この法律は、公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、附則第十六条から第十八条まで及び第十九条第一項の規定は、公布の日から施行する。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「正しい」。設問は「妥当でないもの」を選ばせるものですから、この肢は正解肢ではありません。
根拠となるのは民法90条(公の秩序または善良の風俗に反する法律行為は無効)と、いわゆる有毒あられ事件の判例(最判昭和39年1月23日)です。この事件では、有害性のある添加物が混入したあられを、食品衛生法に違反することを知りながら製造販売していた業者と、その事情を知る相手方との取引の効力が争われました。最高裁は、食品衛生法の規定はそれ自体としては取締法規であって、同法に違反したからといって当然に売買の私法上の効力まで否定されるわけではないとしつつ、本件のように、有害物質の混入を知りながら、あえて製造販売して取引を継続していたという事情のもとでは、当該取引は民法90条により無効になると判断しました。
理由づけとして押さえるべきは、行政上の取締りを目的とする規定(取締法規)と、私法上の効力そのものを否定する規定(効力規定)とを区別する、という発想です。取締法規に違反しても、罰則や行政処分の対象となるだけで契約は有効というのが出発点になります。しかし、違反の態様が悪質で、国民の生命・健康という重大な法益を害することを認識しながら反復継続して取引していたという場合には、もはや法秩序全体として容認できません。そこで、取締法規違反という事実を公序良俗違反の判断における一要素として取り込み、90条によって無効とするわけです。取締法規違反が直ちに無効を導くのではなく、悪質性という上乗せの事情があってはじめて90条違反になる、という二段構えの理解が正確です。
ひっかけポイントは、「取締法規違反でも私法上の契約は有効」という原則だけを機械的に当てはめて、この肢を誤りと判断してしまうことです。この肢には「食品衛生法に抵触するものであることを知りながら」「あえて」「取引を継続していた」という悪質性を示す事情が丁寧に書き込まれており、これが90条を発動させる決め手になっています。条文の当てはめでは、事案に付された修飾語をきちんと拾う姿勢が求められます。関連知識として、同じく取締法規違反が問題となる典型例に、無免許・無資格営業に基づく契約や、証券取引の損失補填契約などがあり、いずれも違反の重大性・反社会性の程度に応じて個別に判断されます。
結論:この肢は「正しい」。設問は「妥当でないもの」を選ばせるものですから、この肢は正解肢ではありません。
弁護士法28条は、弁護士が係争権利を譲り受けることを禁じています。これは、弁護士が自ら紛争の当事者となって利益を追求し、いたずらに訴訟を助長することを防ぐ趣旨の規定です。もっとも、この規定に違反した場合に、譲渡(債権譲渡)という私法上の行為の効力までが当然に失われるのかは別問題です。判例(最判平成14年1月22日)は、債権の管理・回収の委託を受けた弁護士が、その手段として訴訟提起や保全命令の申立てをするために当該債権を譲り受けた事案について、仮に弁護士法28条に違反するとしても、当該譲受けが司法機関を利用して不当な利益を追求することを目的として行われるなど、公序良俗に反すると評価される特段の事情がない限り、その私法上の効力は否定されないと判示しました。この肢は、この判断枠組みをそのまま述べたものです。
理由づけの中心は、やはり取締法規と効力規定の区別にあります。弁護士法28条は、弁護士の職務規律を確保するための規定であり、違反があれば懲戒の対象となります。しかし、その違反を理由に債権譲渡自体を一律に無効としてしまうと、譲渡人・債務者・第三者を巻き込んだ法律関係が不安定になり、かえって取引の安全を害します。そこで、原則として私法上の効力は維持しつつ、「司法機関を利用して不当な利益を追求する目的」といった強い反社会性がある場合に限って民法90条によって無効とする、という調整が図られているのです。
ひっかけポイントは、「弁護士法に違反する行為なのだから無効に決まっている」と即断してしまうことです。強行法規違反イコール無効ではなく、その法規が私法上の効力まで否定する趣旨かどうかを検討するのが正しい思考手順です。また、関連知識として、信託法10条(旧法11条)が訴訟行為をさせることを主たる目的とする信託を禁止しており、これに該当する債権譲渡は無効となる点も押さえておきましょう。この肢の判例も、訴訟信託の禁止に触れるかどうかが併せて問題となった事案です。前肢1と対比すると、同じ「法令違反+私法上の効力」という土俵で、悪質性の有無によって結論が分かれることがよく分かります。