行政書士試験|一般知識の時事問題対策2026年版
行政書士試験2026年の一般知識・時事問題対策を徹底解説。政治・経済・社会の最新トピックと、効率的な対策法を紹介します。足切り回避の戦略も。
はじめに:一般知識は「足切り」を回避せよ
行政書士試験の一般知識等科目は、多くの受験生にとって悩みの種です。法令科目でどれだけ高得点を取っても、一般知識等科目で足切りに遭えば不合格になるという厳しいルールがあるためです。
一般知識等科目の出題は、政治・経済・社会が7問程度、個人情報保護・情報通信が4問程度、文章理解が3問の合計14問(56点満点)です。このうち6問以上(24点以上)に正解しなければ、法令科目の得点にかかわらず不合格となります。
しかし、一般知識等科目は対策の仕方を知っていれば、決して怖い科目ではありません。足切りラインの6問は14問中の43%であり、半分以下の正解率で十分クリアできます。安定して得点できる3分野(個人情報保護法、文章理解、IT・情報通信)で5〜6問を確保し、時事問題で1〜2問を上乗せする戦略が最も効率的です。
本記事では、2026年の行政書士試験で出題が予想される時事トピックを整理するとともに、足切り回避のための効率的な戦略を解説します。時事問題は深入りせず、最小限の労力で最大限の効果を得ることを目指しましょう。
一般知識等科目の出題構成と配点
出題の内訳
一般知識等科目は、大きく3つの分野に分かれています。各分野の出題数と特徴を整理します。
政治・経済・社会(7問程度、28点):日本の政治制度、経済政策、社会問題、国際関係など幅広い分野から出題されます。出題範囲が広く予測が難しいため、最も対策が困難な分野です。時事問題もこの分野に含まれます。
個人情報保護・情報通信(4問程度、16点):個人情報保護法の条文知識、情報通信に関する基本用語、サイバーセキュリティ等から出題されます。条文ベースの学習で対策可能な分野であり、安定した得点源にすべきです。
文章理解(3問、12点):現代文の読解問題です。文章の並べ替え、空欄補充、要旨把握の3形式が出題されます。テクニックを身につければ安定して高得点が狙える分野です。
足切りラインと得点戦略
足切りラインは14問中6問以上(24点以上)です。これをクリアするための現実的な戦略は以下のとおりです。
安定得点源で5〜6問確保
- 個人情報保護法:4問中2〜3問正解(条文学習で対応可能)
- 文章理解:3問中2〜3問正解(テクニックで安定)
- IT・情報通信:個人情報保護と合わせた4問の中で対応
時事・政経社会で1〜2問上乗せ
- 政治・経済・社会:7問中1〜2問正解
安定得点源で5〜6問確保できれば、時事問題で1問取るだけで足切りをクリアできます。時事問題に過度な時間を割く必要はなく、安定得点源の強化を優先すべきです。
合格者の一般知識等の得点分布
合格者の一般知識等科目の得点は、6〜9問正解(24〜36点)に集中しています。10問以上正解している合格者は少数派であり、一般知識等で高得点を目指す必要はありません。7〜8問正解(28〜32点)を安定して取れるようになれば、足切りの心配なく法令科目の学習に集中できます。
2026年に出題が予想される政治分野のトピック
デジタル庁の施策とデジタル社会の推進
デジタル庁は2021年9月に発足した比較的新しい行政機関であり、試験でも継続的に注目されるトピックです。デジタル社会形成基本法に基づき、行政のデジタル化を推進する司令塔としての役割を担っています。
2026年試験で問われる可能性があるポイントは以下のとおりです。
マイナンバーカードの普及と利活用:マイナンバーカードの健康保険証としての利用(マイナ保険証)が進んでいます。従来の紙の健康保険証は2024年12月に新規発行が終了し、マイナ保険証への移行が進められています。マイナンバー制度とマイナンバーカードの機能の区別を理解しておきましょう。
デジタル社会形成基本法の内容:デジタル社会の形成に関する基本理念、国・地方公共団体の責務、デジタル庁の設置根拠等が定められています。同法の基本理念として「全ての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現」が掲げられている点を押さえましょう。
こども家庭庁と少子化対策
こども家庭庁は2023年4月に内閣府の外局として設置された行政機関です。こども政策の司令塔として、少子化対策、子育て支援、児童虐待防止等を担当しています。
2024年に「こども未来戦略」に基づく子育て支援の拡充策が打ち出されており、児童手当の拡充(所得制限の撤廃、支給対象の高校生年代への拡大、第3子以降の増額)などが実施されています。行政組織の改編(省庁の新設)に関する出題は時事問題の定番です。
