行政書士試験|時事問題対策2026・一般知識ニュースと小選挙区制【頻出】
行政書士試験2026の時事問題対策を徹底解説。一般知識のニュース(2026年)はどこから出るか、勉強法、頻出の小選挙区制(小選挙区比例代表並立制・一票の格差)を正確に整理。足切り回避の戦略も。
はじめに:一般知識は「足切り」を回避せよ
行政書士試験の一般知識等科目は、多くの受験生にとって悩みの種です。法令科目でどれだけ高得点を取っても、一般知識等科目で足切りに遭えば不合格になるという厳しいルールがあるためです。
一般知識等科目の出題は、政治・経済・社会が7問程度、個人情報保護・情報通信が4問程度、文章理解が3問の合計14問(56点満点)です。このうち6問以上(24点以上)に正解しなければ、法令科目の得点にかかわらず不合格となります。
しかし、一般知識等科目は対策の仕方を知っていれば、決して怖い科目ではありません。足切りラインの6問は14問中の43%であり、半分以下の正解率で十分クリアできます。安定して得点できる3分野(個人情報保護法、文章理解、IT・情報通信)で5〜6問を確保し、時事問題で1〜2問を上乗せする戦略が最も効率的です。
本記事では、2026年の行政書士試験で出題が予想される時事トピックを整理するとともに、足切り回避のための効率的な戦略を解説します。時事問題は深入りせず、最小限の労力で最大限の効果を得ることを目指しましょう。
「行政書士の業務に必要な基礎知識」への科目名変更に注意
2024年度(令和6年度)試験から、従来「一般知識等」と呼ばれていた科目が「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」という名称に変わりました。条文上の根拠は行政書士法施行規則の試験科目に関する規定であり、出題範囲として新たに「行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令」が明示的に加えられた点が最大の変更点です。
ただし、注意すべきは次の3点です。第1に、政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解という従来の柱は引き続き出題されます。第2に、足切り(基準点)の仕組みそのものは変わっていません。総じて、本記事で述べる「時事は深入りせず、安定得点源を固める」という戦略は名称変更後も有効です。第3に、新設された「行政書士法等」の分野は、行政書士法・戸籍法・住民基本台帳法など、行政書士の実務に近い法律から出題され得るため、行政書士法の総則(業務・登録・義務)程度は押さえておくと上乗せが狙えます。
呼称は新旧どちらも使われますが、本記事では読者になじみのある「一般知識(等)」の表現も併用しつつ解説します。
一般知識等科目の出題構成と配点
出題の内訳
一般知識等科目は、大きく3つの分野に分かれています。各分野の出題数と特徴を整理します。
政治・経済・社会(7問程度、28点):日本の政治制度、経済政策、社会問題、国際関係など幅広い分野から出題されます。出題範囲が広く予測が難しいため、最も対策が困難な分野です。時事問題もこの分野に含まれます。
個人情報保護・情報通信(4問程度、16点):個人情報保護法の条文知識、情報通信に関する基本用語、サイバーセキュリティ等から出題されます。条文ベースの学習で対策可能な分野であり、安定した得点源にすべきです。
文章理解(3問、12点):現代文の読解問題です。文章の並べ替え、空欄補充、要旨把握の3形式が出題されます。テクニックを身につければ安定して高得点が狙える分野です。
分野別の特徴を1枚で把握する
各分野の難易度・対策のしやすさ・狙うべき正解数を表で整理します。学習の優先順位を判断する材料にしてください。
この表から読み取るべきポイントは明確です。予測可能性と対策のしやすさが高いのは「個人情報保護・情報通信」と「文章理解」の計7問。この7問のうち5〜6問を固められれば、政治・経済・社会で1問取るだけで足切り(6問)を超えられます。配点で見ても、安定分野が28点を占めるため、ここを落とさないことが最優先です。
足切りラインと得点戦略
足切りラインは14問中6問以上(24点以上)です。これをクリアするための現実的な戦略は以下のとおりです。
安定得点源で5〜6問確保
- 個人情報保護法:4問中2〜3問正解(条文学習で対応可能)
- 文章理解:3問中2〜3問正解(テクニックで安定)
- IT・情報通信:個人情報保護と合わせた4問の中で対応
時事・政経社会で1〜2問上乗せ
- 政治・経済・社会:7問中1〜2問正解
安定得点源で5〜6問確保できれば、時事問題で1問取るだけで足切りをクリアできます。時事問題に過度な時間を割く必要はなく、安定得点源の強化を優先すべきです。
足切り基準の法的根拠と「合格基準」の3要件
