1命令等を定める機関(閣議の決定により命令等が定められる場合にあっては、当該命令等の立案をする各大臣。以下「命令等制定機関」という。)は、命令等を定めるに当たっては、当該命令等がこれを定める根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければならない。
2命令等制定機関は、命令等を定めた後においても、当該命令等の規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、必要に応じ、当該命令等の内容について検討を加え、その適正を確保するよう努めなければならない。
1命令等を定める機関(閣議の決定により命令等が定められる場合にあっては、当該命令等の立案をする各大臣。以下「命令等制定機関」という。)は、命令等を定めるに当たっては、当該命令等がこれを定める根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければならない。
2命令等制定機関は、命令等を定めた後においても、当該命令等の規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、必要に応じ、当該命令等の内容について検討を加え、その適正を確保するよう努めなければならない。
1命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない。
2前項の規定により公示する命令等の案は、具体的かつ明確な内容のものであって、かつ、当該命令等の題名及び当該命令等を定める根拠となる法令の条項が明示されたものでなければならない。
3第一項の規定により定める意見提出期間は、同項の公示の日から起算して三十日以上でなければならない。
4次の各号のいずれかに該当するときは、第一項の規定は、適用しない。
一 公益上、緊急に命令等を定める必要があるため、第一項の規定による手続(以下「意見公募手続」という。)を実施することが困難であるとき。
二 納付すべき金銭について定める法律の制定又は改正により必要となる当該金銭の額の算定の基礎となるべき金額及び率並びに算定方法についての命令等その他当該法律の施行に関し必要な事項を定める命令等を定めようとするとき。
三 予算の定めるところにより金銭の給付決定を行うために必要となる当該金銭の額の算定の基礎となるべき金額及び率並びに算定方法その他の事項を定める命令等を定めようとするとき。
四 法律の規定により、内閣府設置法第四十九条第一項若しくは第二項若しくは国家行政組織法第三条第二項に規定する委員会又は内閣府設置法第三十七条若しくは第五十四条若しくは国家行政組織法第八条に規定する機関(以下「委員会等」という。)の議を経て定めることとされている命令等であって、相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として、法律又は政令の規定により、これらの者及び公益をそれぞれ代表する委員をもって組織される委員会等において審議を行うこととされているものとして政令で定める命令等を定めようとするとき。
五 他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするとき。
六 法律の規定に基づき法令の規定の適用又は準用について必要な技術的読替えを定める命令等を定めようとするとき。
七 命令等を定める根拠となる法令の規定の削除に伴い当然必要とされる当該命令等の廃止をしようとするとき。
八 他の法令の制定又は改廃に伴い当然必要とされる規定の整理その他の意見公募手続を実施することを要しない軽微な変更として政令で定めるものを内容とする命令等を定めようとするとき。
1命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合において、三十日以上の意見提出期間を定めることができないやむを得ない理由があるときは、前条第三項の規定にかかわらず、三十日を下回る意見提出期間を定めることができる。この場合においては、当該命令等の案の公示の際その理由を明らかにしなければならない。
2命令等制定機関は、委員会等の議を経て命令等を定めようとする場合(前条第四項第四号に該当する場合を除く。)において、当該委員会等が意見公募手続に準じた手続を実施したときは、同条第一項の規定にかかわらず、自ら意見公募手続を実施することを要しない。
結論:この肢は「誤り」。
都道府県は、法定受託事務についても、法令に違反しない限りにおいて条例を制定することができます。条例制定権の及ぶ範囲を自治事務に限定する本肢は、条文の読み方を誤っています。