安全保障政策の変化
日本の安全保障政策は近年大きな転換を迎えています。2022年12月に改定された国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画(安保3文書)により、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有が明記されました。
防衛費のGDP比2%への増額方針や、経済安全保障推進法(2022年成立)に基づくサプライチェーンの強靱化、基幹インフラの安全性確保なども出題の可能性があります。
2026年に出題が予想される経済・社会分野のトピック
インフレ・金融政策と新NISA
日本経済は長年のデフレから転換し、物価上昇(インフレ)局面を迎えています。日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、金融政策の正常化に踏み出しました。
金融政策の基礎知識:金融緩和(利下げ・量的緩和)と金融引き締め(利上げ)の仕組み、日本銀行の独立性(日本銀行法)、イールドカーブ・コントロール(YCC)等の基本概念は押さえておきましょう。
新NISA制度:2024年1月にスタートした新NISA(少額投資非課税制度)は、つみたて投資枠(年120万円)と成長投資枠(年240万円)の2つの枠を併用でき、非課税保有限度額は1,800万円です。投資期間の無期限化が大きな変更点であり、「貯蓄から投資へ」の政策の一環として出題される可能性があります。
働き方改革と2024年問題
働き方改革関連法に基づく施策が段階的に施行されています。2024年4月からは、建設業・自動車運転業務・医師に対する時間外労働の上限規制が適用開始となりました(いわゆる2024年問題)。
2024年問題の影響:特に物流業界(トラックドライバー)と建設業界への影響が大きく、人手不足の深刻化やサービスの見直しが社会的な課題となっています。物流の効率化(中継輸送、モーダルシフト等)や建設業の生産性向上(ICT施工等)の取り組みが進められています。
少子高齢化とSDGs
少子高齢化は日本社会の最大の構造的課題であり、試験でも繰り返し出題されるテーマです。
人口動態:日本の合計特殊出生率は低下傾向にあり、少子化対策が重要な政策課題となっています。高齢化率(65歳以上人口の割合)は約29%に達しており、社会保障制度の持続可能性が問われています。
SDGs(持続可能な開発目標):2015年の国連サミットで採択されたSDGsは、2030年を期限とする17のゴールと169のターゲットから成ります。日本政府も「SDGsアクションプラン」を策定し、各種施策を推進しています。試験では、SDGsの基本的な枠組み(採択年、ゴール数、期限等)が問われることがあります。
行政書士試験の一般知識等科目で足切りを回避するには、14問中8問以上(32点以上)の正解が必要である。○か×か。
2026年に出題が予想される国際・法改正のトピック
国際情勢の重要トピック
国際関係に関する出題は毎年1〜2問あり、直近の重大な国際問題が問われる傾向があります。
ロシア・ウクライナ情勢:2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻は、国際秩序に大きな影響を与えました。国連安全保障理事会の機能不全(常任理事国の拒否権問題)、国連総会の決議、経済制裁の枠組みなど、国際法の基礎知識と絡めた出題が考えられます。
米中関係と経済安全保障:米中間の技術覇権競争、半導体規制、経済的なデカップリング(切り離し)の動きは、経済安全保障の文脈で出題される可能性があります。
気候変動対策:パリ協定に基づく温室効果ガスの削減目標、カーボンニュートラル(2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ)、COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)の動向が出題されることがあります。日本は2050年カーボンニュートラルを宣言しており、GX(グリーントランスフォーメーション)推進法なども関連するトピックです。
個人情報保護法の改正動向
個人情報保護法は3年ごとに見直しが行われることが法律に明記されており(個人情報保護法の附則参照)、継続的に改正が行われています。
2022年4月施行の改正では、個人の権利の強化(利用停止・消去請求権の拡大、開示のデジタル化)、事業者の義務の強化(漏えい等報告の義務化、不適正利用の禁止)、ペナルティの強化(罰金の引上げ)などが行われました。