行政書士試験の合格基準は、毎年度、一般財団法人行政書士試験研究センターから公表されます。例年示される基準は次の3つをすべて満たすことです。
- 法令等科目の得点が、当該科目の満点の50%以上(244点満点中122点以上)
- 一般知識等(基礎知識)科目の得点が、当該科目の満点の40%以上(56点満点中24点以上)
- 試験全体の得点が、満点の60%以上(300点満点中180点以上)
このうち②が、いわゆる「足切り」です。重要なのは、①と③をクリアしていても②を満たさなければ不合格になるという点です。逆に、②さえ確保できていれば、あとは法令科目で勝負できます。合格基準は補正措置(難易度調整)がとられる年もありますが、足切りの「40%=6問」というラインは安定して維持されています。この「40%=24点=6問」という数字は、正誤問題で頻出の引っかけポイントです。「50%」「8問」などと混同しないよう、正確に記憶しましょう。
合格者の一般知識等の得点分布
合格者の一般知識等科目の得点は、6〜9問正解(24〜36点)に集中しています。10問以上正解している合格者は少数派であり、一般知識等で高得点を目指す必要はありません。7〜8問正解(28〜32点)を安定して取れるようになれば、足切りの心配なく法令科目の学習に集中できます。
逆に言えば、本試験の現場では「一般知識で確実に6問を超えた」という安心感が、残りの法令科目を冷静に解く土台になります。試験戦略上は、安定分野を先に解いて基準点超えの感触を得てから、政治・経済・社会の難問に取り組むという解答順序も有効です。
行政書士試験の合格基準は、法令等科目で50%以上、基礎知識(一般知識等)科目で40%以上、試験全体で60%以上の得点をいずれも満たすことである。○か×か。
行政書士試験の時事問題対策|どこから出るか・勉強法
「行政書士 時事問題 対策」と検索する受験生が最初に知りたいのは、(1)時事問題はどこから出るのか、(2)どう勉強すれば効率的か、の2点でしょう。ここで全体像を整理します。
時事問題はどこから出るか(出題源)
行政書士試験の時事問題は、政治・経済・社会(基礎知識科目の柱の一つ)の7問程度の中に紛れ込む形で出題されます。独立した「時事問題」という枠があるわけではなく、政治制度・経済政策・社会問題の設問が、その時々の話題(ニュース)と結びついて作られる、と理解するのが正確です。具体的な出題源は次の3つに集約されます。
- 直近1〜2年の行政組織の新設・改編(例:デジタル庁、こども家庭庁)
- 直近の重要な法改正・新法(例:個人情報保護法の改正、フリーランス保護法、働き方改革関連法)
- 継続的に注目される制度・政策テーマ(例:選挙制度、金融政策・新NISA、少子高齢化、SDGs、国際情勢)
芸能・スポーツ・個別の事件事故は出題されません。「ニュースそのもの」よりも、「ニュースの背景にある制度・用語」が問われる点が最大の特徴です(詳しくは後述の「時事の出題されやすい角度」参照)。
時事問題の勉強法(最短ルート)
時事対策は「深入りしない」のが鉄則です。次の3ステップが最も費用対効果に優れます。
- 毎日5〜10分:新聞の一面・社説、またはニュースアプリで政治・経済・社会のトップ項目に目を通す
- 月1回30分:予備校の時事対策テキストや白書の概要で、重要トピックを「制度・用語・施行年月」の単位で整理する
- 直前期(試験2〜3か月前):時事テキストを1冊に絞り、行政組織の新設・法改正を施行年月とセットで2〜3周する
時事に費やす時間は週30分〜1時間で十分です。残りの時間は配点の大きい法令科目(行政法・民法)に回すのが合格への近道です。
2026年の注目ニュース・時事テーマ(要点整理表)
2026年6月時点で、行政書士試験の時事問題として狙われやすい「制度的に確立した」テーマを整理します。下表は不確実な未来予測ではなく、すでに施行・制度化され、出題ポイントが固まっているものに絞っています。各テーマの詳細は本記事の後続セクションで解説します。
「ニュース 2026」を意識して最新性ばかりを追うより、上表のように「制度・用語・年月」を確実に押さえるほうが、行政書士試験では確実に得点につながります。
2026年に出題が予想される政治分野のトピック
デジタル庁の施策とデジタル社会の推進
デジタル庁は2021年9月に発足した比較的新しい行政機関であり、試験でも継続的に注目されるトピックです。デジタル社会形成基本法に基づき、行政のデジタル化を推進する司令塔としての役割を担っています。
2026年試験で問われる可能性があるポイントは以下のとおりです。
マイナンバーカードの普及と利活用:マイナンバーカードの健康保険証としての利用(マイナ保険証)が進んでいます。従来の紙の健康保険証は2024年12月に新規発行が終了し、マイナ保険証への移行が進められています。マイナンバー制度とマイナンバーカードの機能の区別を理解しておきましょう。