根拠は地方自治法14条1項です。同項は「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる」と定めています。そこで2条2項を見ると、「普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する」とされており、これが地方公共団体の処理する事務の総体を指します。そして2条8項は、自治事務を「地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のもの」と定義し、同条9項は法定受託事務を定義しています。つまり、2条2項の事務には自治事務と法定受託事務の双方が含まれるのですから、14条1項が引用する「第二条第二項の事務」に法定受託事務も当然に含まれ、法定受託事務に関する条例の制定も可能ということになります。
理由づけとしては、1999年の地方分権一括法(2000年4月施行)による改革の趣旨が重要です。改革前の機関委任事務は、知事や市町村長を国の下部機関として位置づけて処理させる仕組みであったため、地方議会の条例制定権も原則として及ばず、議会の関与が大きく制限されていました。これに対し、法定受託事務は機関委任事務を廃したうえで創設された類型で、あくまで「地方公共団体の事務」です。したがって、議会の条例制定権、議会の検査・調査権(98条・100条)、監査委員の監査、住民の直接請求といった住民自治の仕組みが、原則として法定受託事務にも及ぶことになりました。この「法定受託事務も地方公共団体の事務である」という一点を押さえておけば、本肢のような限定的な記述は誤りだと判断できます。
ひっかけポイントは、法定受託事務に対する国の関与が自治事務より強いという事実と、条例制定権の有無とを混同させる点です。確かに法定受託事務には代執行(245条の8)という強い関与類型が用意され、処理基準を定めることもできます(245条の9)。しかしそれは関与の強度の問題であって、条例で規律できるかどうかとは別次元の話です。また、条例制定権の限界は「法令に違反しない限り」という点にあり、法令の規律との抵触の有無は、両者の趣旨・目的・内容・効果を比較して判断すべきものとされています(最大判昭和50年9月10日・徳島市公安条例事件)。この判断枠組みは自治事務・法定受託事務のいずれについても妥当します。
結論:この肢は「誤り」。
機関委任事務は1999年の地方分権一括法によって全面的に廃止されており、現在の地方公共団体の事務は自治事務と法定受託事務の2種類に分類されます。3種類とする本肢は誤りです。
根拠条文は地方自治法2条8項・9項です。8項は「この法律において『自治事務』とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう」と定め、9項は法定受託事務を定義して、都道府県・市町村または特別区が処理する事務のうち国が本来果たすべき役割に係るものであって国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律・政令に特に定めるものを第1号法定受託事務(別表第一等に掲記)、市町村・特別区が処理する事務のうち都道府県が本来果たすべき役割に係るもの等を第2号法定受託事務(別表第二等に掲記)としています。条文上、この二分法以外の類型は存在しません。
理由づけとして、機関委任事務廃止の意義を確認しておきましょう。機関委任事務とは、旧地方自治法150条等に基づき、知事や市町村長といった地方公共団体の執行機関を国の機関と位置づけ、国の事務を執行させる仕組みでした。国の包括的な指揮監督権に服し、地方議会の条例制定権や検査・監査の対象から原則として外れるなど、団体自治・住民自治を大きく損なう制度であると批判されてきました。そこで地方分権一括法は機関委任事務を全廃し、旧機関委任事務を、国の直接執行事務、事務そのものの廃止、自治事務、法定受託事務に振り分けたのです。その結果、地方公共団体が処理する事務はすべて「その団体自身の事務」となり、国の関与も法定主義・一般原則(245条の2、245条の3)のもとに置かれることになりました。
ひっかけポイントは、廃止された制度名を混ぜ込む出題パターンです。機関委任事務のほか、「団体委任事務」も旧法上の概念であり、現行法には存在しません。また、国の関与に関して旧法時代の職務執行命令訴訟(知事の職務執行命令に従わない場合に代執行へ進む仕組み)も廃止され、現在は自治事務・法定受託事務に共通する国地方係争処理委員会への審査申出(250条の13)と、それを経た関与に関する訴訟(251条の5)という争訟ルートが整備されています。制度名を見たら、それが現行法のものか旧法のものかを直ちに判別できるようにしておきましょう。
