1何人も、法令に違反する事実がある場合において、その是正のためにされるべき処分又は行政指導(その根拠となる規定が法律に置かれているものに限る。)がされていないと思料するときは、当該処分をする権限を有する行政庁又は当該行政指導をする権限を有する行政機関に対し、その旨を申し出て、当該処分又は行政指導をすることを求めることができる。
2前項の申出は、次に掲げる事項を記載した申出書を提出してしなければならない。
一 申出をする者の氏名又は名称及び住所又は居所
二 法令に違反する事実の内容
三 当該処分又は行政指導の内容
四 当該処分又は行政指導の根拠となる法令の条項
五 当該処分又は行政指導がされるべきであると思料する理由
六 その他参考となる事項
3当該行政庁又は行政機関は、第一項の規定による申出があったときは、必要な調査を行い、その結果に基づき必要があると認めるときは、当該処分又は行政指導をしなければならない。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「正しい」。設問は誤っている記述を選ぶものですから、この肢は正解にはなりません。
根拠条文は行政不服審査法38条1項です。同項は、審査請求人または参加人は、41条1項または2項の規定により審理手続が終結するまでの間、審理員に対し、提出書類等の閲覧、または当該書面もしくは当該書面の写しその他これに準ずるものの交付を求めることができると定めています。審理員は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときでなければ、この求めを拒むことができません(同項後段)。したがってこの肢は正しい記述です。
理由づけとして重要なのが、平成26年の全部改正で審理の公正性・透明性が大幅に強化されたという経緯です。旧行政不服審査法のもとでは、処分庁から提出された書類等について認められていたのは「閲覧」のみで、写しの交付を請求する権利はありませんでした。改正法は、審査請求人が処分庁の主張・証拠を的確に把握して反論できるようにするため、写しの交付請求権を新たに認め、対象も「提出書類等」(処分庁等から提出された弁明書の添付書類や、参加人・審査請求人が提出した証拠書類等)へと広げました。なお、写しの交付を受ける審査請求人等は、政令で定めるところにより手数料を納めなければならないとされています(38条4項)。
ひっかけポイント。旧法との違いを狙って「閲覧はできるが写しの交付は認められない」という形で誤り肢が作られることが非常に多い論点です。また、閲覧・写し交付を求める相手方は「審理員」であり、審査庁ではない点、審理手続が終結した後は求めることができない点、審理員は閲覧・交付に先立ち原則として当該提出書類等の提出人の意見を聴かなければならない(38条2項)とされている点も確認しておきましょう。
結論:この肢は「誤り」。参加人も口頭意見陳述を申し立てることができますので、この肢が設問の正解になります。
根拠条文は行政不服審査法31条1項です。同項は、審査請求人または参加人の申立てがあった場合には、審理員は、当該申立てをした者(申立人)に口頭で審査請求に係る事件に関する意見を述べる機会を与えなければならないと定めています。条文が「審査請求人又は参加人」と明記している以上、参加人が口頭意見陳述を申し立てられないとするこの肢は誤りです。なお、同項ただし書は、当該申立人の所在その他の事情により口頭意見陳述を行うことが困難であると認められる場合を例外としています。
理由づけ。参加人とは、審査請求に係る処分または不作為に係る処分の根拠となる法令に照らし当該処分につき利害関係を有する者であって、審理員の許可を得て当該審査請求に参加する者をいいます(13条1項・4項)。参加人は自らの権利利益に影響を受ける立場にあるため、審理手続上、審査請求人とほぼ同等の手続的地位が与えられており、弁明書の送付を受けること(29条5項)、証拠書類等の提出(32条1項)、提出書類等の閲覧・写しの交付請求(38条1項)などが認められています。口頭意見陳述もその一つです。
ひっかけポイント・関連知識。口頭意見陳述は、審理員が期日と場所を指定し、すべての審理関係人を招集して行われます(31条2項)。旧法のもとでは、意見陳述は審査庁に対して個別に行われ、処分庁への質問権もありませんでしたが、平成26年改正により、申立人は審理員の許可を得て、審査請求に係る事件に関し処分庁等に対して質問を発することができるようになりました(31条5項)。この「処分庁に対する質問権」は改正の目玉であり、口頭意見陳述とセットで頻出です。また、申立てがあれば原則として機会を与えなければならない義務的な手続であり、審理員の裁量で省略できるものではない点にも注意してください。