デジタル社会形成基本法の内容:デジタル社会の形成に関する基本理念、国・地方公共団体の責務、デジタル庁の設置根拠等が定められています。同法の基本理念として「全ての国民が情報通信技術の恵沢を享受できる社会の実現」が掲げられている点を押さえましょう。
デジタル庁の組織上の特徴(出題ポイント)
デジタル庁は内閣に置かれる機関であり、その長は内閣総理大臣です。実務を統括するためにデジタル大臣が置かれ、さらに事務方トップとしてデジタル監が置かれているのが組織上の特徴です。各府省庁の縦割りを排して横断的に施策を進めるため、勧告権など他省庁に対する強い権限が与えられている点が、従来の行政組織と異なるポイントとして問われ得ます。
マイナンバー(個人番号)とマイナンバーカードの違いも頻出です。マイナンバーは番号利用法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)に基づき、社会保障・税・災害対策の3分野に利用範囲が法定されている12桁の番号です。一方マイナンバーカードは、その番号を券面に記載しつつ、ICチップに電子証明書(公的個人認証)を格納した物理的なカードであり、本人確認やオンライン申請の手段として機能します。「番号そのもの」と「カード」を混同させる選択肢に注意しましょう。
こども家庭庁と少子化対策
こども家庭庁は2023年4月に内閣府の外局として設置された行政機関です。こども政策の司令塔として、少子化対策、子育て支援、児童虐待防止等を担当しています。
2024年に「こども未来戦略」に基づく子育て支援の拡充策が打ち出されており、児童手当の拡充(所得制限の撤廃、支給対象の高校生年代への拡大、第3子以降の増額)などが実施されています。行政組織の改編(省庁の新設)に関する出題は時事問題の定番です。
行政組織新設の「定番出題」を表で整理
近年新設された行政機関は、設置時期・設置形態・所管がセットで問われます。横断的に覚えておくと取りこぼしを防げます。
このうち「デジタル庁=内閣に直接設置」「こども家庭庁=内閣府の外局」という設置形態の違いは、引っかけとして狙われやすいポイントです。なお、教育行政(学校教育)は文部科学省に残っており、こども家庭庁に一元化されたわけではない点も誤解されやすいので押さえておきましょう。
安全保障政策の変化
日本の安全保障政策は近年大きな転換を迎えています。2022年12月に改定された国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画(安保3文書)により、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有が明記されました。
防衛費のGDP比2%への増額方針や、経済安全保障推進法(2022年成立)に基づくサプライチェーンの強靱化、基幹インフラの安全性確保なども出題の可能性があります。
経済安全保障推進法の4つの柱(重要物資のサプライチェーン強靱化、基幹インフラの安全性・信頼性確保、先端的な重要技術の官民協力、特許出願の非公開)は、用語レベルで整理しておくと、経済安全保障をテーマにした設問に対応しやすくなります。
【頻出】小選挙区制をわかりやすく解説
政治分野では、選挙制度の基礎知識が最も安定して問われます。中でも「小選挙区制」は行政書士試験の一般知識(基礎知識)で頻出のテーマです。なぜ頻出かというと、(1)制度がほぼ変わらず出題側が問題を作りやすい、(2)憲法(選挙権・一票の格差)とも横断的に絡められる、(3)メリット・デメリットや他制度との比較という「正誤を作りやすい論点」が豊富だからです。ここで行政書士一般知識レベルに必要な範囲を正確に整理します。
小選挙区制とは(基本の仕組み)
小選挙区制とは、1つの選挙区から1人の代表(当選者)を選ぶ制度です。最も多くの票を得た候補者1人だけが当選し、それ以外の票は議席に結びつきません。これに対し、1つの選挙区から複数人を選ぶのが大選挙区制、政党の得票率に応じて議席を配分するのが比例代表制です。
衆議院は「小選挙区比例代表並立制」
現在の衆議院議員選挙は、小選挙区比例代表並立制を採用しています。これは、小選挙区制と比例代表制を組み合わせ、別々に投票・集計する仕組みです(並立制)。有権者は、小選挙区では候補者名を、比例代表ブロックでは政党名を書く2票制で投票します。衆議院の比例代表は政党名のみで投票し、政党があらかじめ届け出た名簿の順位どおりに当選が決まる拘束名簿式である点が重要です。
なお、小選挙区と比例代表の両方に重複して立候補できる「重複立候補」が認められ、小選挙区で落選しても比例で復活当選できる仕組みや、惜敗率(小選挙区での得票が当選者にどれだけ迫ったかの割合)で復活順位が決まる点も、衆議院特有の出題ポイントです。