命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めるに当たっては、必要に応じ、当該意見公募手続の実施について周知するよう努めるとともに、当該意見公募手続の実施に関連する情報の提供に努めるものとする。
結論:この肢は「誤り」。
現行の地方自治法は、自治事務を積極的に列挙する方式を採っていません。自治事務は「地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のもの」(2条8項)と定義される、いわゆる控除方式(消極的定義)によって画されています。したがって、自治事務が例示列挙されているとする本肢は誤りです。
根拠は地方自治法2条8項・9項および別表第一・別表第二です。列挙方式が採られているのは自治事務ではなく法定受託事務のほうであり、9項は「法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの」と限定したうえで、実際にどの法律のどの事務が法定受託事務に当たるかを別表第一(第1号法定受託事務)・別表第二(第2号法定受託事務)に掲げています。法定受託事務を限定列挙し、それ以外をすべて自治事務とするこの構造は、地方公共団体の事務は原則として自らの事務であるという分権改革の理念を条文レベルで表現したものです。
理由づけとして、旧法との違いを押さえておくと理解しやすくなります。1999年改正前の地方自治法2条3項は、地方公共団体の処理する公共事務・団体委任事務・行政事務の内容として、住民・滞在者の安全、健康および福祉の保持、公園・道路・上下水道の設置管理、学校の設置管理など22号にわたる事務を例示列挙していました。本肢はこの旧規定のイメージを利用したひっかけです。この例示列挙規定は改正により削除され、現在は残っていません。
ひっかけポイントを整理します。第一に、「列挙されているのは法定受託事務、控除されて残るのが自治事務」という向きを取り違えないこと。第二に、自治事務と法定受託事務とでは、国の関与の類型(245条の3以下)や是正の要求・指示・代執行の可否、審査請求の可否などに違いがあることです。とくに、法定受託事務に係る処分については、他に法律の定めがない限り都道府県知事など所管大臣・都道府県知事に対する審査請求ができる旨の規定(255条の2)があるのに対し、自治事務にはこうした一般的な上級行政庁が存在しないため、原則として処分庁自身が審査庁となる(行政不服審査法4条)という違いも頻出です。第三に、自治事務であっても法令の定めがあれば当然にその規律に服することも忘れないでください。
結論:この肢は「誤り」。
法定受託事務であっても、それは都道府県自身の事務であり、その処理に当たる公務員は都道府県の公務員です。したがって、違法な公権力の行使によって損害が生じた場合、国家賠償法1条1項にいう「公共団体」として都道府県が賠償責任を負うことがあります。都道府県に賠償責任が生じることはないと言い切る本肢は誤りです。
根拠は国家賠償法1条1項です。同項は「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる」と定めています。ここで賠償義務を負うのは、当該公務員が属し、その事務の帰属主体となる行政主体です。法定受託事務は、地方自治法2条9項が明示するとおり「都道府県、市町村又は特別区が処理する事務」であって、その事務主体は地方公共団体です。したがって、都道府県知事や都道府県職員が法定受託事務の処理として行った違法な処分については、都道府県が賠償責任を負うのが原則となります。
もっとも、国が全く責任を負わないという意味でもありません。国家賠償法3条1項は、公務員の選任・監督者と俸給・給与その他の費用を負担する者が異なるときは、費用負担者もまた賠償責任を負うと定めています。地方公共団体の事務に要する経費は当該団体が負担するのが原則ですが(地方財政法9条)、法定受託事務の中には、国政選挙や国の統計調査のように専ら国の利害に関係する事務として国がその経費の全部を負担するもの(同法10条の4)や、国が経費の全部または一部を負担するものがあり、この場合には国が費用負担者として3条1項の責任を負う余地があります。すなわち、法定受託事務をめぐる国家賠償は「都道府県か国か」の二者択一ではなく、被害者は都道府県と国のいずれに対しても請求しうる場面がある、という理解が正確です。なお、判例は、国家賠償法3条1項の費用負担者には、補助金の交付などを通じて実質的に費用を負担する者も含まれるとしています(最判昭和50年11月28日)。内部的な最終負担は国家賠償法3条2項に基づく求償によって調整されます。
