この法律は、令和六年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 次条並びに附則第三条、第五条及び第三十八条の規定 公布の日
この条文の過去問 8肢
結論:この肢は「正しい」。判決文の中に、ほぼそのままの一文が現れています。
判決は「もちろん、その所管する事務とまったくかけ離れた事項について公表した場合には、それだけで違法の問題が生じることも考えられるが、本件各報告の公表はそのような場合ではない」と述べています。すなわち、非権力的事実行為であっても無制約に許されるわけではなく、所掌事務の範囲という組織法上の枠は守らなければならず、それを完全に逸脱した公表は、作用法上の根拠の有無を論じるまでもなく違法となりうる、という立場です。肢の記述はこの判示と一致します。
理由づけを補うと、法律の留保(作用法上の根拠の要否)と、組織規範による権限配分(所掌事務の範囲)は別次元の問題です。侵害留保説によれば非権力的事実行為に作用法上の根拠は要りませんが、行政機関は各省設置法や個別法によって与えられた所掌事務の範囲内でしか活動できないという組織規範上の制約は、活動の性質を問わず及びます。本判決は、厚生省が公衆衛生行政・食品衛生行政を所管し、食品衛生法1条が「飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与すること」を目的として掲げていることを指摘し、集団下痢症の原因究明報告の作成・公表は所管事務の範囲内であると認定しました。この認定作業自体が、所掌事務の枠が違法性判断の要素であることを前提としています。
ひっかけポイントは、「違法性を帯びることがありうる」という控えめな表現をきちんと読むことです。判決も「違法の問題が生じることも考えられる」と述べるにとどまり、常に違法になると断定してはいません。肢の書きぶりは判決の温度感とも一致しています。なお、公表が所掌事務の範囲内で行われた場合であっても、公表内容が真実でないとき、あるいは真実と信ずるにつき相当の理由がないときは、名誉・信用の侵害として国家賠償法1条1項の違法性が問題となりうる点は、別途押さえておきたい関連知識です。
結論:この肢は「正しい」。判決文が明示している内容そのものです。
判決は「行政機関が私人に関する事実を公表したとしても、それは直接その私人の権利を制限しあるいはその私人に義務を課すものではないから、行政行為には当たらず、いわゆる非権力的事実行為に該当し」と述べています。本件公表は、食中毒の原因究明結果を国民に知らせる情報提供型の公表であって、義務違反者に不利益を課す制裁型の公表ではありません。そのような公表を非権力的事実行為と性質決定した点で、肢の記述は判決と一致します。
理由づけとして、行政行為(処分)とは、行政庁が法令に基づき優越的地位において一方的に国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定する行為をいいます。情報提供型の公表は、それによって直接に権利が制限されたり義務が課されたりするわけではなく、国民が公表内容を知って自ら行動を変えるという事実上の効果をもつにとどまります。だからこそ「非権力的事実行為」に位置づけられ、法律の根拠がなくても直ちに違法にはならないという結論が導かれるのです。
ひっかけポイントは二つあります。第一に、事実行為であっても、即時強制や身体の収容のように相手方の意思を制圧して実力を行使するものは権力的事実行為とされ、行政事件訴訟法上の「処分」に当たりうる点です。事実行為だから常に非権力的というわけではありません。第二に、公表であっても、行政指導に従わない者の氏名等を公表する制裁型の公表は、事実上の不利益が大きく、義務違反に対する制裁として機能するため、法律または条例の根拠を要するという理解が有力である点です。実際、国土利用計画法26条のように公表を明文で定める例もあります。本判決が根拠不要としたのは、あくまで制裁を目的としない情報提供型の公表についてであることを意識して読むと、肢の限定的な言い回しが判決と正確に対応していることが分かります。
結論:この肢は「誤り」。判例は、課税処分について明白性を欠く場合でも無効となりうることを認めています。
最判昭和48年4月26日(民集27巻3号629頁)は、他人名義でされた不動産譲渡について、実際には所得を得ていない者に対して課税処分がされた事案において、「課税処分における内容上の過誤が課税要件の根幹についてのそれである場合、および徴税行政の安定とその円滑な運営の要請を斟酌してもなお、不服申立期間の徒過による不可争的効果の発生を理由として被課税者に右処分による不利益を甘受させることが著しく不当と認められるような例外的事情のある場合には、前記の過誤による瑕疵は、当該処分を当然無効ならしめるものと解するのが相当である」と判示しました。明白性を要件として要求せず、重大な瑕疵と例外的事情があれば無効となることを認めたものです。
理由づけの核心は、重大明白説において明白性が要求される趣旨にあります。明白性は、処分を有効なものと信頼して行動した第三者の取引の安全や、法的安定性を保護するために要求されるものです。ところが課税処分は、課税庁と納税者との二当事者間で完結し、その有効性を信頼して法律関係に入る第三者は原則として想定されません。そうであれば、明白性を厳格に要求する必要は乏しく、瑕疵が重大で、しかも出訴期間の徒過を理由に不利益を甘受させるのが著しく不当な事情がある場合には、無効を認めてよいというわけです。この考え方は明白性補充要件説と呼ばれます。