参議院は、都道府県等を単位とする選挙区制と、全国を1単位とする比例代表制を組み合わせています。参議院の比例代表は、候補者名でも政党名でも投票でき、原則として個人の得票順に当選する非拘束名簿式(特定枠を除く)であり、衆議院の拘束名簿式と対比させて問われます。
小選挙区制のメリット・デメリット
小選挙区制は長所と短所がはっきりしており、メリット・デメリットの対比は典型的な出題ポイントです。
小選挙区制のメリットは、政権が安定しやすく、有権者と候補者の関係が密になりやすい点です。デメリットは、当選者以外に投じられた票(死票)が多くなり、少数意見が議席に反映されにくい点です。「小選挙区制は死票が少ない」「比例代表制は二大政党制を促す」といった逆の記述は典型的な誤りなので注意しましょう。
一票の格差と最高裁判決
小選挙区制とセットで頻出なのが「一票の格差(議員定数不均衡)」です。これは、選挙区ごとの議員1人あたりの有権者数に差があり、人口の少ない選挙区の一票が重く、多い選挙区の一票が軽くなる問題で、憲法14条の法の下の平等・投票価値の平等に反しないかが争われてきました。
最高裁は、格差が一定限度を超えた状態を「違憲状態」と判断しつつも、是正に必要な合理的期間内であったか等を考慮し、選挙自体は無効とせず有効とする判断(事情判決の法理を援用)を繰り返してきました。「最高裁が選挙を無効とした」と断定する選択肢は誤りです。投票価値の平等は政治分野と憲法の両面から問われるため、横断的に押さえておくと有利です。
2026年に出題が予想される経済・社会分野のトピック
インフレ・金融政策と新NISA
日本経済は長年のデフレから転換し、物価上昇(インフレ)局面を迎えています。日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、金融政策の正常化に踏み出しました。
金融政策の基礎知識:金融緩和(利下げ・量的緩和)と金融引き締め(利上げ)の仕組み、日本銀行の独立性(日本銀行法)、イールドカーブ・コントロール(YCC)等の基本概念は押さえておきましょう。
新NISA制度:2024年1月にスタートした新NISA(少額投資非課税制度)は、つみたて投資枠(年120万円)と成長投資枠(年240万円)の2つの枠を併用でき、非課税保有限度額は1,800万円です。投資期間の無期限化が大きな変更点であり、「貯蓄から投資へ」の政策の一環として出題される可能性があります。
金融政策の用語を整理する
金融政策は、用語の方向性を取り違えると正答できません。基本の対応関係を表で確認しましょう。
日本銀行の3つの金融政策手段(公開市場操作=オペレーション、預金準備率操作、基準割引率・基準貸付利率の操作)のうち、現在の中心は公開市場操作です。また、物価の番人である日銀の「独立性」と、政府との連携(共同声明・物価安定目標2%)の関係は、経済分野で問われやすい論点です。
働き方改革と2024年問題
働き方改革関連法に基づく施策が段階的に施行されています。2024年4月からは、建設業・自動車運転業務・医師に対する時間外労働の上限規制が適用開始となりました(いわゆる2024年問題)。
2024年問題の影響:特に物流業界(トラックドライバー)と建設業界への影響が大きく、人手不足の深刻化やサービスの見直しが社会的な課題となっています。物流の効率化(中継輸送、モーダルシフト等)や建設業の生産性向上(ICT施工等)の取り組みが進められています。
時間外労働の上限規制の基本(原則として月45時間・年360時間、臨時的な特別の事情がある場合でも年720時間以内等)は、働き方改革の中核として押さえておきましょう。
少子高齢化とSDGs
少子高齢化は日本社会の最大の構造的課題であり、試験でも繰り返し出題されるテーマです。
人口動態:日本の合計特殊出生率は低下傾向にあり、少子化対策が重要な政策課題となっています。高齢化率(65歳以上人口の割合)は約29%に達しており、社会保障制度の持続可能性が問われています。
SDGs(持続可能な開発目標):2015年の国連サミットで採択されたSDGsは、2030年を期限とする17のゴールと169のターゲットから成ります。日本政府も「SDGsアクションプラン」を策定し、各種施策を推進しています。試験では、SDGsの基本的な枠組み(採択年、ゴール数、期限等)が問われることがあります。
人口・社会保障で押さえる数値感覚
社会分野では「おおよその数値」を問う設問が出ます。細かい暗記は不要ですが、桁感覚はつかんでおきましょう。日本の総人口は減少局面に入って久しく、高齢化率は約29%(世界最高水準)です。一方、合計特殊出生率は1.2前後の低水準が続いており、人口を維持するのに必要とされる水準(人口置換水準、約2.07とされる)を大きく下回っています。これらは「上昇/下降の方向」と「世界比較での位置づけ」を取り違えさせる選択肢が定番です。
