1停止条件付法律行為は、停止条件が成就した時からその効力を生ずる。
2解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。
3当事者が条件が成就した場合の効果をその成就した時以前にさかのぼらせる意思を表示したときは、その意思に従う。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「正しい」。
誤っている記述はア・ウ・エ・オの四つですから、「四つ」とする本肢が正解です。以下、五つの記述を順に整理します。
記述アは誤りです。引渡しの履行期の直前に震災で甲が滅失したのですから、双方に帰責事由のない履行不能であり、536条1項により買主Bは反対給付である代金の支払いを拒むことができます。危険が買主に移転するのは現実の「引渡し」の時であって(567条1項)、履行期の到来ではありません。「履行期の直前」という文言に惑わされないことが肝心です。
記述イは正しい記述です。564条は「前2条の規定は、第415条の規定による損害賠償の請求並びに第541条及び第542条の規定による解除権の行使を妨げない」と定めており、追完請求(562条)・代金減額請求(563条)をしたからといって、債務不履行を理由とする損害賠償請求が排除されることはありません。契約不適合責任は債務不履行責任の一場面と位置づけられているため、救済手段は併存するのが原則です。ただし損害賠償には415条1項ただし書の免責事由の枠がかかる点は意識しておきましょう。
記述ウは誤りです。代金減額請求は相当の期間を定めた追完の催告を経るのが原則で(563条1項)、無催告で請求できるのは追完不能、追完拒絶の明確な表示、定期行為の時期経過、追完を受ける見込みがないことが明らかな場合に限られます(563条2項各号)。「追完が合理的に期待できるとき」はこれらに当たりません。
記述エは誤りです。563条3項により、不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、代金減額請求はできません。追完請求も同様です(562条2項)。
記述オは誤りです。566条が求めるのは不適合を知った時から1年以内の「通知」であって、権利行使ではありません。旧法(旧566条3項・旧570条)の「1年以内に権利を行使」という規律が2017年改正で通知に改められた点が問われています。
以上より、誤りはア・ウ・エ・オの四つとなります。本問は改正債権法の売買の節をまとめて確認させる良問で、条文の位置(562条から566条までの流れ)を頭に入れておけば確実に得点できます。
結論:この肢は「誤り」。
ア・ウ・エ・オの四つが誤りである一方、記述イは正しい記述ですから、「五つ」とする本肢は正解ではありません。ここでは、唯一正しい記述であるイを中心に確認します。
記述イは、引き渡された甲が契約の内容に適合しない場合、買主Bは履行の追完または代金の減額を請求できるが、それによって債務不履行を理由とする損害賠償請求は妨げられない、としています。民法564条は「前2条の規定は、第415条の規定による損害賠償の請求並びに第541条及び第542条の規定による解除権の行使を妨げない」と定めており、記述イはこの規定の内容そのものです。したがってイは正しい記述であり、誤っている記述の数に含めてはいけません。
理由づけとして重要なのは、2017年改正(2020年4月1日施行)が売主の担保責任を「法定責任」ではなく債務不履行責任の一類型として再構成した点です。旧法下では特定物売買における瑕疵担保責任の性質をめぐって法定責任説と契約責任説が対立し、損害賠償の範囲が信頼利益に限られるか履行利益にも及ぶかが争われていました。現行法は、売主は契約の内容に適合した目的物を引き渡す債務を負うという前提に立ち、不適合があれば債務不履行として415条の損害賠償や541条・542条の解除が可能であることを明らかにしました。その上で、買主固有の救済手段として追完請求(562条)と代金減額請求(563条)を用意しています。
したがって、救済手段は選択的・排他的ではなく併存します。たとえば買主が修補を受けたうえで、修補までの間に生じた営業損害を損害賠償として請求することも可能です。もっとも、代金減額を受けた部分について重ねて同一の損害を賠償請求することは、二重取りになるため認められません。また、損害賠償請求については415条1項ただし書により、不適合が契約その他の債務の発生原因および取引上の社会通念に照らして売主の責めに帰することができない事由によるものであるときは免責される点が、追完請求や減額請求と異なります。この「帰責事由の要否」の違いは頻出の比較ポイントですから、562条・563条(売主の帰責事由不要)と415条(免責事由あり)を対比して覚えておきましょう。