ひっかけポイントは、この判例が重大明白説そのものを放棄したわけではないことです。原則は依然として重大かつ明白な瑕疵であり、課税処分のように第三者保護の要請が働かない類型について例外的に明白性を緩和したものと理解されています。肢は「例外は一切ない」という趣旨で言い切っている点で判例に反します。なお、重大な瑕疵といえない単なる法令解釈の誤りや事実認定の誤りにとどまる場合は、取消事由となるにすぎず、審査請求期間・出訴期間を徒過すれば争えなくなる点も併せて確認しておきましょう。
結論:この肢は「誤り」。判例は、授益的処分の撤回について、撤回自体の明文の根拠規定は不要としています。
最判昭和63年6月17日(いわゆる菊田医師事件)は、実子あっせん行為を行った医師について、医師会が旧優生保護法(現在の母体保護法)上の指定医師の指定を撤回した事案です。最高裁は、指定医師の指定の撤回によって被る不利益を考慮しても、なおその指定を存続させることが公益に適合しない状態が生じたというべきであるから、法令上その撤回について直接明文の規定がなくとも、指定の権限を付与されている医師会は、その権限において指定を撤回することができるとしました。すなわち、授権規定に基づいて処分をする権限が与えられている以上、その権限の中に、公益上の必要が生じた場合に処分を撤回する権限も含まれると解されるのです。肢はこの結論と正面から反します。
理由づけを整理すると、撤回とは、瑕疵なく成立した行政行為について、その後に生じた事情を理由として、将来に向かって効力を失わせる行為をいいます(職権取消しが成立時の瑕疵を理由に原則として遡及的に効力を失わせるのと対比されます)。撤回の必要が生じる事情をあらかじめすべて立法で列挙するのは困難であり、公益適合性を維持するための権限は処分権限に内在すると考えるのが合理的です。
ひっかけポイントは二つあります。第一に、根拠が不要だからといって自由に撤回できるわけではなく、相手方が受ける不利益と撤回によって守られる公益とを比較衡量し、公益上の必要が相手方の不利益を上回る場合に限って許されます。菊田医師事件の判旨も、この衡量を経たうえで撤回を適法としています。第二に、相手方に帰責事由がないのに撤回によって既得の財産的利益が失われる場合には、損失補償が必要となることがあります(最判昭和49年2月5日・東京都中央卸売市場用地事件は、行政財産の使用許可の撤回につき、使用権自体に内在する制約から補償を要しない場合があるとしつつ、補償を要する場合のあることを前提としています)。
結論:この肢は「正しい」。代理人選任権は聴聞と弁明の機会の付与のいずれにも認められており、これが正解肢です。
行政手続法16条1項は「前条第1項の通知を受けた者(同条第4項後段の規定により当該通知が到達したものとみなされる者を含む。以下「当事者」という。)は、代理人を選任することができる」と定め、聴聞における代理人選任を認めています。そして同法31条が、第15条3項・4項(公示の方法による通知)とともに第16条の規定を弁明の機会の付与について準用すると定めているため、16条は弁明の機会の付与にも準用され、弁明の場合にも当事者は代理人を選任することができます。つまり、両手続に共通する数少ない仕組みの一つが代理人選任権なのです。
代理人については、16条2項が「代理人は、各自、当事者のために、聴聞に関する一切の行為をすることができる」と定め、3項が代理人の資格は書面で証明しなければならないこと、4項が代理人がその資格を失ったときは当事者は書面でその旨を行政庁に届け出なければならないことを定めています。これらもまとめて弁明の機会の付与に準用されます。
理由づけとしては、不利益処分を受けようとする者が、法律の専門知識を欠くために十分な防御ができないという事態を避ける必要があることが挙げられます。弁明の機会の付与は書面審理が原則で簡略な手続ですが、だからといって当事者が独力で対応しなければならない理由はなく、専門家の助力を得る道を確保することは手続的公正の観点から当然といえます。
ひっかけポイントは、31条の準用範囲を正確に覚えることです。弁明の機会の付与に準用されるのは、15条3項・4項(所在不明の場合の公示の方法による通知)と16条(代理人)だけです。参加人(17条)、文書等の閲覧(18条)、主宰者(19条)、聴聞の期日における審理の方式(20条)、続行期日の指定(22条)、聴聞調書および報告書(24条)、聴聞の節の規定に基づく処分等に係る審査請求の制限(27条)などは準用されません。「代理人だけは共通」と押さえておくと、本問のような比較問題で即断できます。
結論:この肢は「誤り」。前半は不正確、後半は明確に誤りです。
まず後半から検討します。許認可等の拒否処分は「申請に対する処分」であって、不利益処分ではありません。行政手続法2条4号ロは、不利益処分の定義から「申請により求められた許認可等を拒否する処分その他申請に基づき当該申請をした者を名あて人としてされる処分」を明文で除外しています。したがって申請拒否処分については、聴聞も弁明の機会の付与も行われません。申請者の手続的保障は、審査基準の設定・公表(5条)、標準処理期間(6条)、審査開始義務と補正・拒否(7条)、そして拒否処分の際の理由の提示(8条)によって図られる仕組みになっています。
前半についても、聴聞が行われるのは許認可等の取消しの場合に限られません。13条1項1号は、イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき、ロ イに規定するもののほか、名あて人の資格または地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき、ハ 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分または名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき、ニ イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき、の四類型を挙げています。そして同項2号は、これらのいずれにも該当しないとき、すなわち聴聞事由に当たらない不利益処分について弁明の機会の付与によるものとしています。
