、使用収益をしなければなりません(594条1項)。また、貸主の承諾を得なければ、第三者に借用物を使用収益させることができません(594条2項)。借主がこれらに違反した場合、貸主は契約を解除できます(594条3項)。

善管注意義務

借主は、善良な管理者の注意をもって目的物を保管しなければなりません。改正前は「自己の財産に対するのと同一の注意」で足りるとする見解もありましたが、改正により善管注意義務(400条)が及ぶことが前提として整理されています。

費用負担(595条)

借主は、借用物の通常の必要費を負担する。
――民法595条1項

借主は、借用物の通常の必要費を負担します(595条1項)。無償で借りている以上、固定資産税や通常の修繕費といった「通常の必要費」は借主が負担するのが公平だからです。これは、賃貸借において必要費を貸主が負担する(608条1項)のと正反対であり、両者の対比が問われます。

特別の必要費や有益費については、196条の規定に従って貸主に償還を請求できます(595条2項)。

借主による収去・原状回復(599条)

借主は、契約終了時、借用物に附属させた物を収去する義務を負い、また収去する権利を有します(599条1項・2項)。さらに、借用物を受け取った後にこれに生じた損傷について原状回復義務を負いますが、その損傷が借主の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りではありません(599条3項)。

使用貸借の終了

終了事由

使用貸借が終了する事由は以下の通りです。

終了事由条文使用及び収益の目的に従い使用収益を終了したとき597条1項期間を定めた場合にその期間が満了したとき597条1項期間を定めず使用収益の目的を定めた場合に、使用収益に足りる期間が経過したとき(貸主の解除)598条1項期間も目的も定めなかったとき(貸主はいつでも解除可能)598条2項借主はいつでも解除可能598条3項借主が死亡したとき597条3項

借主の死亡による終了(597条3項)

使用貸借は、借主の死亡によって終了する。
――民法597条3項

使用貸借は、借主の死亡により終了します。これは使用貸借が当事者間の人的信頼関係に基づく契約であるため、借主の相続人に承継させるのは適当でないと考えられたためです。「無償で貸してあげたのはその人個人だから」という発想です。

一方、貸主の死亡では使用貸借は終了しません。貸主の地位は相続人に承継されます。「借主死亡=終了/貸主死亡=承継」という非対称が頻出のひっかけです。

なお、597条3項は任意規定と解されており、借主死亡後も相続人が使用継続できる旨の特約は有効とされています。

改正前との違い

改正前は「使用貸借は、借主の死亡によって、その効力を失う」(旧599条)と規定されていましたが、改正後は597条3項として整理し直されました。実質的な内容に変更はありません。条文番号が移動した点は、過去問の年度をまたいで学習する際に混乱しやすいので注意してください。

重要判例|使用貸借をめぐる論点

内縁・親族間の建物使用貸借と明渡し

親族間や内縁関係で、無償の建物使用が「使用貸借」にあたるか、その終了をどう判断するかは古くから争われてきました。

建物の使用貸借において、貸主が当該建物を使用する必要がある等の事情があるときは、信義則上、借主は明渡しを拒むことができない場合がある。
――裁判例の趣旨(建物使用貸借の終了・明渡しに関する判断)

意義: 使用貸借は無償で人的信頼関係に基づくため、その存続や終了は当事者の事情を踏まえて柔軟に判断されます。借主が手厚く保護される賃貸借(借地借家法の適用あり)とは異なり、使用貸借には借地借家法が適用されない点が決定的に重要です。

使用貸借と借地借家法の不適用

借地借家法は「賃料を支払って」土地・建物を借りる賃貸借を念頭に置いた法律であり、無償の使用貸借には適用されません。したがって、使用貸借の借主には、賃貸借における借主のような強力な存続保障(正当事由がなければ更新拒絶できない等)は及びません。この差は実務上も試験上も極めて大きいため、必ず押さえてください。

3つの貸借型契約の比較

比較表

項目消費貸借使用貸借賃貸借対価利息(特約がある場合)なし(無償)賃料(有償)返還対象同種同量の物借りた物そのもの借りた物そのもの成立要物(書面で諾成も可)諾成(改正後)諾成借主の死亡終了しない終了する終了しない必要費の負担―通常の必要費は借主負担貸主負担(608条1項)対抗力―なし(借地借家法不適用)登記等で対抗可(605条)貸主の担保責任551条準用(590条)596条(贈与者の担保責任準用)契約不適合責任(559条→562条等)借地借家法―適用なし適用あり

使用貸借と賃貸借の最重要相違点

使用貸借と賃貸借の最大の違いは、以下の3点です。

  1. 対価の有無: 使用貸借は無償、賃貸借は有償
  2. 借主の死亡: 使用貸借は終了、賃貸借は終了しない
  3. 対抗力・存続保障: 使用貸借の借主は第三者に対抗できず借地借家法も及ばない、賃貸借は対抗要件を備えれば対抗可能で借地借家法の保護も受ける

解除権・必要費の「ねじれ」を一括整理

混同しやすい論点を一覧にしておきます。

論点消費貸借使用貸借諾成型の成立に書面が必要か必要(587条の2)不要(593条)引渡し(受領)前に解除できるのは誰か借主(587条の2第2項)貸主(593条の2、書面なら不可)通常の必要費の負担(消費して所有権移転のため問題化しにくい)借主負担(595条1項)借主死亡終了しない終了する(597条3項)

