各人の生活の本拠をその者の住所とする。
この条文の過去問 1肢
結論:この肢は「正しい」。
民法850条の内容をそのまま述べたもので、妥当な記述です。
【根拠条文】民法850条は「後見人の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は、後見監督人となることができない」と定めています。未成年後見監督人・成年後見監督人のいずれについても妥当する規定です(後見監督人の選任は848条・849条)。
【理由づけ】後見監督人の職務は、後見人の事務を監督すること、後見人が欠けた場合に遅滞なくその選任を家庭裁判所に請求すること、急迫の事情がある場合に必要な処分をすること、後見人またはその代表する者と被後見人との利益が相反する行為について被後見人を代表することです(851条)。つまり後見監督人は、後見人の暴走をチェックし、必要な場面では後見人と対立してでも本人の利益を守る立場にあります。ところが、後見人の配偶者・直系血族・兄弟姉妹といった近しい親族がこの地位に就くと、身内をかばう方向に働きやすく、監督が形骸化するおそれがあります。そこで民法は、これらの者を一律に後見監督人になれないものとしたのです。監督の実効性を制度的に担保するための、いわば構造的な利益相反の排除規定です。
【ひっかけポイント・関連知識】いくつか注意点があります。第一に、850条が排除するのは「後見人の」近親者であって、「被後見人の」近親者ではありません。被後見人の親族が後見監督人になることは、後見人との関係で850条に触れない限り可能です。第二に、850条は保佐監督人・補助監督人にも準用されています(876条の3第2項、876条の8第2項)。第三に、後見監督人には後見人の欠格事由を定めた847条も準用されるため(852条)、未成年者や破産者などは後見監督人にもなれません。
また、後見監督人が付されている場合、後見人が被後見人に代わって営業をし、または13条1項各号に掲げる行為をするには後見監督人の同意が必要となり(864条)、同意を欠く行為は取り消すことができます(865条1項)。さらに、後見人と被後見人の利益が相反する行為については、後見監督人がいるときは特別代理人の選任を要せず後見監督人が被後見人を代表します(860条ただし書、851条4号)。監督人の有無で処理が変わる場面として、あわせて押さえておきましょう。