理由づけは、名あて人が被る不利益の重大性に応じて手続を使い分けるという発想です。営業許可の取消しのように地位そのものを失わせる処分には、口頭で反論し証拠を出せる重厚な聴聞を、業務停止命令のように相対的に軽い処分には、書面中心の簡易な弁明の機会の付与を、というグラデーションが設けられています。
ひっかけポイントは、営業停止処分の扱いです。営業停止は許認可等の「取消し」ではなく、資格・地位を直接はく奪するものでもないため、原則として弁明の機会の付与の対象です。ただし13条1項1号ニにより行政庁が相当と認めれば聴聞によることもできます。また、13条2項は、公益上緊急に処分をする必要があるとき、名あて人の資格の不存在が客観的資料により直接証明されたとき、金銭の納付を命じ、または金銭の給付決定の取消しをするときなど、意見陳述手続を要しない場合も定めています。
結論:この肢は「誤り」。文書閲覧が認められるのは聴聞だけであり、しかも「すべての文書」を無条件に閲覧できるわけでもありません。
行政手続法18条1項は「当事者及び当該不利益処分がされた場合に自己の利益を害されることとなる参加人(以下「当事者等」という。)は、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間、行政庁に対し、当該事案についてした調査の結果に係る調書その他の当該不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる。この場合において、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない」と定めています。
この条文から、肢の誤りは三点あることが分かります。第一に、閲覧が認められるのは聴聞についてであり、31条の準用範囲に18条が含まれていない以上、弁明の機会の付与では文書閲覧を求めることができません。第二に、閲覧の対象は「当該不利益処分の原因となる事実を証する資料」であって、当該事案に関する行政庁の保有文書すべてではありません。行政庁内部の検討経過を記した文書などは、原因事実を証する資料に当たらない限り対象外です。第三に、行政庁は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときには閲覧を拒むことができます。たとえば通報者の氏名が記載された資料などがこれに当たりえます。
手続の時的範囲にも注意が必要です。閲覧を求めることができるのは、聴聞の通知があった時から聴聞が終結する時までの間に限られます。処分がされた後に文書を見たい場合は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律や個人情報保護法に基づく開示請求、あるいは行政不服審査法38条の審査請求人等による提出書類等の閲覧・交付請求といった別の制度によることになります。
ひっかけポイントとして、18条2項が、当事者等は聴聞の期日における審理の進行に応じて必要となった資料の閲覧を更に求めることができる旨を定めており、閲覧の機会が一回限りではないことも押さえておきましょう。もっとも、認められているのはあくまで聴聞の枠内であり、弁明の機会の付与に閲覧権が及ばないという基本構造に変わりはありません。「弁明に準用されるのは15条3項・4項と16条だけ」という一点を覚えておけば、この肢は即座に切れます。
結論:この肢は「誤り」。
政令で定める市についても、都道府県と同じく常勤の監査委員を置かなければなりません。地方自治法196条5項は、都道府県および政令で定める市にあっては、識見を有する者のうちから選任される監査委員のうち少なくとも1人以上は常勤としなければならないと定めています。ここでいう「政令で定める市」とは地方自治法施行令が定める人口25万以上の市を指し、195条2項の定数(4人)についても同じ区分が用いられています。したがって、都道府県とは異なり常勤の監査委員を置く必要がないとする本肢は誤りです。
理由づけとしては、団体の規模が大きくなるほど財務事務の量と複雑さが増し、非常勤の委員だけでは実効的な監査が困難になることが挙げられます。そこで、一定規模以上の団体については常勤の監査委員を必置とし、日常的・継続的な監査体制を確保しているのです。
他方、その他の市および町村では、識見を有する者のうちから選任される監査委員を常勤とすることが「できる」とされているにとどまり(196条4項)、常勤化は任意です。この「都道府県・政令で定める市=常勤必置」「その他の市町村=常勤は任意」という対比が、本問の核心部分になります。
ひっかけポイントは二つあります。第一に、常勤とすることができるのは識見を有する者のうちから選任された監査委員であって、議員のうちから選任された監査委員ではありません。第二に、常勤の監査委員を置くことと、当該団体の常勤の職員が監査委員を兼ねられないこと(196条3項)とはまったく別問題です。本問の肢1と肢5は「常勤」というキーワードで結ばれていますが、指している内容が異なることを意識して読み分けてください。なお監査委員の事務を補助する組織として、都道府県には監査委員の事務局が必置とされ(200条1項)、市町村では政令で定める市を含めて、条例の定めるところにより事務局を置くことができるにとどまります(同条2項)。