ひっかけポイントは、「国が本来果たすべき役割に係る」という2条9項の文言から、事務の帰属主体まで国であると誤読させる点です。役割の性質論と法的な事務帰属は別物です。同じ発想のひっかけとして、法定受託事務は住民監査請求・住民訴訟の対象にならない、議会の百条調査の対象にならない、といった記述もありますが、いずれも誤りですので注意してください。
命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定める場合には、意見提出期間内に当該命令等制定機関に対し提出された当該命令等の案についての意見(以下「提出意見」という。)を十分に考慮しなければならない。
結論:この肢は「正しい」。
事務の監査請求(地方自治法75条)も住民監査請求(同法242条)も、自治事務・法定受託事務のいずれについても対象となりうるものであり、本肢は正しい記述です。
まず事務の監査請求です。地方自治法75条1項は、選挙権を有する者は、その総数の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から、監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求をすることができると定めています。これは直接請求の一種であり、対象は「当該普通地方公共団体の事務の執行」全般です。法定受託事務も2条9項が明示するとおり地方公共団体が処理する事務ですから、当然この「事務」に含まれます。
次に住民監査請求です。242条1項は、普通地方公共団体の住民が、当該団体の長・委員会・委員・職員について、違法もしくは不当な公金の支出、財産の取得・管理・処分、契約の締結・履行、債務その他の義務の負担、または違法もしくは不当に公金の賦課徴収・財産の管理を怠る事実があると認めるときに、監査委員に監査を求め、必要な措置を講ずべきことを請求できると定めます。ここでの対象は財務会計上の行為または怠る事実であり、当該行為が自治事務に関して行われたか法定受託事務に関して行われたかは問いません。法定受託事務の処理に伴う支出であっても、違法・不当な財務会計行為であれば住民監査請求、さらには住民訴訟(242条の2)の対象となります。
理由づけとしては、やはり1999年の地方分権改革が効いています。機関委任事務は原則として監査委員の監査対象から外されていましたが、これが廃止されたことにより、地方公共団体の処理する事務は原則としてすべて監査の対象に取り込まれました。監査委員の権限を定める199条2項も、監査委員は「普通地方公共団体の事務」の執行について監査すると定めており、自治事務と法定受託事務を区別していません。
ひっかけポイントを二つ挙げます。第一に、本肢が「対象となることがある」という控えめな表現を用いている理由です。199条2項の括弧書きと施行令により、自治事務のうち労働委員会・収用委員会の権限に属するもので政令で定めるもの、および法定受託事務のうち国の安全を害するおそれ等の理由で政令で定めるものは、監査の対象から除かれています。全部が必ず対象になるわけではないため、「ことがある」という表現が的確なのです。第二に、事務の監査請求と住民監査請求の混同です。前者は選挙権者の50分の1以上の連署が必要な直接請求で、請求者は選挙権を有する者、監査結果は公表・報告されるにとどまり訴訟には接続しません。後者は住民であれば1人でもでき(外国人・法人でも可)、当該行為のあった日または終わった日から1年という期間制限があり(242条2項)、住民訴訟の前置手続となります。この対比は繰り返し出題されますので確実に整理しておきましょう。
結論:この肢は「誤り」。
判例は、道路の供用によって周辺住民に受忍限度を超える騒音・排気ガス等の被害が生じている場合を、国家賠償法2条1項にいう「公の営造物の設置又は管理」の瑕疵に当たると認めています。責任は生じないとする本肢は判例に反します。
根拠となるのは国道43号線訴訟の最高裁判決(最判平成7年7月7日)です。国道43号および阪神高速道路の沿道住民が、自動車騒音・排気ガス等による被害を理由に損害賠償と差止めを求めた事案で、最高裁は、道路の供用によって生ずる騒音等が周辺住民に社会生活上受忍すべき限度を超える被害を及ぼしている場合には、道路に「設置又は管理」の瑕疵があるとして、国および阪神高速道路公団の損害賠償責任を肯定しました(差止請求については、道路の公共性等を考慮して認めませんでした)。
