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在留資格の種類と申請|行政書士の入管業務入門

在留資格の種類と申請手続きを行政書士の入管業務の観点から解説。就労系・身分系・特定活動の在留資格一覧、在留資格認定証明書交付申請の流れを紹介します。

はじめに|在留資格制度の概要

日本に入国・在留する外国人は、原則として「在留資格」を有していなければなりません。在留資格とは、外国人が日本で行うことができる活動や、日本に在留できる身分・地位を類型化したもので、出入国管理及び難民認定法(入管法)の別表に定められています。

在留資格は「ビザ(査証)」と混同されがちですが、厳密には異なる概念です。ビザは日本への入国に際して在外公館(大使館・領事館)が発給するもので、在留資格は入国後に日本で活動・在留するための資格です。実務上は「ビザ」と通称されることも多いですが、法的には区別して理解する必要があります。

行政書士は、入管法に基づく「申請取次制度」を利用して、外国人本人に代わって在留資格に関する申請手続きを行うことができます。これは行政書士の業務の中でも特に需要が拡大している分野であり、本記事ではその入口として、在留資格の種類と申請手続きの全体像を解説します。

在留資格の分類

在留資格は大きく以下のように分類されます。

分類概要在留資格の数就労系在留資格特定の職種・活動内容に応じた就労が認められる19種類身分系在留資格日本人の配偶者等、身分関係に基づいて在留する4種類非就労系在留資格留学、文化活動など、原則として就労が認められない5種類特定活動法務大臣が個々の外国人に対して指定する活動1種類(活動内容は多数)技能実習技能等の修得を目的として在留する2種類特定技能特定産業分野での人手不足に対応する2種類
在留資格は全部で29種類とされることが多いですが、数え方によって若干異なります。入管法別表第一(活動に基づく在留資格)と別表第二(身分に基づく在留資格)を合わせたものが在留資格の全体像です。

主な就労系在留資格

就労系在留資格は、日本で特定の仕事に従事するために必要な資格です。代表的なものを一覧で確認しましょう。

主要な就労系在留資格一覧

在留資格該当する活動例在留期間技術・人文知識・国際業務エンジニア、通訳、デザイナー、マーケティング5年、3年、1年、3月経営・管理会社経営者、事業の管理者5年、3年、1年、4月、3月技能外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機操縦者5年、3年、1年、3月企業内転勤外国の事業所から日本の事業所への転勤者5年、3年、1年、3月教授大学教授、准教授、講師5年、3年、1年、3月教育小中高等学校の語学教師等5年、3年、1年、3月研究公私の機関における研究者5年、3年、1年、3月医療医師、歯科医師、看護師5年、3年、1年、3月法律・会計業務弁護士、公認会計士5年、3年、1年、3月興行俳優、歌手、プロスポーツ選手3年、1年、6月、3月、15日高度専門職1号・2号ポイント制に基づく高度人材1号は5年、2号は無期限

「技術・人文知識・国際業務」の重要性

就労系在留資格の中で、最も申請件数が多いのが「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国)です。

この在留資格は、以下の3つの分野をカバーしています。

  • 技術:理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術・知識を要する業務(例:ITエンジニア、機械設計技術者)
  • 人文知識:法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術・知識を要する業務(例:経理、人事、マーケティング)
  • 国際業務:外国の文化に基盤を有する思考・感受性を要する業務(例:通訳・翻訳、デザイナー、語学教師)

申請に際しては、本人の学歴(大学卒業以上または日本の専門学校卒業)と業務内容の関連性が厳しく審査されます。行政書士が申請を取り次ぐ際には、この「学歴と業務内容の関連性」を理由書等で的確に説明することが極めて重要です。

確認問題

在留資格「技術・人文知識・国際業務」の申請では、本人の学歴と従事する業務内容の関連性は審査の対象にならない。

○ 正しい × 誤り
解説
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するためには、本人の学歴(大学卒業等)と従事する業務内容に関連性があることが求められます。例えば、経済学部卒業の方がIT開発業務に従事する場合、関連性の説明が困難となり不許可になるリスクがあります。この関連性の立証は申請における最重要ポイントの一つです。

身分系在留資格

身分系在留資格は、日本人や永住者との身分関係に基づいて付与される在留資格です。就労系在留資格とは異なり、活動内容に制限がないため、どのような仕事にも従事できるのが大きな特徴です。