また、2023年4月には個人情報保護法が統一化され、国の行政機関・独立行政法人・地方公共団体に適用されていた別々の法律が、改正個人情報保護法に一元化されました。この一元化は試験で問われやすいポイントです。
個人情報保護法の出題は条文ベースで対策可能であり、安定した得点源にすべき分野です。主要な条文(定義規定、個人情報取扱事業者の義務、要配慮個人情報、仮名加工情報、匿名加工情報等)を丁寧に学習しましょう。
その他の法改正トピック
改正民法(嫡出推定):2024年4月施行の民法改正により、嫡出推定の規定が見直されました。再婚禁止期間(旧733条)が廃止され、嫡出推定の規定が合理化されています。
フリーランス保護法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律):2024年11月施行。フリーランスの取引条件の明確化や報酬の支払い遅延の禁止等を定めた法律です。
安定得点源の強化戦略
個人情報保護法で2〜3問確保する
個人情報保護法は、条文の知識で対応できる問題が多く、最も安定した得点源です。以下のテーマを優先的に学習しましょう。
定義規定の正確な理解:個人情報(2条1項)、個人識別符号(2条2項)、要配慮個人情報(2条3項)、仮名加工情報(2条5項)、匿名加工情報(2条6項)、個人関連情報(2条7項)の各定義を正確に区別できるようにしましょう。
個人情報取扱事業者の義務:利用目的の特定(17条)、利用目的による制限(18条)、不適正な利用の禁止(19条)、適正な取得(20条)、取得に際しての利用目的の通知等(21条)、安全管理措置(23条)、第三者提供の制限(27条)などの義務規定を整理しましょう。
個人情報保護委員会の役割:個人情報の保護に関する基本方針の策定、監視・監督権限、報告・立入検査権限等を押さえておきましょう。
文章理解で2〜3問確保する
文章理解は、出題形式が安定しており、テクニックを身につければ確実に得点できる分野です。3問出題されるうち2〜3問を正解することを目標にしましょう。
並べ替え問題:バラバラにされた文を正しい順序に並べ替える問題です。接続詞(「しかし」「また」「したがって」)や指示語(「この」「それ」「そのような」)に注目して、文の前後関係を判断しましょう。最初の文と最後の文を特定するのがコツです。
空欄補充問題:文章中の空欄に適切な語句や文を入れる問題です。空欄の前後の文脈を丁寧に読み、論理的なつながりを考えて選択肢を絞りましょう。
要旨把握問題:文章の主旨に合致する選択肢を選ぶ問題です。筆者の主張(結論)を正確に把握し、具体例や補足説明に惑わされないことが重要です。
文章理解の対策としては、過去問を10問以上解いて出題パターンに慣れることが最も効果的です。公務員試験の文章理解の問題も練習に使えます。
IT・情報通信で1〜2問確保する
IT・情報通信分野は、基本用語の暗記で対応可能な問題が多い分野です。個人情報保護法と合わせて4問程度出題されるうち、1〜2問の正解を目指しましょう。
押さえておくべきIT用語:AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、ブロックチェーン、5G、DX(デジタルトランスフォーメーション)、サイバーセキュリティ、フィッシング、ランサムウェア等。
情報通信に関する法律:電子署名法、プロバイダ責任制限法、不正アクセス禁止法、特定電子メール法等の基本的な内容を押さえておきましょう。
一般知識等科目の足切り回避のために最も効率的な戦略は、時事問題を徹底的に学習することである。○か×か。
時事対策の効率的な方法
ニュースの見方
時事問題の対策として、日々のニュースをチェックすることは有効ですが、全てのニュースを追う必要はありません。行政書士試験で出題される時事問題は、政治制度、経済政策、社会問題に関連するものが中心であり、芸能・スポーツ・事件事故のニュースは出題されません。
効率的なニュースチェックの方法は以下のとおりです。
新聞の一面と社説を読む:新聞(紙面またはデジタル版)の一面記事は、その時期の最も重要なニュースが掲載されています。社説はニュースの背景や意義を解説しているため、理解を深めるのに役立ちます。毎日15分程度の時間を確保すれば十分です。
ニュースアプリの活用:NHKニュースやYahoo!ニュースなどのアプリで、政治・経済・社会のカテゴリのトップニュースを毎日チェックしましょう。通勤時間や休憩時間を活用すれば、学習時間を圧迫しません。