理論的な下敷きとなっているのは、大阪国際空港訴訟の最高裁大法廷判決(最大判昭和56年12月16日)が示した考え方です。同判決は、営造物の設置または管理の瑕疵とは営造物が通常有すべき安全性を欠いている状態をいうとしたうえで、その安全性の欠如は営造物が本来備えるべき物的性状の欠陥にとどまらず、営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連において、利用者以外の第三者に対して危害を生じさせる危険性がある場合をも含むとしました。これがいわゆる供用関連瑕疵(機能的瑕疵)の理論です。道路は物理的には何ら欠陥がなくても、それが供用されること自体から沿道に騒音・振動・大気汚染をもたらすのですから、この理論により瑕疵が認められるわけです。
ひっかけポイントは二つあります。第一に、供用関連瑕疵の理論は「営造物の物的欠陥がなければ瑕疵はない」という素朴な理解を覆すものであり、本肢はまさにその素朴な理解に読み手を引き込もうとしています。第二に、損害賠償請求と差止請求の帰趨が分かれている点です。国道43号線訴訟でも大阪空港訴訟でも、過去の被害に対する賠償は認められた一方、将来にわたる差止めは、当該施設の公共性・公益上の必要性の大きさを比較衡量した結果として認められませんでした。「賠償は認容、差止めは棄却」という結論の非対称性は、受忍限度論における違法性判断が請求内容によって異なりうる(違法性段階説)という議論と結びついており、記述式の素材にもなりますので押さえておきましょう。
1命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布(公布をしないものにあっては、公にする行為。第五項において同じ。)と同時期に、次に掲げる事項を公示しなければならない。
一 命令等の題名
二 命令等の案の公示の日
三 提出意見(提出意見がなかった場合にあっては、その旨)
四 提出意見を考慮した結果(意見公募手続を実施した命令等の案と定めた命令等との差異を含む。)及びその理由
2命令等制定機関は、前項の規定にかかわらず、必要に応じ、同項第三号の提出意見に代えて、当該提出意見を整理又は要約したものを公示することができる。この場合においては、当該公示の後遅滞なく、当該提出意見を当該命令等制定機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしなければならない。
3命令等制定機関は、前二項の規定により提出意見を公示し又は公にすることにより第三者の利益を害するおそれがあるとき、その他正当な理由があるときは、当該提出意見の全部又は一部を除くことができる。
4命令等制定機関は、意見公募手続を実施したにもかかわらず命令等を定めないこととした場合には、その旨(別の命令等の案について改めて意見公募手続を実施しようとする場合にあっては、その旨を含む。)並びに第一項第一号及び第二号に掲げる事項を速やかに公示しなければならない。
5命令等制定機関は、第三十九条第四項各号のいずれかに該当することにより意見公募手続を実施しないで命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、次に掲げる事項を公示しなければならない。ただし、第一号に掲げる事項のうち命令等の趣旨については、同項第一号から第四号までのいずれかに該当することにより意見公募手続を実施しなかった場合において、当該命令等自体から明らかでないときに限る。
一 命令等の題名及び趣旨
二 意見公募手続を実施しなかった旨及びその理由
結論:この肢は「誤り」。
判例は、一定の要件を満たす場合には黙示の公用廃止があったものと認め、明示の公用廃止がなくても公共用財産について取得時効が成立しうるとしています。明示の公用廃止を絶対的な要件とする本肢は誤りです。
根拠判例は最判昭和51年12月24日です。同判決は、公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態・機能を全く喪失し、その物のうえに他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合には、その公共用財産については黙示的に公用が廃止されたものとして、取得時効の成立を妨げないと判示しました。したがって、公図上は水路とされていても、実態として水路の形態も機能も失われ、長期間他人の占有が続いているような土地は、民法162条による時効取得の対象となりうるのです。