在留資格該当する者在留期間就労制限永住者法務大臣から永住の許可を受けた者無期限なし日本人の配偶者等日本人の配偶者、実子、特別養子5年、3年、1年、6月なし永住者の配偶者等永住者の配偶者、日本で出生した永住者の子5年、3年、1年、6月なし定住者日系3世、難民認定者など法務大臣が指定する者5年、3年、1年、6月、告示で指定なし

永住許可の要件

永住許可は、在留資格の中で最も安定した地位を得られるものであり、申請件数も非常に多いです。主な要件は以下のとおりです。

  1. 素行が善良であること:法令違反がないこと
  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること:安定した収入があること
  3. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
  • 原則として引き続き10年以上日本に在留していること(うち5年以上は就労資格または居住資格での在留)
  • 納税義務等の公的義務を履行していること
  • 現に有している在留資格について最長の在留期間をもって在留していること
  • 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
永住許可の審査基準は近年厳格化の傾向にあります。特に税金・年金・健康保険の納付状況が厳しくチェックされており、未納や滞納がある場合は不許可となるケースが増えています。

特定技能制度

2019年に創設された特定技能制度は、深刻な人手不足に対応するための新しい在留資格です。行政書士にとっても近年急速に需要が拡大している分野です。

特定技能1号と2号の比較

項目特定技能1号特定技能2号技能水準相当程度の知識又は経験熟練した技能日本語能力日常会話程度(N4レベル以上)試験等で確認(分野による)在留期間通算5年が上限上限なし(更新可能)家族の帯同原則不可条件を満たせば可能対象分野16分野11分野(2024年拡大)永住申請原則不可(通算5年のため)要件を満たせば可能

特定技能の対象分野

特定技能1号の対象となる16分野は以下のとおりです。

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  4. 建設
  5. 造船・舶用工業
  6. 自動車整備
  7. 航空
  8. 宿泊
  9. 農業
  10. 漁業
  11. 飲食料品製造業
  12. 外食業
  13. 自動車運送業
  14. 鉄道
  15. 林業
  16. 木材産業

在留資格に関する申請手続の種類

行政書士が取り扱う在留資格関連の申請手続きは、主に以下の4種類です。

1. 在留資格認定証明書交付申請

海外にいる外国人を日本に呼び寄せるための手続きです。

  • 申請先:地方出入国在留管理局
  • 申請者:原則として日本にいる受入れ機関の職員や親族
  • 審査期間:1〜3か月程度
  • 流れ:申請→審査→認定証明書交付→本人に送付→在外公館でビザ申請→入国

2. 在留資格変更許可申請

現在の在留資格から別の在留資格に変更するための手続きです。

  • 申請先:地方出入国在留管理局
  • 典型的な例:留学→技術・人文知識・国際業務(留学生の就職時)
  • 審査期間:2週間〜1か月程度
  • 注意点:変更の許可が出るまで、新しい在留資格の活動は行えない

3. 在留期間更新許可申請

現在の在留資格の期間を延長するための手続きです。

  • 申請先:地方出入国在留管理局
  • 申請時期:在留期間満了日の3か月前から申請可能
  • 審査期間:2週間〜1か月程度
  • 注意点:更新が保証されているわけではなく、在留状況の審査がある

4. 永住許可申請

永住者の在留資格を取得するための手続きです。

  • 申請先:地方出入国在留管理局
  • 審査期間:4か月〜(実際は6か月以上かかることも多い)
  • 特徴:他の申請と比較して審査期間が長く、提出書類も多い

申請手続の比較表

申請種類審査期間の目安主な提出書類認定証明書交付1〜3か月申請書、写真、在職証明書、雇用契約書、会社の登記事項証明書、決算書等在留資格変更2週間〜1か月申請書、写真、パスポート、在留カード、雇用契約書、卒業証明書等在留期間更新2週間〜1か月申請書、写真、パスポート、在留カード、在職証明書、住民税課税証明書等永住許可4か月〜申請書、写真、パスポート、在留カード、理由書、身元保証書、住民税課税証明書、納税証明書、年金記録等
確認問題

在留資格認定証明書交付申請は、海外にいる外国人本人が日本の入管局に直接申請しなければならない。

○ 正しい × 誤り
解説
在留資格認定証明書交付申請は、原則として日本にいる受入れ機関の職員(雇用主の担当者など)や親族が申請者として手続きを行います。海外にいる外国人本人が直接日本の入管局に申請するのではなく、日本側の関係者が代わりに申請し、交付された認定証明書を本人に送付する流れです。行政書士は申請取次者としてこの手続きを代行できます。