社会保障制度では、年金・医療・介護の3本柱と、その財源(保険料+公費+自己負担)の関係、現役世代が高齢者を支える「世代間扶養(賦課方式)」の考え方を押さえておくと、社会保障をテーマにした設問に対応しやすくなります。
行政書士試験の一般知識等科目で足切りを回避するには、14問中8問以上(32点以上)の正解が必要である。○か×か。
2026年に出題が予想される国際・法改正のトピック
国際情勢の重要トピック
国際関係に関する出題は毎年1〜2問あり、直近の重大な国際問題が問われる傾向があります。
ロシア・ウクライナ情勢:2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻は、国際秩序に大きな影響を与えました。国連安全保障理事会の機能不全(常任理事国の拒否権問題)、国連総会の決議、経済制裁の枠組みなど、国際法の基礎知識と絡めた出題が考えられます。
米中関係と経済安全保障:米中間の技術覇権競争、半導体規制、経済的なデカップリング(切り離し)の動きは、経済安全保障の文脈で出題される可能性があります。
気候変動対策:パリ協定に基づく温室効果ガスの削減目標、カーボンニュートラル(2050年までの温室効果ガス排出実質ゼロ)、COP(国連気候変動枠組条約締約国会議)の動向が出題されることがあります。日本は2050年カーボンニュートラルを宣言しており、GX(グリーントランスフォーメーション)推進法なども関連するトピックです。
国際機関の基礎を整理する
国際分野では、国連の主要機関や国際的な枠組みの基本構成が問われます。国連安全保障理事会は常任理事国5か国(米・英・仏・露・中)と非常任理事国10か国から成り、常任理事国は拒否権を持ちます。これに対し国連総会は全加盟国が1国1票で参加し、決議に法的拘束力は原則としてない点が対比のポイントです。パリ協定は京都議定書の後継として、先進国だけでなく途上国を含む全ての締約国が削減目標を掲げる枠組みである点(京都議定書との違い)が頻出です。
個人情報保護法の改正動向
個人情報保護法は3年ごとに見直しが行われることが法律に明記されており(個人情報保護法の附則参照)、継続的に改正が行われています。
2022年4月施行の改正では、個人の権利の強化(利用停止・消去請求権の拡大、開示のデジタル化)、事業者の義務の強化(漏えい等報告の義務化、不適正利用の禁止)、ペナルティの強化(罰金の引上げ)などが行われました。
また、2023年4月には個人情報保護法が統一化され、国の行政機関・独立行政法人・地方公共団体に適用されていた別々の法律が、改正個人情報保護法に一元化されました。この一元化は試験で問われやすいポイントです。
個人情報保護法の出題は条文ベースで対策可能であり、安定した得点源にすべき分野です。主要な条文(定義規定、個人情報取扱事業者の義務、要配慮個人情報、仮名加工情報、匿名加工情報等)を丁寧に学習しましょう。
個人情報保護法の「一元化」の構造を理解する
2023年4月施行の一元化以前は、民間事業者には個人情報保護法、国の行政機関には行政機関個人情報保護法、独立行政法人には独立行政法人等個人情報保護法、地方公共団体には各自治体の個人情報保護条例という、いわゆる「2000個問題」と呼ばれる規律の乱立がありました。これらが1本の個人情報保護法に統合され、監督機関も個人情報保護委員会に一元化されたのが今回の大きな構造変化です。
ただし注意点として、地方公共団体に関する規律は法律に統合されたものの、条例で独自の保護措置を定める余地が完全になくなったわけではない点、また民間部門と公的部門で義務規定の建付けが完全に同一ではない点に留意しましょう。「全ての規律が一字一句同じになった」とする選択肢は誤りです。
その他の法改正トピック
改正民法(嫡出推定):2024年4月施行の民法改正により、嫡出推定の規定が見直されました。再婚禁止期間(旧733条)が廃止され、嫡出推定の規定が合理化されています。
フリーランス保護法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律):2024年11月施行。フリーランスの取引条件の明確化や報酬の支払い遅延の禁止等を定めた法律です。
法改正トピックを表で総ざらい
時事と法令の境界にある「最近の法改正」は、施行時期とセットで問われます。直近のものを一覧で確認しておきましょう。
施行年月は引っかけの定番です。「2024年4月施行を2023年と問う」など、年のずれを狙った選択肢に注意してください。
安定得点源の強化戦略
個人情報保護法で2〜3問確保する
個人情報保護法は、条文の知識で対応できる問題が多く、最も安定した得点源です。以下のテーマを優先的に学習しましょう。