理由づけとしては、公物の不融通性の根拠を考えると理解しやすくなります。公物が私権の対象になじまないとされるのは、公の用に供されている以上、私人の権利取得を認めると公の目的が害されるからです。ところが、すでに公の目的への供用実態が失われ、私人の占有によって何ら公の目的が害されない状態に至っているのであれば、その不融通性を維持する実質的な理由は消滅しています。それにもかかわらず行政庁が公用廃止の意思表示という形式を踏んでいないという一事をもって、長年の占有事実を保護しないのは、時効制度が永続した事実状態を保護しようとする趣旨にも反します。そこで判例は、行政実務上の形式主義を貫かず、黙示の公用廃止という構成で妥当な結論を導いたのです。
ひっかけポイントは、要件の厳格さです。判例が黙示の公用廃止を認めるのは、(1)長年事実上公の目的に供用されず放置され、(2)公共用財産としての形態・機能を全く喪失し、(3)他人の平穏かつ公然の占有が継続し、(4)そのため実際上公の目的が害されることもなく、(5)もはや公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合です。単に一時的に利用されていないというだけでは足りません。また、行政財産である以上、その用途または目的を妨げない限度での使用許可(地方自治法238条の4第7項)や、用途廃止後の普通財産への転換といった仕組みとの区別も意識しておきましょう。
結論:この肢は「正しい」。
いわゆる2項道路の一括指定について、判例は処分性を肯定しています。本肢は判例の判断枠組みと結論を正確に述べたものです。
根拠判例は最判平成14年1月17日です。建築基準法42条2項は、同法の適用の際すでに建築物が立ち並んでいる幅員4メートル未満の道で、特定行政庁が指定したものを道路とみなす旨を定めており、この指定は、個別の道ごとに行うほか、一定の条件に合致する道を一括して指定する方法(一括指定)によって告示の形で行われることが実務上多くみられます。最高裁は、こうした一括指定の方法でされた2項道路の指定であっても、指定の効果が及ぶ個別の道は特定されうるのであり、指定がされると当該道の敷地所有者は、その本来的な効果として、道路内の建築制限(44条1項)を受け、また当該道の中心線から水平距離2メートルの線が敷地の境界線とみなされること(42条2項)により建築基準法上の建築制限を受けることになるとして、一括指定も個別の土地について具体的な私権制限を発生させるものであり、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たると判断しました。
理由づけの核心は、処分性の判断において「一般的・抽象的な規範定立か、それとも個別・具体的な法効果の発生か」を、形式ではなく実質でみるという点にあります。一括指定は、外形上は多数の道を一挙に対象とする一般的な告示に見えます。しかし、その指定によってどの土地が制限を受けるかは客観的に確定でき、しかも制限は指定の反射的効果ではなく本来的効果として直接発生します。だからこそ、行政立法のような一般的規律ではなく、多数の名宛人に対する処分の集合と評価できるわけです。
ひっかけポイントは、処分性に関する判例群の中での位置づけです。同じ都市計画・建築行政の分野でも、旧都市計画法上の用途地域指定については、その段階では建築制限は不特定多数者に対する一般的抽象的なものにとどまるとして処分性が否定されました(最判昭和57年4月22日・盛岡用途地域指定事件)。他方、土地区画整理事業の事業計画決定については、判例変更により処分性が肯定されています(最大判平成20年9月10日・浜松市土地区画整理事業事件)。「一般的・抽象的な制限にすぎないか」「特定の土地に具体的な制限が直接生じるか」「実効的な権利救済の必要性はあるか」という三つの視点で、各判例を整理しておくと得点源になります。
第四十二条の規定は第四十条第二項に該当することにより命令等制定機関が自ら意見公募手続を実施しないで命令等を定める場合について、前条第一項から第三項までの規定は第四十条第二項に該当することにより命令等制定機関が自ら意見公募手続を実施しないで命令等を定めた場合について、前条第四項の規定は第四十条第二項に該当することにより命令等制定機関が自ら意見公募手続を実施しないで命令等を定めないこととした場合について準用する。この場合において、第四十二条中「当該命令等制定機関」とあるのは「委員会等」と、前条第一項第二号中「命令等の案の公示の日」とあるのは「委員会等が命令等の案について公示に準じた手続を実施した日」と、同項第四号中「意見公募手続を実施した」とあるのは「委員会等が意見公募手続に準じた手続を実施した」と読み替えるものとする。
結論:この肢は「誤り」。
