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行政書士 記述式対策の完全ガイド|40字の書き方

行政書士試験の記述式(40字記述)の対策方法を完全解説。行政法1問・民法2問の出題形式、配点60点の重要性、キーワードの見つけ方、部分点の取り方、具体的な解答例まで網羅した記述式攻略ガイドです。

はじめに|記述式60点が合否を分ける

行政書士試験の記述式は、300点満点中60点を占める重要なパートです。択一式だけで180点の合格ラインに到達するのは至難の業であり、多くの合格者が記述式で20〜40点を上積みして合格を果たしています。

記述式の問題は全3問で、以下の構成です。

  • 問題44:行政法から1問(20点)
  • 問題45:民法から1問(20点)
  • 問題46:民法から1問(20点)

各問は「40字程度で記述しなさい」という指示のもと、法的知識を正確かつ簡潔にまとめる力が試されます。

本記事では、記述式で安定して得点するための具体的なテクニックと対策法を徹底解説します。

記述式の出題形式を正確に理解する

40字記述とは何か

記述式の解答用紙には、1行あたり40字のマス目が用意されています。「40字程度」とは厳密に40字ぴったりという意味ではなく、35〜45字程度の幅が許容されます。

ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 句読点も1字としてカウントされる
  • 漢字の誤字は減点対象になる
  • 字数が大幅に不足すると得点が下がる(20字以下は実質0点に近い)
  • 解答欄をはみ出して書くことはできない

出題パターン

記述式の問題文には大きく分けて2つのパターンがあります。

パターンA:「どのような○○をすべきか」型
例:「Xは、誰を被告として、どのような訴訟を提起すべきか。40字程度で記述しなさい。」

パターンB:「○○の要件を示して説明せよ」型
例:「Aは、Bに対してどのような請求をすることができるか。その根拠とともに40字程度で記述しなさい。」

いずれのパターンでも、問われている内容を正確に把握し、必要な法的要素を漏れなく記述することが重要です。

配点と部分点の仕組み

各問20点満点ですが、採点は部分点方式です。一般的に、以下のような配点がなされていると推測されています(公式な採点基準は非公開)。

  • キーワード(法律用語・要件)1つにつき4〜8点
  • 1問あたり2〜4個のキーワードが配点対象
  • 文章全体の論理的整合性にも配点がある

つまり、完璧な解答が書けなくても、キーワードを1つでも入れれば部分点が得られる可能性があります。白紙で出すのは絶対に避けましょう。

キーワードの見つけ方|得点のカギを握る要素

記述式で得点するために最も重要なのは、出題者が求めているキーワードを正確に見抜くことです。

キーワードの種類

  1. 法律用語:取消訴訟、債務不履行、善意無過失など
  2. 条文上の要件:「正当な理由なく」「損害を知った時から」など
  3. 効果・結論:「損害賠償を請求できる」「処分の取消しを求める」など
  4. 当事者・被告:「処分をした行政庁の所属する国又は公共団体」など

キーワードを見つけるための3ステップ

ステップ1:問題文の指示を分解する

問題文が「Xは、Yに対して、どのような請求をすることができるか。根拠とともに述べよ。」であれば、解答に必要な要素は以下の3つです。

  • 誰に対して(相手方)
  • どのような請求か(請求の内容)
  • その根拠(条文・法理)

ステップ2:該当する条文を思い出す

問題文の事実関係から、どの条文が問題になっているかを特定します。例えば、他人の不法行為による損害が問題なら民法709条、行政処分に不服があるなら行政事件訴訟法3条2項(取消訴訟)を思い出します。

ステップ3:条文の要件を解答に組み込む

特定した条文の要件をキーワードとして解答に盛り込みます。

具体例で実践

問題例:BがAの所有する建物を過失により焼損した場合、AはBに対してどのような請求ができるか。根拠とともに40字程度で記述しなさい。

ステップ1:誰に → B、何を → 請求、根拠 → 条文
ステップ2:不法行為 → 民法709条
ステップ3:要件 = 故意又は過失、権利侵害、損害の発生、因果関係