定義規定の正確な理解:個人情報(2条1項)、個人識別符号(2条2項)、要配慮個人情報(2条3項)、仮名加工情報(2条5項)、匿名加工情報(2条6項)、個人関連情報(2条7項)の各定義を正確に区別できるようにしましょう。
個人情報取扱事業者の義務:利用目的の特定(17条)、利用目的による制限(18条)、不適正な利用の禁止(19条)、適正な取得(20条)、取得に際しての利用目的の通知等(21条)、安全管理措置(23条)、第三者提供の制限(27条)などの義務規定を整理しましょう。
個人情報保護委員会の役割:個人情報の保護に関する基本方針の策定、監視・監督権限、報告・立入検査権限等を押さえておきましょう。
紛らわしい「加工情報」3種を比較する
個人情報保護法で最も誤答が多いのが、仮名加工情報・匿名加工情報・個人関連情報の区別です。横並びで整理しておきましょう。
「仮名加工情報は第三者提供できる」「匿名加工情報は復元できる」といった選択肢は典型的な誤りです。加工の程度(識別可能性・復元可能性)と提供の可否をセットで覚えるのが攻略の鍵です。
要配慮個人情報(人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実等)は、取得に際して原則として本人の同意が必要であり、オプトアウトによる第三者提供が認められない点も頻出ポイントです。
文章理解で2〜3問確保する
文章理解は、出題形式が安定しており、テクニックを身につければ確実に得点できる分野です。3問出題されるうち2〜3問を正解することを目標にしましょう。
並べ替え問題:バラバラにされた文を正しい順序に並べ替える問題です。接続詞(「しかし」「また」「したがって」)や指示語(「この」「それ」「そのような」)に注目して、文の前後関係を判断しましょう。最初の文と最後の文を特定するのがコツです。
空欄補充問題:文章中の空欄に適切な語句や文を入れる問題です。空欄の前後の文脈を丁寧に読み、論理的なつながりを考えて選択肢を絞りましょう。
要旨把握問題:文章の主旨に合致する選択肢を選ぶ問題です。筆者の主張(結論)を正確に把握し、具体例や補足説明に惑わされないことが重要です。
文章理解の対策としては、過去問を10問以上解いて出題パターンに慣れることが最も効果的です。公務員試験の文章理解の問題も練習に使えます。
文章理解は「最後に解く」のが鉄則
文章理解は1問あたりの所要時間が長く、本試験で時間切れに陥りやすい分野です。確実に得点できる分野だからこそ、解答順序の工夫が効きます。おすすめは、試験開始直後ではなく、法令科目の択一を終えた後など、ある程度落ち着いた段階でまとめて処理することです。並べ替え問題では「絶対に隣り合うペア」「絶対に先頭・末尾に来る文」をまず確定させ、選択肢を消去法で絞ると速く正確に解けます。
IT・情報通信で1〜2問確保する
IT・情報通信分野は、基本用語の暗記で対応可能な問題が多い分野です。個人情報保護法と合わせて4問程度出題されるうち、1〜2問の正解を目指しましょう。
押さえておくべきIT用語:AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、ブロックチェーン、5G、DX(デジタルトランスフォーメーション)、サイバーセキュリティ、フィッシング、ランサムウェア等。
情報通信に関する法律:電子署名法、プロバイダ責任制限法、不正アクセス禁止法、特定電子メール法等の基本的な内容を押さえておきましょう。
なお、プロバイダ責任制限法は2024年に「情報流通プラットフォーム対処法」へと改称・拡充され、大規模プラットフォーム事業者に対する削除申出への対応の迅速化・透明化などが新たに定められた点が出題され得ます。法律名の改称は時事的な論点として狙われやすいので、新旧の名称を結びつけて覚えておきましょう。
生成AIをめぐる動向も要チェック
生成AIの普及を背景に、AIの開発・利用のルール整備が国内外で進んでいます。日本でも2025年にAIの研究開発・活用の推進に関する法律(いわゆるAI推進法)が成立し、国の責務やAI戦略本部の設置などが定められたとされます。EUのAI規制(リスクベースのアプローチ)と対比して、日本は事業者の自主性を重視するイノベーション志向の枠組みである点が、情報通信分野の時事として問われる可能性があります。
一般知識等科目の足切り回避のために最も効率的な戦略は、時事問題を徹底的に学習することである。○か×か。
個人情報保護法上、匿名加工情報は特定の個人を識別できず復元もできないよう加工された情報であるのに対し、仮名加工情報は他の情報と照合しない限り特定の個人を識別できないように加工された情報である。○か×か。
時事対策の効率的な方法
ニュースの見方