判例は、故障車が長時間道路上に放置されていたのに道路管理者が何らの措置も講じなかった事案について、道路の管理に瑕疵があったとして国家賠償責任を認めています。責任は認められないとする本肢は判例に反します。
根拠判例は最判昭和50年7月25日です。国道上に故障した大型貨物自動車が87時間にわたって放置され、原動機付自転車を運転していた者がこれに衝突して死亡した事案において、最高裁は、道路管理者は道路を常時良好な状態に保つように維持・修繕し、一般交通に支障を及ぼさないように努める義務を負うところ、長時間にわたる放置を知りえたのに、車両の運転者に対して移動を命じたり、自ら安全確保のための措置を講じたりすることを全くしなかったのであるから、道路の安全性に欠如があり、道路の管理に瑕疵があったと判断しました。そして、道路の管理費用を負担する県は、国家賠償法2条1項および3条1項に基づき賠償責任を負うとされたのです。
理由づけとして重要なのは、国家賠償法2条の責任が無過失責任と解されていること、および「設置又は管理の瑕疵」の有無が、営造物が通常有すべき安全性を欠いているかどうかという客観的な観点から判断されることです。障害物が第三者の行為によって置かれた場合であっても、それが長時間放置されて道路の安全性を損なっている以上、これを除去し、または危険を回避する措置を講じないことは管理の瑕疵と評価されます。
ひっかけポイントは、対比判例との使い分けです。最判昭和50年6月26日は、道路工事のために設置された工事標識板・バリケード・赤色灯標柱が、事故発生の直前に第三者によって倒され、道路管理者がこれを原状に復して安全性を保つことが時間的に不可能であったという事案で、管理の瑕疵を否定しました。同じ昭和50年の判決でありながら結論が分かれるのは、放置された時間の長さと、管理者が異常を知り措置を講じることが可能であったかどうか(時間的余裕・回避可能性)が決定的な違いだからです。「87時間放置=瑕疵あり」「直前に倒された=瑕疵なし」とセットで覚えてください。また、費用負担者の責任(3条1項)と、最終的な負担者に対する求償(3条2項)の関係もあわせて確認しておきましょう。
結論:この肢は「誤り」。
判例は、この場面について違法性の承継を認め、建築確認の取消訴訟において先行処分である安全認定の違法を主張することが許されるとしています。許されないとする本肢は判例に反します。
根拠判例は最判平成21年12月17日(いわゆる新宿区たぬきの森事件)です。東京都建築安全条例は、一定規模以上の建築物について接道要件を定めるとともに、安全上支障がないと認めて区長が安全認定をした場合には接道要件を適用しない旨を定めていました。最高裁は、安全認定は建築主に対し建築確認申請手続における一定の地位を与えるものであって、安全認定と建築確認は、避難・通行の安全の確保という同一の目的を達成するために行われるものであり、両者が結合して初めてその効果を発揮するものであるとしました。そのうえで、安全認定は、それを申請者以外の者に通知することが予定されておらず、その存在を周辺住民等が速やかに知りうるとは限らないため、安全認定の適否について争訟の機会が実質的に保障されているとはいえないことも指摘し、建築確認の取消訴訟において安全認定の違法を主張することは許されると判断しました。
理由づけの一般論に引き直すと、違法性の承継が認められるかどうかは、(1)先行処分と後行処分が同一の目的の実現に向けられ、両者が結合して一つの法効果を完成させる関係にあるか(実体的な一体性)と、(2)先行処分の段階で相手方や利害関係人に手続保障・争訟の機会が十分に与えられていたか(手続的な観点)という二つの視点から判断されます。原則として、先行処分に不可争力が生じた後は後行処分の訴訟でその違法を争えないのが行政行為の公定力・不可争力の帰結ですが、上記の二要件が満たされる場合には例外的に承継が認められるのです。
ひっかけポイントは、承継が否定される典型例との対比です。課税処分と滞納処分のように、目的も効果も異なる処分の間では違法性の承継は認められません。一方、古典的に承継が認められる例としては、土地収用における事業認定と収用裁決の関係が挙げられます。「別個の目的・別個の効果なら承継否定」「同一目的・一体的効果かつ争訟機会の不十分なら承継肯定」という判断軸で整理してください。なお本問の安全認定は特別区の条例に基づく仕組みですが、条例に基づく処分であっても行政処分性や違法性の承継の議論が同様に妥当する点も確認しておきましょう。
