期間の計算方法は、法令若しくは裁判上の命令に特別の定めがある場合又は法律行為に別段の定めがある場合を除き、この章の規定に従う。
この条文の過去問 2肢
結論:この肢は「正しい」。元本確定期日の定めがない場合、設定者Aは設定時から3年を経過したときに元本確定を請求でき、根抵当権者Bはいつでも元本確定を請求できます。
根拠条文は民法398条の19です。同条1項は「根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から三年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時から二週間を経過することによって確定する」と定めます。同条2項は「根抵当権者は、いつでも、担保すべき元本の確定を請求することができる。この場合において、担保すべき元本は、その請求の時に確定する」と定めています。そして同条3項により、これらの規定は担保すべき元本の確定すべき期日の定めがあるときは適用されません。本件根抵当権には確定期日の定めがない設定ですので、1項・2項がそのまま適用されます。
理由づけを見ましょう。設定者は自分の不動産に極度額の枠を提供し続けている立場にあり、いつまでも枠が使われ続けると財産の処分や他の資金調達に支障が出ます。そこで一定期間経過後に確定請求権を認めて設定者に離脱の途を開いたわけですが、あまり早期に確定させられると継続的取引の担保としての機能が失われるため、3年という期間制限と、請求から2週間という猶予が設けられています。他方、根抵当権者は自らの利益のために枠を保持しているのですから、これを放棄して確定させることは自由であり、期間制限も猶予期間もなく、請求時に即座に確定します。
この「設定者は3年経過+2週間後に確定、根抵当権者はいつでも即時確定」という非対称性は、本試験で頻出の暗記事項です。数字と即時性の組合せを混ぜた誤肢が作られやすいので、正確に記憶してください。
ひっかけポイントとして、確定期日の定めがある場合との対比があります。確定期日は、これを定めまたは変更した日から5年以内でなければなりません(398条の6第3項)。また、確定期日の変更について後順位抵当権者Cの承諾は不要です(398条の6第2項が398条の4第2項を準用)。さらに、変更前の期日より前に変更登記をしなかったときは、担保すべき元本は変更前の期日に確定します(398条の6第4項)。
その他の元本確定事由としては、398条の20第1項が、根抵当権者による競売等の申立て(1号)、滞納処分による差押え(2号)、根抵当権者が抵当不動産に対する競売手続開始等を知った時から2週間経過(3号)、債務者または設定者の破産手続開始決定(4号)を挙げています。相続(398条の8)や合併・会社分割(398条の9・398条の10)に伴う確定請求も要注意です。
結論:この肢は「正しい」。被担保債権の範囲の変更に後順位抵当権者Cの承諾は不要であり、元本確定前に登記をしなかったときは変更をしなかったものとみなされます。条文の内容をそのまま述べた肢です。
根拠は民法398条の4です。同条1項は「元本の確定前においては、根抵当権の担保すべき債権の範囲の変更をすることができる。債務者の変更についても、同様とする」と定め、同条2項は「前項の変更をするには、後順位の抵当権者その他の第三者の承諾を得ることを要しない」と定めます。そして同条3項は「第一項の変更について元本の確定前に登記をしなかったときは、その変更をしなかったものとみなす」と規定しています。本肢は、この2項と3項をそのまま述べたものです。
理由づけが重要です。なぜ後順位抵当権者Cの承諾が不要なのでしょうか。根抵当権は極度額という「枠」で優先弁済の限度が画されています。Cは、甲土地の価値のうち5,000万円分は先順位のBに押さえられているという前提で、残りの担保価値を評価して融資しています。被担保債権の範囲や債務者が変わっても、Bが優先弁済を受けられる上限は極度額5,000万円のままですから、Cが把握している担保価値には何の影響もありません。だから承諾を要しないのです。
逆に、極度額そのものを変更する場合には、利害関係人の承諾が必要です(398条の5)。極度額が増えればCの取り分が減り、減れば増えるので、まさに利害関係が直撃するからです。この「範囲・債務者の変更=承諾不要/極度額の変更=承諾必要」という対比は、根抵当権分野の最重要の切り分けです。
次に、3項の「変更をしなかったものとみなす」という効果です。これは対抗要件の問題ではなく、変更の効力発生要件と同視できる強い規定です。当事者間ですら変更がなかったことになります。根抵当権の被担保債権の範囲は登記によって公示され、それを前提に取引社会が動いていますから、確定前という枠が流動している段階で変更を確定的なものとするには、登記による公示を必須としたわけです。同様の構造は、確定期日の変更(398条の6第4項)にも見られます。
ひっかけポイントは、「Cの承諾が必要」と入れ替える改変、「登記をしなかったときは第三者に対抗できない」と効果を弱める改変、そして「元本確定後でも範囲を変更できる」とする改変です。398条の4第1項は明文で「元本の確定前においては」と限定していますから、確定後に範囲や債務者を変更することはできません。確定後の根抵当権は、被担保債権が特定した普通抵当権に近い性質を帯びるため、随伴性も復活します。