会社(外国会社を含む。以下この編において同じ。)は、支配人を選任し、その本店又は支店において、その事業を行わせることができる。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「正しい」。
会社法911条3項21号は、株式会社の設立の登記事項として、特別取締役による議決の定めがあるときは、イ「特別取締役による議決の定めがある旨」、ロ「特別取締役の氏名」、ハ「取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨」を掲げています。登記事項に変更が生じたときは2週間以内に変更の登記をしなければなりません(915条1項)。本肢はこの登記事項を正確に述べており、正しい記述です。
特別取締役の制度は、取締役会設置会社であって取締役が6人以上おり、そのうち1人以上が社外取締役である会社において、あらかじめ選定した3人以上の特別取締役のうち議決に加わることができるものの過半数が出席し、その過半数をもって、重要な財産の処分・譲受けおよび多額の借財(362条4項1号・2号)を決定できるとするものです(373条1項)。大規模な会社で、機動的な意思決定を可能にするための仕組みです。
理由づけとしては、特別取締役による議決は取締役会の権限の一部を少人数に委ねる例外的な仕組みであり、その存在と構成メンバーは会社と取引する第三者にとって重要な情報です。また、社外取締役が1人以上いることが制度の前提要件になっているため(373条1項2号)、誰が社外取締役であるかも公示させる必要があります。本肢が社外取締役である旨の登記に触れているのは、この要件と結びついているからです。
ひっかけポイントとして、社外取締役である旨の登記が要求される場面は限られている点に注意してください。特別取締役による議決の定めがある会社のほか、監査等委員会設置会社(911条3項22号ロ)や指名委員会等設置会社(同項23号ロ)でも社外取締役である旨が登記事項とされていますが、単に社外取締役を任意に置いているだけの会社では、社外である旨は登記事項ではありません。また、特別取締役は「選定」であり、株主総会で選任されるわけではなく、取締役会の決議で選定される点も押さえておきましょう。
結論:この肢は「正しい」。
会社法427条1項は、株式会社は、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)、会計参与、監査役または会計監査人(これらを「非業務執行取締役等」といいます)の423条1項の責任について、当該非業務執行取締役等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする旨の契約を締結することができる旨を定款で定めることができる、と規定しています。社外取締役は業務執行取締役等ではありませんから非業務執行取締役等に含まれ、責任限定契約の対象となります。よって本肢は正しい記述です。
理由づけとしては、社外取締役や社外監査役などの非業務執行者に、業務執行者と同じ無限定の損害賠償リスクを負わせると、有能な人材が就任を敬遠し、経営監督機能の担い手を確保できなくなります。そこで、悪意・重過失がない場合に限って責任の上限をあらかじめ画することを認め、就任のインセンティブを確保したのです。最低責任限度額は、社外取締役等を含む非業務執行取締役等については報酬等の2年分に相当する額です(425条1項1号ハ)。
手続面では、責任限定契約の定めを設ける定款変更の議案を株主総会に提出するには、監査役設置会社では監査役全員(監査等委員会設置会社では監査等委員全員、指名委員会等設置会社では監査委員全員)の同意が必要です(427条3項、425条3項)。また、契約を締結した会社は、その後に責任が生じた場合、責任の原因となった事実等を最初の株主総会で開示しなければなりません(427条4項)。
ひっかけポイントは、平成26年改正による対象範囲の拡大です。改正前は「社外」取締役・「社外」監査役に限られていましたが、改正後は社外性を問わず、業務執行に当たらない取締役一般(非業務執行取締役等)に広がりました。さらに令和元年改正では、会社補償(430条の2)および役員等賠償責任保険契約(D&O保険。430条の3)の規律が新設されており、責任限定契約と混同しないよう整理しておきましょう。