行政書士の申請取次制度

申請取次とは

入管法上、在留資格に関する申請は原則として外国人本人が地方出入国在留管理局に出頭して行うこととされています。しかし、行政書士法および入管法の規定により、一定の要件を満たした行政書士は「申請取次者」として、本人に代わって申請書を提出することができます。

申請取次行政書士になるには

申請取次行政書士として活動するためには、以下の手順が必要です。

  1. 行政書士として登録する:まず行政書士名簿に登録されていること
  2. 申請取次に関する研修を受講する:出入国在留管理庁が指定する研修(いわゆる「ピンクカード研修」)を修了する
  3. 届出を行う:地方出入国在留管理局に届出を行い、届出済証明書(ピンクカード)の交付を受ける

申請取次のメリット

メリット詳細外国人本人の出頭が不要本人は入管局に行かなくてよい(受付窓口の混雑回避)専門家による書類作成不備のない申請書類により、審査がスムーズに進む許可率の向上理由書や添付書類の質が上がり、許可の可能性が高まる時間と労力の節約申請者・受入れ機関の双方にとって負担が軽減される

入管業務の魅力と難しさ

入管業務の魅力

行政書士が入管業務に取り組む魅力は多岐にわたります。

  • 需要の拡大:在留外国人は340万人を超え、今後も増加が見込まれる。特定技能制度の拡大により、新規の在留資格申請は増え続けている
  • 専門性の高さ:入管法は頻繁に改正され、審査基準も随時変更されるため、最新の知識を持つ専門家への需要が高い
  • やりがい:外国人の方の人生に直接関わる業務であり、許可が出たときの喜びは大きい
  • 継続的な関係:在留期間の更新が定期的に発生するため、一度の依頼から長期的な顧客関係が構築できる
  • 報酬水準:入管業務は専門性が高い分、報酬単価も比較的高い傾向にある

入管業務の難しさ

一方で、以下のような難しさもあります。

  • 法改正への対応:入管法や関連する告示・通達は頻繁に改正されるため、常に最新情報をフォローする必要がある
  • 不許可リスクの説明:申請は必ず許可されるわけではなく、不許可の可能性を事前に依頼者に説明する必要がある
  • コミュニケーションの壁:外国人依頼者との言語の壁や文化的な違いへの対応が求められる
  • 書類収集の困難さ:海外の大学の卒業証明書や職歴証明書など、入手が困難な書類を収集する必要がある場合がある
  • 責任の重さ:在留資格の有無は外国人の方の日本での生活に直結するため、ミスが許されない

入管業務の報酬の目安

業務内容報酬の目安在留資格認定証明書交付申請10〜15万円在留資格変更許可申請10〜15万円在留期間更新許可申請5〜10万円永住許可申請10〜20万円帰化申請(行政書士の関与可能範囲)15〜25万円特定技能関連申請10〜20万円
上記はあくまで一般的な目安であり、案件の複雑さ、地域、事務所の方針によって大きく異なります。不許可歴がある案件やイレギュラーな事案は、通常より高額の報酬を設定することが一般的です。
確認問題

行政書士であれば、登録するだけで在留資格の申請取次を行うことができる。

○ 正しい × 誤り
解説
在留資格の申請取次を行うためには、行政書士としての登録に加えて、出入国在留管理庁が指定する研修を修了し、地方出入国在留管理局に届出を行って届出済証明書(通称ピンクカード)の交付を受ける必要があります。行政書士登録だけでは申請取次はできません。

まとめ|入管業務は行政書士の成長分野

在留資格に関する業務は、行政書士にとって今後ますます重要性を増す分野です。本記事の要点を振り返ります。

在留資格制度の基本

  • 在留資格は入管法の別表に定められた29種類がある
  • 就労系、身分系、特定活動等に分類される
  • 在留資格とビザ(査証)は法的に異なる概念

主な在留資格

  • 就労系で最も申請が多いのは「技術・人文知識・国際業務」
  • 身分系在留資格は活動制限がなく、どの仕事にも従事できる
  • 特定技能制度は人手不足対応のために創設され、対象分野が拡大中

申請手続き

  • 認定証明書交付、変更、更新、永住許可の4種類が中心
  • 行政書士は申請取次制度を利用して、本人に代わり申請できる
  • 申請取次行政書士になるには所定の研修修了と届出が必要

入管業務は専門性が高く、法改正への対応も求められますが、その分やりがいも大きく、報酬水準も高い傾向にあります。在留外国人の増加に伴い、この分野の専門家への需要は今後さらに拡大することが見込まれています。行政書士を目指す方にとって、入管業務は将来のキャリアの選択肢として大いに検討に値する分野です。

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