頻出論点・出題ポイント

行政書士試験で問われやすい角度を整理します。

  • 要物か諾成か: 「消費貸借は要物が原則だが書面で諾成可」「使用貸借は諾成(書面不要)」。改正の核心であり最頻出です。
  • 書面要件の非対称: 諾成的消費貸借は書面必須、使用貸借の諾成化は書面不要。「使用貸借も書面が必要」というひっかけに注意。
  • 解除権の主体: 諾成的消費貸借は借主が受領前に解除、使用貸借は貸主が引渡し前に解除(書面なら不可)。主体が逆である点が狙われます。
  • 借主死亡: 使用貸借は終了、消費貸借・賃貸借は終了しない。貸主死亡では使用貸借も終了しない点まで。
  • 利息は無利息が原則: 「特約がなければ請求できない」(589条1項)。
  • 必要費の負担: 使用貸借では通常の必要費を借主が負担(595条1項)。賃貸借(貸主負担)との対比。
  • 借地借家法の不適用: 使用貸借には借地借家法が適用されない。

よくある誤解

  • 「お金を貸せば当然に利息を取れる」→ 民法上は無利息が原則。特約が必要(589条1項)。商人間(商法513条1項)とは異なる。
  • 「諾成的消費貸借も口頭でよい」→ 書面(または電磁的記録)が必要(587条の2第1項・4項)。
  • 「使用貸借の諾成化にも書面が必要」→ 書面は不要(593条)。
  • 「貸主が死んだら使用貸借も終わる」→ 貸主死亡では終了しない。終了するのは借主死亡(597条3項)。
  • 「使用貸借でも借地借家法で守られる」→ 適用されない。存続保障は賃貸借に比べ弱い。

関連論点と内部リンク

貸借型契約は、贈与(無償契約の典型)や賃貸借(有償の貸借)と横断的に学ぶと理解が深まります。担保責任の準用(消費貸借590条→贈与551条、使用貸借596条→贈与551条)を通じて、無償契約特有の責任の軽減という発想も押さえておきましょう。

(上記内部リンクのスラッグは公開記事のスラッグに置き換えてください。)

まとめ

消費貸借と使用貸借の改正ポイントを整理します。

  • 消費貸借: 要物契約が原則だが、書面による諾成契約も認められた(587条の2)
  • 諾成的消費貸借の借主: 目的物を受け取るまで解除可能(損害賠償の可能性あり)。引渡し前に当事者の一方が破産すると効力喪失(587条の2第3項)
  • 利息: 特約がなければ無利息が原則(589条1項)
  • 返還時期の定めがない場合: 貸主は相当の期間を定めて催告(591条1項)
  • 使用貸借: 要物契約から諾成契約に変更(書面要件なし)。引渡し前は貸主が解除できる(593条の2、書面なら不可)
  • 必要費: 使用貸借では通常の必要費を借主が負担(595条1項)。賃貸借は貸主負担
  • 借主の死亡: 使用貸借は終了する(597条3項)。消費貸借・賃貸借は終了しない
  • 借地借家法: 使用貸借には適用されない

消費貸借と使用貸借の諾成契約化、解除権の主体の違い、および使用貸借と賃貸借の違いは頻出論点です。比較表で横断的に整理し、ひっかけに対応できるようにしておきましょう。

確認問題

諾成的消費貸借(587条の2)は、口頭の合意のみで成立する。

○ 正しい × 誤り
解説
民法587条の2第1項により、諾成的消費貸借は「書面でする消費貸借」として規定されており、書面(または電磁的記録)による合意が必要です。口頭の合意のみでは成立しません。書面によらない消費貸借は、従来通り要物契約(587条)として、目的物の交付により成立します。
確認問題

使用貸借は、借主の死亡により終了するが、貸主の死亡によっては終了しない。

○ 正しい × 誤り
解説
民法597条3項により、使用貸借は借主の死亡によって終了します。これは使用貸借が当事者間の人的信頼関係に基づく契約であるためです。一方、貸主が死亡した場合は使用貸借は終了せず、貸主の地位は相続人に承継されます。
確認問題

改正民法において、使用貸借は要物契約である。

○ 正しい × 誤り
解説
改正前の使用貸借は要物契約でしたが、2020年の民法改正により諾成契約に変更されました(593条)。合意のみで成立し、目的物の引渡しは成立要件ではなくなりました。なお、消費貸借の諾成契約化には書面要件が課されましたが、使用貸借の諾成契約化には書面要件はありません。
確認問題

書面でする消費貸借において、借主は貸主から目的物を受け取る前であれば契約を解除することができる。

○ 正しい × 誤り
解説
民法587条の2第2項により、書面でする消費貸借の借主は、貸主から金銭その他の物を受け取るまで契約を解除できます。借入れの必要がなくなったのに金銭を受け取らされ返還義務・利息を負うのは借主に酷だからです。ただし、解除により貸主に損害が生じたときは賠償を請求されることがあります。なお、使用貸借では引渡し前に解除できるのは「貸主」(593条の2)であり、主体が逆である点に注意が必要です。
確認問題

使用貸借の借主は、借用物の通常の必要費を負担する。

○ 正しい × 誤り
解説
民法595条1項により、使用貸借の借主は借用物の通常の必要費を負担します。無償で借りている以上、固定資産税や通常の修繕費を借主が負担するのが公平だからです。これは、賃貸借において必要費を貸主が負担する(608条1項)のと正反対であり、両者の対比が頻出の出題ポイントです。
#契約 #改正民法 #民法

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