1第三十九条第一項並びに第四十三条第一項(前条において読み替えて準用する場合を含む。)、第四項(前条において準用する場合を含む。)及び第五項の規定による公示は、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により行うものとする。
2前項の公示に関し必要な事項は、総務大臣が定める。
結論:この肢は「誤り」。
行政事件訴訟法上の執行停止は、本案訴訟の係属を前提とする付随的な仮の救済制度です。本案の抗告訴訟を提起せずに執行停止の申立てだけを先行させることはできません。
根拠は行政事件訴訟法25条2項です。同項は「処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止……をすることができる」と定めています。「取消しの訴えの提起があつた場合において」という文言が本案係属の要件を表しており、無効等確認の訴えについても38条3項によって25条が準用され、同じく本案の提起が前提となります。仮に本案訴訟の提起前に申立てをしても、不適法として却下されることになります。
理由づけとしては、執行停止が行政庁の第一次的判断権を暫定的に停止する制度であり、あくまで本案審理を実効あらしめるための仮の措置として位置づけられていることが挙げられます。民事保全法上の仮処分は本案提起前でも申し立てられますが、行政事件訴訟法44条は「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為については、民事保全法に規定する仮処分をすることができない」と定めて、公権力の行使に対する民事保全のルートを遮断しています。したがって、公権力の行使を仮に止める手段は行政事件訴訟法上の執行停止(および仮の義務付け・仮の差止め)に一元化され、その要件として本案係属が要求されているのです。
ひっかけポイントを整理します。第一に、本肢は「効力の停止」だけを取り出していますが、25条2項ただし書は、処分の効力の停止は、処分の執行または手続の続行の停止によって目的を達することができる場合にはすることができないと定めており、効力停止には補充性があります。第二に、義務付け訴訟に伴う仮の義務付け(37条の5第1項)、差止訴訟に伴う仮の差止め(同条2項)も、それぞれ本案訴訟の提起が要件とされています。第三に、執行停止の申立てには内閣総理大臣の異議(27条)という特殊な制度があること、執行停止の決定には第三者効(32条2項)が及ぶことも、あわせて確認しておきましょう。
結論:この肢は「誤り」。
住民訴訟の対象は財務会計上の行為または財産の管理を怠る事実に限られており、条例の制定行為はこれに当たりません。したがって、住民訴訟によって保育所廃止条例の制定行為の差止めを求めることはできません。
根拠は地方自治法242条1項および242条の2第1項です。242条1項は、住民監査請求の対象を、当該普通地方公共団体の長・委員会・委員・職員について、違法もしくは不当な公金の支出、財産の取得・管理・処分、契約の締結・履行、債務その他の義務の負担、または違法もしくは不当に公金の賦課徴収・財産の管理を怠る事実がある場合と定めています。そして242条の2第1項は、この住民監査請求をした住民が、監査結果等に不服があるとき等に住民訴訟を提起できるとし、その請求類型として、1号(差止請求)、2号(行政処分たる当該行為の取消しまたは無効確認)、3号(怠る事実の違法確認)、4号(職員個人等に対する損害賠償・不当利得返還請求をすることを長に求める請求)を掲げています。
ここから分かるとおり、1号の差止請求という類型自体は存在しますが、その対象はあくまで242条1項が列挙する財務会計上の行為です。条例の制定は議会が行う立法作用であって、公金の支出でも契約の締結でも財産の処分でもありませんから、住民監査請求の対象とならず、その帰結として住民訴訟の対象にもなりません。住民訴訟は客観訴訟(民衆訴訟)であり、法律に定める場合において、法律に定める者に限り提起できるとされています(行政事件訴訟法42条)。法律が定めた枠を超えて対象を広げることはできないのです。
ひっかけポイントは三つあります。第一に、住民訴訟には住民監査請求前置主義が採られており、監査請求を経ずにいきなり訴訟を提起することはできません(242条の2第1項)。第二に、住民監査請求には、当該行為のあった日または終わった日から1年という期間制限があります(242条2項。正当な理由があるときは例外)。第三に、住民訴訟を提起できるのは監査請求をした住民ですが、住民監査請求自体は住民であれば1人でもでき、選挙権の有無も国籍も問いません。この点は、選挙権を有する者の50分の1以上の連署を要する事務の監査請求(75条)と明確に異なります。