月刊誌の活用:新聞の代わりに「時事問題対策のまとめ本」を利用する方法もあります。予備校が出版する時事問題対策テキストは、試験に出題されそうなトピックを厳選して解説しているため、効率的に情報を収集できます。
白書の活用
政府が毎年発行する各種白書は、時事問題の出題元となることがあります。全文を読む必要はありませんが、概要版やダイジェスト版に目を通しておくと得点につながる可能性があります。
確認すべき白書:経済財政白書、情報通信白書(総務省)、少子化社会対策白書、高齢社会白書、環境白書等。各白書の「はじめに」と「概要」のみ読めば十分です。
深入りしない姿勢が重要
時事問題対策で最も重要なのは、深入りしないことです。一般知識等科目は56点満点のうち24点を取れば足切りをクリアでき、法令科目で高得点を取るための時間を確保することのほうが合格に直結します。
時事対策に費やす時間の目安は、週に30分〜1時間程度です。毎日ニュースをチェックすること(5〜10分)と、月に1回程度まとめ記事や白書の概要を確認すること(30分程度)を習慣化すれば十分です。
法令科目の学習時間を削ってまで時事対策に時間をかけることは避けましょう。一般知識等で5割〜6割の正答率(7〜8問正解)を安定して取れる状態を目指し、それ以上の高得点は求めないのが合格への最適戦略です。
まとめ
本記事では、2026年の行政書士試験における一般知識等科目の時事問題対策と足切り回避戦略を解説しました。要点を3つにまとめます。
- 足切りラインは14問中6問(24点)、安定得点源で5〜6問確保が基本戦略:個人情報保護法(2〜3問)+文章理解(2〜3問)+IT用語(1〜2問)で安定得点源を固め、時事問題で1〜2問を上乗せする
- 2026年の時事トピックは絞って学習する:デジタル庁・こども家庭庁などの行政組織、新NISA・働き方改革などの経済政策、個人情報保護法の改正動向に絞って効率的に対策する
- 深入りせず、法令科目の学習時間を確保することが合格への近道:時事対策に週30分〜1時間程度を充て、一般知識等は5割〜6割の正答率で十分と割り切り、残りの時間は行政法・民法の学習に投資する
一般知識等科目は「足切りをクリアすればよい」と割り切ることが、合格への最短ルートです。安定得点源の強化を最優先にして、自信を持って試験に臨みましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 一般知識等科目で足切りに遭う受験生はどのくらいいますか?
正確な統計は公表されていませんが、受験生全体の10〜15%程度が一般知識等科目の足切りに遭っていると推測されています。法令科目で合格ラインに達していても、一般知識等で6問に届かず不合格になるケースは決して珍しくありません。足切りを「他人事」と思わず、計画的に対策することが重要です。
Q2. 時事問題対策はいつから始めるべきですか?
試験の半年前(5月頃)から本格的に始めるのが適切です。時事問題は直近のニュースから出題されるため、早すぎる時期に対策しても情報が古くなってしまいます。ただし、日常的にニュースをチェックする習慣は学習開始当初から身につけておくとよいでしょう。試験直前の2〜3か月前には、予備校の時事対策テキストで重要トピックを総復習しましょう。
Q3. 個人情報保護法はどの範囲まで学習すべきですか?
個人情報保護法は全180条以上の大きな法律ですが、試験で問われるのは主に総則部分(定義規定)と個人情報取扱事業者の義務に関する規定です。具体的には、1条〜3条(目的・定義)、17条〜26条(個人情報取扱事業者の義務の基本規定)、27条〜30条(第三者提供の制限)、2条5項〜7項(仮名加工情報・匿名加工情報・個人関連情報の定義)を重点的に学習しましょう。条文の素読が最も効果的な学習法です。
Q4. 文章理解の対策に使える問題集はありますか?
行政書士試験の過去問に加えて、国家公務員一般職試験や地方上級試験の文章理解の問題を練習に使うことをおすすめします。出題形式(並べ替え・空欄補充・要旨把握)が共通しており、問題数も豊富です。「公務員試験 文章理解」で検索すると多くの問題集が見つかります。20〜30問解けば出題パターンに十分慣れることができます。
Q5. 一般知識等科目で高得点(10問以上正解)を目指すべきですか?
基本的には目指す必要はありません。一般知識等で10問正解(40点)を取るための学習時間を、行政法や民法の学習に充てたほうが、合格可能性は高まります。一般知識等は7〜8問正解(28〜32点)を安定して取れる状態を目標にし、それ以上の得点は「取れたらラッキー」程度に考えましょう。ただし、法令科目にすでに十分な自信がある場合は、一般知識等での上積みを狙う戦略もあり得ます。