解答例(38字)
「Aは、Bに対し、民法709条に基づき、建物の焼損による損害賠償を請求できる。」

キーワード:「民法709条」「損害賠償」「請求」

40字以内にまとめるテクニック

テクニック1:結論ファーストで書く

「AはBに対し、○○を請求できる。なぜなら〜」ではなく、「AはBに対し、○○に基づき△△を請求できる。」と結論と根拠をコンパクトにまとめます。

40字という制限の中では、理由の説明に字数を使う余裕はありません。結論と根拠を一文で表現するのが基本です。

テクニック2:定型表現を覚える

記述式でよく使う定型表現を暗記しておくと、解答作成がスムーズになります。

行政法の定型表現

  • 「○○を被告として、△△の取消しを求める取消訴訟を提起すべきである。」
  • 「○○は、処分の取消訴訟と併せて、△△の義務付け訴訟を提起すべきである。」
  • 「○○の所属する国又は公共団体を被告として、損害賠償を請求できる。」

民法の定型表現

  • 「○○は、△△に対し、民法○○○条に基づき、損害賠償を請求できる。」
  • 「○○は、△△に対し、契約を解除した上で、原状回復を請求できる。」
  • 「○○は、△△に登記なくして所有権を対抗することができる。」

テクニック3:不要な語句を削る

40字に収めるために、以下の語句は省略可能です。

  • 「すなわち」「つまり」などの接続詞
  • 「この場合」「本件において」などの前置き
  • 主語が明らかな場合の主語(ただし、出題で「誰が」を問われている場合は必須)

テクニック4:字数の調整方法

字数が多すぎる場合

  • 「することができる」→「できる」に短縮
  • 「請求することができる」→「請求できる」
  • 「であるから」→ 削除して句読点に置換

字数が少なすぎる場合

  • 条文番号を追加する(「民法709条に基づき」など)
  • 要件を1つ追加する(「故意又は過失により」など)
  • 具体的な請求内容を書く(「損害賠償」→「建物の修繕に要した費用相当額の損害賠償」)

行政法の記述式|傾向と対策

出題傾向

行政法の記述式(問題44)は、主に以下のテーマから出題されます。

  • 取消訴訟の被告・訴訟要件
  • 義務付け訴訟・差止訴訟の要件
  • 国家賠償法の要件
  • 行政手続法の手続的瑕疵
  • 行政不服審査法の審査請求

行政法の解答例

例題1:Xが、A市長による建築許可の拒否処分に対して取消訴訟を提起する場合、被告は誰か。40字程度で記述しなさい。

解答例(36字)
「Xは、処分をしたA市長の所属するA市を被告として、取消訴訟を提起すべきである。」

行政事件訴訟法第11条第1項
「処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、当該処分又は裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体を被告として提起しなければならない。」

例題2:Xが、行政庁Aに対して許認可の申請をしたが何ら応答がない場合、Xはどのような訴訟を提起できるか。40字程度で記述しなさい。

解答例(39字)
「Xは、Aの所属する国又は公共団体を被告として、申請型義務付け訴訟を提起できる。」

行政事件訴訟法第3条第6項第2号
「行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき」に義務付けの訴えを提起できる。

行政法で落としやすいポイント

  • 被告を間違える:行政庁ではなく行政庁の所属する国又は公共団体が被告
  • 訴訟類型を間違える:義務付け訴訟と差止訴訟の区別、申請型と非申請型の区別
  • 行政事件訴訟法と行政不服審査法を混同する:訴訟と審査請求は別の制度

民法の記述式|傾向と対策

出題傾向

民法の記述式(問題45・46)は、主に以下のテーマから出題されます。

  • 債務不履行に基づく損害賠償請求
  • 不法行為に基づく損害賠償請求
  • 物権変動と対抗要件
  • 代理(無権代理・表見代理)
  • 契約解除と原状回復
  • 抵当権の物上代位
  • 債権譲渡
  • 相続

民法の解答例

例題1:AがBに甲土地を売却したが、BがCに甲土地を転売し移転登記を済ませた後、AがBの債務不履行を理由に売買契約を解除した。AはCに甲土地の返還を請求できるか。40字程度で記述しなさい。

解答例(40字)
「AはCに対し甲土地の返還を請求できない。解除前の第三者Cは登記を備えており保護される。」

民法第545条第1項ただし書
「ただし、第三者の権利を害することはできない。」

判例(最判昭33.6.14)は、解除前の第三者は対抗要件(登記)を備えていれば保護されるとしています。

例題2:Aが代理権を有しないBに甲土地の売却を委任されたと称してCと売買契約を締結した場合、Cはどのような主張ができるか。40字程度で記述しなさい。

解答例(38字)
「Cは、Aに対し相当の期間を定めて追認するかどうかの催告をすることができる。」

民法第114条
「前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。」

民法で落としやすいポイント

  • 条文番号を間違える:特に債務不履行(415条)と不法行為(709条)の混同に注意
  • 当事者の関係を取り違える:問題文の事実関係を図に書いて整理する
  • 善意・悪意、過失の有無を見落とす:第三者保護規定では主観的要件が重要