時事問題の対策として、日々のニュースをチェックすることは有効ですが、全てのニュースを追う必要はありません。行政書士試験で出題される時事問題は、政治制度、経済政策、社会問題に関連するものが中心であり、芸能・スポーツ・事件事故のニュースは出題されません。
効率的なニュースチェックの方法は以下のとおりです。
新聞の一面と社説を読む:新聞(紙面またはデジタル版)の一面記事は、その時期の最も重要なニュースが掲載されています。社説はニュースの背景や意義を解説しているため、理解を深めるのに役立ちます。毎日15分程度の時間を確保すれば十分です。
ニュースアプリの活用:NHKニュースやYahoo!ニュースなどのアプリで、政治・経済・社会のカテゴリのトップニュースを毎日チェックしましょう。通勤時間や休憩時間を活用すれば、学習時間を圧迫しません。
月刊誌の活用:新聞の代わりに「時事問題対策のまとめ本」を利用する方法もあります。予備校が出版する時事問題対策テキストは、試験に出題されそうなトピックを厳選して解説しているため、効率的に情報を収集できます。
白書の活用
政府が毎年発行する各種白書は、時事問題の出題元となることがあります。全文を読む必要はありませんが、概要版やダイジェスト版に目を通しておくと得点につながる可能性があります。
確認すべき白書:経済財政白書、情報通信白書(総務省)、少子化社会対策白書、高齢社会白書、環境白書等。各白書の「はじめに」と「概要」のみ読めば十分です。
時事の「出題されやすい角度」を知る
過去の出題傾向を踏まえると、時事問題は「最新ニュースそのもの」よりも、「ニュースの背景にある制度・基本知識」を問う形で出題されることが多いのが実情です。たとえば、新NISAが話題であれば「NISAの非課税の仕組みや投資枠」が、こども家庭庁が話題であれば「行政組織の設置形態」が問われます。したがって、時事を追うときは「このニュースの背景にある制度は何か」「関連する法律・用語は何か」を一段掘り下げる姿勢が得点に直結します。
逆に、ある特定の事件の発生日や、政治家の個人名、企業の業績数値といった「鮮度の高い細部」が直接問われることはまれです。細かい固有名詞の暗記よりも、制度の枠組みと用語の正確な理解に時間を割きましょう。
深入りしない姿勢が重要
時事問題対策で最も重要なのは、深入りしないことです。一般知識等科目は56点満点のうち24点を取れば足切りをクリアでき、法令科目で高得点を取るための時間を確保することのほうが合格に直結します。
時事対策に費やす時間の目安は、週に30分〜1時間程度です。毎日ニュースをチェックすること(5〜10分)と、月に1回程度まとめ記事や白書の概要を確認すること(30分程度)を習慣化すれば十分です。
法令科目の学習時間を削ってまで時事対策に時間をかけることは避けましょう。一般知識等で5割〜6割の正答率(7〜8問正解)を安定して取れる状態を目指し、それ以上の高得点は求めないのが合格への最適戦略です。
直前期(試験2〜3か月前)のチェックリスト
直前期にやるべきことを絞り込んでおくと、焦らずに時事対策を仕上げられます。
- 予備校等の時事対策テキストを1冊に絞り、重要トピックを2〜3周する
- 直近1年の行政組織の新設・法改正を、施行年月とセットで暗記する
- 新NISA・金融政策・働き方改革など定番の経済社会トピックの「数値と仕組み」を確認する
- 個人情報保護法の改正点と、仮名加工情報・匿名加工情報・個人関連情報の区別を最終チェックする
- 文章理解は週に数問ずつ解き、解くスピードと精度を維持する
時事に「これだけは」を絞り込むことで、限られた直前期の時間を法令科目に振り向けられます。
まとめ
本記事では、2026年の行政書士試験における一般知識等科目(基礎知識科目)の時事問題対策と足切り回避戦略を解説しました。要点を3つにまとめます。
- 足切りラインは14問中6問(24点・40%)、安定得点源で5〜6問確保が基本戦略:個人情報保護法(2〜3問)+文章理解(2〜3問)+IT用語(1〜2問)で安定得点源を固め、時事問題で1〜2問を上乗せする
- 2026年の時事トピックは絞って学習する:デジタル庁・こども家庭庁などの行政組織、新NISA・働き方改革などの経済政策、個人情報保護法の改正動向に絞り、「ニュースの背景にある制度・用語」を一段掘り下げて効率的に対策する
- 深入りせず、法令科目の学習時間を確保することが合格への近道:時事対策に週30分〜1時間程度を充て、一般知識等は5割〜6割の正答率で十分と割り切り、残りの時間は行政法・民法の学習に投資する
一般知識等科目(基礎知識科目)は「足切りをクリアすればよい」と割り切ることが、合格への最短ルートです。安定得点源の強化を最優先にして、自信を持って試験に臨みましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. 行政書士試験の時事問題はどこから出ますか?
