1この憲法は、公布の日から起算して六箇月を経過した日から、これを施行する。
2この憲法を施行するために必要な法律の制定、参議院議員の選挙及び国会召集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「誤り」。引用判決の趣旨と適合しないのはこの肢であり、これが本問の正解です。
本肢は、学問の自由が広くすべての国民に保障されることを根拠に、研究費の配分にあたって大学の研究者を優遇することは許されない、と述べます。しかし引用文は、この結論と正面から衝突する内容を含んでいます。
東大ポポロ事件(最大判昭和38年5月22日)の引用部分は、憲法23条が「一面において、広くすべての国民に対してそれらの自由を保障するとともに、他面において、大学が学術の中心として深く真理を探究することを本質とすることにかんがみて、特に大学におけるそれらの自由を保障することを趣旨としたもの」であると述べています。すなわち、国民一般への保障と、大学への特別の保障とを両立させているのです。そして末尾では「大学における自由は、右のような大学の本質に基づいて、一般の場合よりもある程度で広く認められると解される」と明言しています。判決は、大学を一般国民と同列に扱うのではなく、むしろ大学の特別扱いを積極的に認めているのです。
したがって、「すべての国民に保障されるから大学の研究者を優遇できない」という本肢の論理は、引用文が採用する二面的な保障構造を無視するものであり、判決の趣旨と適合しません。研究費の配分という限られた資源の分配において、学術の中心である大学の研究者に重点を置くことは、大学における学問の自由を特に保障するという23条の趣旨にむしろ沿うものと評価できます。
さらに理由を補うと、本肢の論法は、平等原則(憲法14条1項)の理解としても粗雑です。14条1項の平等は絶対的・機械的な均等取扱いを求めるものではなく、合理的な区別は許容されるというのが判例の一貫した立場です。学術研究の中心的な担い手に研究資源を配分することには合理的な根拠がありますから、これを一律に禁じる理由はありません。
ひっかけポイントは、本肢の前半部分「学問の自由は、広くすべての国民に対して保障される」が引用文にそのまま書かれている点です。前半が判決文の引き写しであるため正しく見えてしまいますが、そこから導かれる後半の結論が判決の後段部分と矛盾します。判決文型の問題では、肢の前半と後半をそれぞれ判決文のどの部分に対応させられるかを確認し、対応しない部分・矛盾する部分を探すのが定石です。
結論:この肢は「正しい」。設問は「文章の趣旨と適合しないもの」を選ばせるものですから、判決の趣旨に適合する本肢は正解になりません。
東大ポポロ事件(最大判昭和38年5月22日)は、大学の自治について、とくに教授その他の研究者の人事に関して認められることを述べたうえで、大学の施設と学生の管理についてもある程度で認められ、これらについてある程度で大学に自主的な秩序維持の権能が認められていると判示しました。本肢はこの部分をそのまま述べたものです。
理由づけとしては、大学が学術の中心として自由な研究・教育を行うためには、人事の自主性だけでなく、研究教育の場である施設と、そこで活動する学生の管理についても、外部からの干渉を受けずに大学自身が判断できる必要がある、という点が挙げられます。とりわけ警察権力が大学構内に自由に立ち入れるとすれば、研究者や学生は監視されているとの萎縮効果を受け、自由な学問活動が損なわれます。そこで大学に自主的な秩序維持の権能を認め、原則として大学の判断を尊重すべきものとされるわけです。
もっとも判決は、この自治を無条件のものとは考えていません。判決は続けて、本件の集会が真に学問的な研究またはその結果の発表のためのものではなく、実社会の政治的社会的活動に当たる行為をするものであり、かつ公開の集会またはこれに準ずるものであった以上、大学の有する学問の自由と自治を享有しないとして、警察官の立入りをもって大学の学問の自由と自治を侵害するものではないと結論づけました。つまり、施設管理の自治は「ある程度で」認められるにとどまり、大学構内であれば常に警察権が排除されるわけではありません。
ひっかけポイントは、この「ある程度で」という限定語です。本肢もこれを正しく含んでいるため、判決の趣旨に適合します。もし「大学の施設内には警察権が一切及ばない」と書かれていれば、判決の趣旨に適合しない記述になります。判決文型の問題では、こうした程度を示す表現の有無が正誤を分けます。関連知識として、大学の自治の内容は一般に、教員人事の自治、施設・学生の管理の自治、研究教育内容の自治、財政(予算管理)の自治に整理されますが、判例が正面から認めたのは前二者であり、財政自治までは明示していない点も押さえておきましょう。