記述式の学習スケジュール

試験1年前〜半年前:基礎固め期

  • 択一式の学習と並行して、重要条文の要件と効果を正確に覚える
  • 「AがBに対して○○を請求できる」という形式で条文の効果をまとめるノートを作成する
  • この段階では記述式の問題を解く必要はなく、知識のインプットを優先する

試験半年前〜3か月前:実践期

  • 過去問の記述式を解き始める
  • 最初は時間制限なしで丁寧に解答を作成し、模範解答と照らし合わせる
  • キーワードを何個拾えたかをチェックし、自分の弱点テーマを把握する
  • 1日1問ペースで記述式の練習を積む

試験3か月前〜直前:仕上げ期

  • 時間を計って解答する練習(1問5〜7分が目安)
  • 過去10年分の記述式を最低2周回す
  • 予備校の模試で記述式の添削を受ける
  • 頻出テーマの模範解答を暗記する

本番での解答戦略

時間配分

行政書士試験の試験時間は3時間(180分)です。記述式3問に割ける時間は20〜25分程度が目安です。

パート問題数目安時間基礎法学・憲法(択一)7問15分行政法(択一・多肢選択)22問50分民法(択一)9問25分商法(択一)5問10分多肢選択(残り)1問5分記述式3問25分一般知識14問30分見直し──20分

本番で使える5つのルール

  1. 白紙で出さない:キーワードを1つでも書けば部分点の可能性がある
  2. 問題文の指示に正確に答える:「誰を被告として」と聞かれたら被告を書く
  3. 略字・略語は使わない:「取消訴訟」を「取消し」と略さない
  4. 漢字に自信がなければひらがなで書く:誤字は減点対象
  5. 下書きをしてから清書する:問題用紙の余白を使って字数を確認する

確認問題

確認問題

行政書士試験の記述式は、行政法2問・民法1問の合計3問で構成されている。

○ 正しい × 誤り
解説
記述式は行政法1問(問題44)・民法2問(問題45・46)の合計3問です。行政法と民法の問題数を逆に覚えている受験者が多いので注意しましょう。配点は各20点の計60点です。
確認問題

記述式の採点では部分点が認められており、キーワードを1つでも書ければ得点の可能性がある。

○ 正しい × 誤り
解説
記述式の採点は部分点方式で行われます。完璧な解答でなくても、出題者が想定するキーワード(法律用語・要件・効果など)を1つでも正確に記述していれば部分点が得られる可能性があります。白紙で提出するのは絶対に避けましょう。
確認問題

取消訴訟の被告は、処分をした行政庁そのものである。

○ 正しい × 誤り
解説
行政事件訴訟法第11条第1項により、処分をした行政庁が国又は公共団体に所属する場合は、その行政庁の所属する「国又は公共団体」が被告となります。行政庁そのものではありません。記述式で被告を問われた場合、この点を間違えると大きな減点になります。

まとめ

行政書士試験の記述式は、60点という大きな配点を持ち、合否を左右する重要なパートです。

記述式攻略の要点

  • 出題構成:行政法1問・民法2問の計3問(各20点、合計60点)
  • キーワードが命:法律用語・条文の要件・効果を正確に書くことが得点のカギ
  • 40字の技術:結論ファースト、定型表現の暗記、不要語句の削除
  • 部分点を狙う:完璧でなくても、キーワードを1つでも多く書く
  • 白紙は厳禁:何か書けば得点の可能性がある

学習の進め方

  1. 試験1年前〜半年前:条文の要件・効果を正確にインプット
  2. 試験半年前〜3か月前:過去問を使った実践演習(1日1問)
  3. 試験3か月前〜直前:時間を計った演習と模範解答の暗記

記述式は「知識の正確さ」と「表現力」の両方が求められる問題です。日頃から「40字でまとめる」練習を重ね、本番で確実に得点できるようにしましょう。次の記事では、行政法・民法それぞれの頻出パターン10選を具体的な解答例とともに解説します。

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