時事問題は、基礎知識科目(旧・一般知識等)の「政治・経済・社会」7問程度の中に組み込まれて出題されます。独立した時事の枠はなく、主な出題源は、(1)直近1〜2年の行政組織の新設・改編(デジタル庁・こども家庭庁など)、(2)直近の法改正・新法(個人情報保護法の改正、フリーランス保護法など)、(3)継続的に注目される制度・政策(選挙制度、金融政策・新NISA、少子高齢化、SDGs、国際情勢)です。芸能・スポーツ・個別の事件事故は出ません。「ニュースそのもの」よりも「ニュースの背景にある制度・用語」が問われるのが特徴です。
Q2. 小選挙区制の特徴は何ですか?
小選挙区制は、1つの選挙区から1人(最多得票者)だけを選ぶ制度です。特徴として、二大政党制になりやすく政権が安定しやすい一方、当選者以外に投じられた死票が多くなり少数意見が反映されにくい、という長所・短所があります。衆議院は小選挙区制と比例代表制を組み合わせた「小選挙区比例代表並立制」(衆議院の比例は拘束名簿式)を採用し、重複立候補・比例復活も認められています。一票の格差をめぐっては、最高裁が「違憲状態」と判断しつつ選挙自体は有効としてきた点も頻出です。
Q3. 一般知識等科目で足切りに遭う受験生はどのくらいいますか?
正確な統計は公表されていませんが、受験生全体の10〜15%程度が一般知識等科目の足切りに遭っていると推測されています。法令科目で合格ラインに達していても、一般知識等で6問に届かず不合格になるケースは決して珍しくありません。足切りを「他人事」と思わず、計画的に対策することが重要です。
Q4. 時事問題対策はいつから始めるべきですか?
試験の半年前(5月頃)から本格的に始めるのが適切です。時事問題は直近のニュースから出題されるため、早すぎる時期に対策しても情報が古くなってしまいます。ただし、日常的にニュースをチェックする習慣は学習開始当初から身につけておくとよいでしょう。試験直前の2〜3か月前には、予備校の時事対策テキストで重要トピックを総復習しましょう。
Q5. 個人情報保護法はどの範囲まで学習すべきですか?
個人情報保護法は全180条以上の大きな法律ですが、試験で問われるのは主に総則部分(定義規定)と個人情報取扱事業者の義務に関する規定です。具体的には、1条〜3条(目的・定義)、17条〜26条(個人情報取扱事業者の義務の基本規定)、27条〜30条(第三者提供の制限)、2条5項〜7項(仮名加工情報・匿名加工情報・個人関連情報の定義)を重点的に学習しましょう。条文の素読が最も効果的な学習法です。
Q6. 文章理解の対策に使える問題集はありますか?
行政書士試験の過去問に加えて、国家公務員一般職試験や地方上級試験の文章理解の問題を練習に使うことをおすすめします。出題形式(並べ替え・空欄補充・要旨把握)が共通しており、問題数も豊富です。「公務員試験 文章理解」で検索すると多くの問題集が見つかります。20〜30問解けば出題パターンに十分慣れることができます。
Q7. 一般知識等科目で高得点(10問以上正解)を目指すべきですか?
基本的には目指す必要はありません。一般知識等で10問正解(40点)を取るための学習時間を、行政法や民法の学習に充てたほうが、合格可能性は高まります。一般知識等は7〜8問正解(28〜32点)を安定して取れる状態を目標にし、それ以上の得点は「取れたらラッキー」程度に考えましょう。ただし、法令科目にすでに十分な自信がある場合は、一般知識等での上積みを狙う戦略もあり得ます。
Q8. 科目名が「基礎知識」に変わって、対策は変える必要がありますか?
基本的な対策方針を変える必要はありません。2024年度から「行政書士の業務に関し必要な基礎知識」へと名称が変わり、出題範囲に「行政書士法等」が加わりましたが、政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解という従来の柱と、足切りの仕組みは維持されています。余裕があれば、新設された「行政書士法等」の分野として行政書士法の総則(業務範囲・登録・義務)に目を通しておくと、1問の上乗せが期待できます。